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ダサい・・・死に方だな。

―――ダサい・・・死に方だな。


とあるマンションの一室。そこに腹に包丁が(・・・・・)突き刺さった(・・・・・・)男が横たわっていた。


男は狂っていた。きっかけは小学1年生のとき、自分の部屋でハサミを使っていた時指を少し切ってしまったことだ。当たり前だが怪我をすれば血が出る。それを男は舐め取った。いや、舐め取ってしまった。


何故か男にはその血はとても美味しく感じられた。好きだった母の手料理が霞むほどに・・・


それから男はこっそり自分の腕を傷つけ、そして血を舐める。そんなことをするようになっていた。最初は腕を傷つけるのはかなり怖かったがやっているうちにあまり痛みは感じなくなった。


そんなことを男は小学1年生の時から現在、28歳になっても続けていた。1年ほど前からやめよう、やめようと思っているが、今回だけ、これで終わり、と心のなかで言い訳を続け、結局やめれなかった。


そんなことをしていて何故こんなことになっているのか、それは簡単なことだ。


腕を傷つける際に使う包丁を落とし、それを拾おうとして転び、ちょうど落ちて刃が上を向いていた包丁の上に倒れた。それだけだ。


男の腕は深く刃物で傷つけられた跡がたくさんある醜い腕だった。そんな腕を見ながら男は、


―――あぁ・・・来世の俺は普通に生きてくれたらいいなぁ・・・


と、呟く、が、かすれて声にならなかった。


どんどん体から力が抜けていき、視界が色褪せる。そして目を閉じ―――


「やぁ、狂人さん。人生はどうだったかな?」


そんな声を聞いた。


「・・・あんた、誰だ?」


男がそう聞き返すと


「神様っていうやつだよ、それで人生はどうだった?」


と少年は答える。


「後悔してるよ、我ながら狂った人生を歩んだもんだ」


男はそう答え、改めて自分の人生を振り返る。


第一の趣味は血を飲むこと、第二の趣味は血を見ること、第三の趣味はネット小説を読むこと、こんな狂った趣味を持ちながら歩んだ人生は良かったとは言えないものだった。


時にはペットショップで買った犬を殺して血を飲んだこともあった。飲んでいたときはとても幸せだったが、1日後には命を奪ったことに後悔し、今でもあの犬に土下座し、頭を地面に叩きつけたい気分だ。


「だよね~、そんな狂った人生を歩んだキミにプレゼントだよ!なんと!ななんと!第二の人生を異世界で吸血鬼として歩む権利をあげまーす!勿論記憶はそのままでね」


―――は?異世界転生?しかも吸血鬼?


「うんうん、キミの考えてることは分かるよ!そんなの嫌だー!って思ってるね?」


そんなことは考えていなかったが確かに考えると嫌だと思えてくる。記憶が無いならまだしも記憶がある状態で第二の人生なんてまた同じようなことをやらかす可能性が高い。


「でも残念!これはキミへの罰みたいなものだから強制なんだよね~」


―――確かに犬を殺してしまったりそれ以外にも結構血を飲むためにやらかしてんな、罰なら・・・仕方ない・・・か・・・


「よし!神様である僕が直々にキミに名前をつけてあげよう!キミの名前はバンピル・シャーノイだ!」


「バンピル・シャーノイ・・・どっかの国の言葉か?」


「気にしな~い気にしない!まぁわかってくれたかな?じゃあ異世界に行ってらっしゃい!あ、一応最低限の知識を脳に突っ込んだり日光で死ななかったり顔がその世界っぽかったりとか色々やっといたから感謝してね!」


男はこんな早く異世界に行かされるのかと慌てながら神を名乗る少年の顔を見る、そこには今まで浮かべていたような笑みではなく、もっと別の狂気を含んだ笑みを浮かべた気がした。



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