12:新たな製作
テレポーターを3ヶ所経由して帝都内へと到着した。
流石の首都とあって、人の数が比べるまでもなく多い、建物も2階や3階など当たり前、中には4階建ての建物まで、まぁ、3階や4階の建物は石材で組み上げられてるけどね。
流石地元のSランク冒険者、地理にも詳しい為に商業ギルドに一番近く治安のいい場所に宿を確保出来た、奴隷を購入予定と言う事で、大部屋一部屋だ、ここなら10人ほど入っても十分暮らせる広さがある上、ベッドが左右に4つずつ、合計8つある。
「宣言の通りにステータスの見せ合いをしようか、そして俺の秘密も話さない事には資金の事も説明できないからな」
「マグロ様、お話しする前にステータスを開示された方が納得されると思います」
「順番はお任せするわ、それじゃステータスからね、私から開示するわ」
カイトウ=アンジェリカ
年齢:23歳
Lv:52
種族:狐族
職業:メイジ
状態:良好
HP:11882
MP:6717
STR:2294
VIT:1560
DEX:2610
INT:1876
LUK:726
フリーポイント:2550p
ユニークスキル:限界突破
パッシブスキル:全属性抵抗4、全異常耐性3、最大MP上昇5、MP回復速度上昇4、消費MP減少5、魔力操作3、魔力探知4、無詠唱
アクティブスキル:火魔法6、風魔法5、土魔法2、氷魔法3、雷魔法3、鈍器術3
「セレスが俺より強かったが、アンジェが追い越したな、ちょっと限界突破ってスキルを鑑定させてもらうよ、見た事無いし」
「そんな事はどうでも良いわよ、どういう事なのよマグロちゃん!」
「そんなにガクガク揺さぶらなくても俺は逃げないって、俺のステータスを見れば粗方予想がつくから見てみなよ、ほれ」
開示して見せてる間に鑑定させてもらおうかな。
鑑定
限界突破::レベル51に上がる際に自動取得、取得するまでLv51に上がらない、取得の為には経験値125万必要、ステータスが2倍になる、重複しない。
これはレベル上限が50だと勘違いして立ち止まる者も居そうだな、PT人数が増えればそれだけ経験が分割されるし、余計に上がらなくなるからな。
「マグロちゃん! 何なのよこの加護と称号は!」
「だからそんなにガクガク揺すらなくても説明するから慌てなさんな、セレスのステータスも確認しなって」
「ふー、そうね変な部分もあるし、しっかり説明してもらうわよ」
俺が一度死に、この地へ転生してもらった事やその他もろもろ含めて説明した。
「俄かに信じがたい話だわ、でも実例が目の前に居る事だし、信じない訳にはいかないわね」
「だからさ、セレスにも頼んでるんだけど、俺はこの世界の常識がほとんど分かって無い、前世での記憶とここで得た情報を元にしてごちゃ混ぜで考えてる不安定な状態だからカバーして欲しいんだよ」
「なるほどね、お姉さんに任せなさい、セレスちゃんと協力してサポートしますわよ、それじゃその翼は極力晒さない方が良いですわね、外装を私のを使いなさい、買い物ついでに買いますわよ」
「それでしたらマグロ様、予定の粗方は伝えてますので、向かう順番などをお任せしてはどうでしょうか?」
「そうだな、行先としては誰にも見られない場所、スライムの居る場所、商業ギルド、武器屋、防具屋、雑貨屋、魔道具店、服屋、家具屋、食料とか調味料扱ってる所、調理器具を扱ってる所かな。
真っ先に行きたいのは先の2ヶ所かな、どの程度資金が必要なのか不明だし、ある程度増やしておきたいからな。
それとアクセサリーを取り扱ってる所もだな、婚約の品を買いたい、さすがに今すぐ結婚式は無理だからな」
「婚約の品、それは重要ですわね! オークション以外なら今所持してる資金で足りますわね、真っ先に行くべきは商業ギルドで出品品の確認、これで粗方必要な金額を割り出しましょう、そう言う事で先の2点の候補であるダンジョンは明日にしましょう、食材などは後回しにその他を近場から片っ端に回るで宜しいかしら?」
「では早速行動開始しよう、地図はもらってるけど不要だな、案内をお願いするよ」
こうして到着した商業ギルド、粗方の交渉もしてくれるようだ。
「これはこれはようこそお出で頂けました、アンジェリカ様、この度はどの様なご用件でしょうか?」
「今回のオークションに参加する為に来たのですわよ、それとは別件でもうひとつ、こちらのマグロちゃんから其方は聞いて下さい、3名の競り参加予約と出品目録を1冊お願いしますわ」
「合計金額が金貨16枚となりますが、そちらのお二方には身分証の確認をさせて頂きます」
ギルドカードを身分証として提出し確認してもらった。
「なるほど、PTを組まれたのですか、確認できました、此方は予約票となります、番号が48番から50番となります、同じPTの方ですからどの番号でご入場いただいても構いません。
そして此方が出品目録、2日間にわたる為、それぞれ一冊ずつとなっております。
ご注意頂きたいのですが、飛び入り、もしくは急遽出品される場合には増える事がしばしばございますのでご理解のほどを」
「それじゃ、マグロちゃん、必要なのをお願して」
「市販のMPポーションでは回復量が足りないので自作したいと思っててな、それで製作スキルのスクロールと製作キット一揃え買いたいんだ。
スクロールを3枚、それと製作キットだが、どんな種類があるのか教えて頂けないか?」
「スクロール3枚で金貨300枚となります。
製作キットの内容ですが、手順書が1冊、計量器が1、それに合わせた専用の容器が2、ロートが1、柄杓が1です。
同時製作数に対してサイズがありまして、100本用、500本用、1000本用が御座います、それぞれの金額は金貨20枚、25枚、30枚となります」
(セレスこの世界の日数の計算はどうなってるんだ?)
(1週が7日、一ヶ月が4週、12ヶ月で1年です)
(なるほど、ありがとう)
「材料も購入可能との前提で聞くが、一ヶ月単位での購入量に上限とか、日にち毎に上限とかあるか?」
「素材の販売も詰める容器も販売して御座います。
商業ギルド加入者と一般の方では購入量に差が有ります、マグロ殿の場合は3名ですので月換算で上限1500本分となります、HP用もご入用でしたら、重複はせずに別で計算されます」
「なるほどな、それじゃ500本分のセットを3セットと1500本分の素材一揃え頼めるかな、処で、素材って何が必要なんだ?」
「3セット了解しました、素材は魔力草に純水となります、井戸水でも作れますが、日持ちせずに腐る為、不純物を取り除いた水を販売しております」
聖水ってあるかね? 純水の代わりに使うのも面白そうだよな。
「なるほど、聖水って売ってるか? 樽単位で」
「売っては御座いますが、純水の代わりにお使いになるのですか?」
「そうだ、仮にも体に取り込むんだ、聖なる属性を含んでる素材ならなおさら適切だと思わないか?」
「マグロ殿、いえマグロ様、それは良いご提案をお聞きする事が出来ました、製作した後、有用性が確認されたならばぜひ我らにそのレシピの使用許可を頂きたい。
連絡は冒険者ギルド経由で宜しかったでしょうか?」
「うーん、アンジェ、この場合は如何したらいいんだ? 純水から聖水に変える程度でそんなに変わるのか?」
「マグロちゃんは自分が何をしでかしたのか理解してませんか、まぁ仕方のない事ですが。
その製法で効能が上がればHPポーションや状態回復ポーションにも応用が効きますわよ、そうすれば世界規模での革命に等しき偉業、それにより死ぬ人が激減するでしょうね」
なるほどな、1本当たりの回復量が上がれば死人も減るか、それならいっそこの場で作って渡せば早いだろ、検証の手間も省けるからな。
「なぁ大将、今すぐスクロール3個売ってくれ、それと先ほど言った3セットと材料も聖水に変えた1500本分の素材と容器込みで。
それとサンプルとしてここに500本用のセット一揃えを素材込みで準備してくれるか、この場で作って丸ごとそちらへ引渡すよ。
俺も実際に作る体験が出来て、そちらは製作する手間が省けてサンプル品も手に入る、どうかな?」
「宜しいのですかマグロ様、是非お願いします、最優先で準備させますのでお待ち下さい」
近くに居る職員に最優先で準備するように言づけをし、此方へは料金の全額を確認に来た。
「料金ですが、オークション関連が金貨16枚、スクロールが金貨300枚、500本用3セットで金貨75枚、素材もろもろは今回の手数料として相殺とします、合計金貨391枚、宜しいでしょうか?」
「了解した、何か入れ物を持って来てくれないか、バラでしか持ってないのでな、お手数おかけする」
「良かったのですかマグロ様、予定がずれ込む事になりますが」
「全部瓶詰めする訳でも無く30分も掛からないだろう、どの道中三日ほど時間があるからな、少々なら問題ない」
「流石マグロちゃん、時間の有用な使い道ですわよね、それこそ旦那様に相応しき対応ですわね」
料金を支払ってスクロールを使い3人共に覚えた、他にも準備されたのを収納し、サンプル制作に準備された500本用セット中に含まれる手順書を手早く確認し、ある工程を追加する事にしたが一つ確認をする。
「大将、この手順書の通りに作ったら何ができるんだ?」
「低級MPポーションとなりますが、それがどうかされましたか?」
「今市販されてる上級MPポーションの素材と作成方法を教えてくれないか?」
「それはいかなマグロ様へと言えどお教えする事は出来ません、毎月一定数納入される方のみしかお教えできかねます」
魔力草自体の魔力は大した量じゃない、そのまま作っても当然低級だろう、魔力を貯め込む性質があるなら強引に貯めさせれば良いと思わないか。
「了解した、その様な規定ならば仕方が無いな、それじゃセレスは聖水を計量して限界まで魔力を流し込んでくれ、俺は製作魔法で薬草から抽出して此方にも魔力を限界まで込める、ちょっとさっきの模擬戦でMPをかなり使ったからアンジェは俺の方を手伝ってくれないか?」
「あのマグロ様、その様な手順はMPポーション製作には不要ですが・・・」
「まあまあ、大将はそこで見てなって、俺オリジナルの手順書を作ってやるよ」
「マグロちゃんは大物ね、現存の手順を無視して作るなんてね、これで効能が高ければ本当に革命ですわね」
さくっと行こうか、薬草500本束を持ち上げ容器の上で製作魔法の内の一つ、抽出を掛け絞り出しガラは捨てる、それに魔力操作を応用して流し込み飽和させて此方は完成だ。
「此方は準備が整った、セレスの方はどうだ?」
「此方も整いました、そちらへ聖水を流し込みましょう」
こうして2種混合の液が満たされ、今度は製作魔法で馴染ませれば溶液の完成だ、瓶にロートを差し込み柄杓で流し込み蓋をすれば製品の完成だ。
鑑定
最上級MPポーション:回復量1000p、呪い浄化。
「よし、まずは1本目が完成だな、後の瓶に詰めるのは任せるよ、鑑定して来ると良い」
そう言って手渡した、すっ飛んで行く位の勢いで走って行き、その帰りを待つ事10分程度、噛みつかんばかりの勢いで言い放って来た。
「素晴らしい、素晴らしいですぞマグロ様! これまでの上級ポーションの倍の量を回復可能な性能に加えて呪いの浄化付き、革命ですぞ!」
「そうか、それは何よりだな、さてと、用事も済んだ事だし次の予定地は何処かな? セレス、アンジェ、早速向かおう」
「お待ち下さい! 先ほどの製作手順を他のポーションにも試したく思います、それについてですが、是非レシピの使用許可を販売して頂きたい!」
「うーんそうだな、銅貨1枚で良いよ、好きな様に使ってくれ、そう言う事で次に行こうか」
ただ、並みの者では大量には作れない、膨大な魔力量が無ければ休憩を挟みながら作るしか手が無いからな。
「あはははは! 流石マグロちゃん、私の旦那はこの人しか居ないわね、そう言う事よ、利権など気にせず手順書は無料配布しなさい、それがマグロちゃんの意向よ」
「感謝しますマグロ様、マグロ様のご意向も含めて拡散させて頂きます」
「頼むから名前を広めるなよ、今後の活動に響くだろ、広げるのは手順書だけで良いよ」
さてと、次に向かいますかね。