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第十五話 みんなに怒られて

 うーん。今何時って、ここ…


 あ、類。私のベットに頭を乗せて寝てる。あんなに好きで気持ちがわからず、辛かったことを思い出す。いい兄になろうとしたのか、もともとから優しいからなのか。この優しさが私を苦しめてたのに。類はわかってたのかな?


 頭をそっと撫でてみる。中学以来だな。別れて以来だ。ずっと誰よりそばにいたのに。いや、離れて行ったか私が。


 元の病室だと確認して…傷口酷くなってるのかな?気になるけど、類が乗っかってるしな。ずっとそばにいてくれたんだろうな。優しいけど、残酷な奴!



 やっぱり疲れてるな眠くなって来た。類のせいで身動き取れないのもあるけど。

 しばらくして私は眠りについた。



  *




 トントン


 ん?ノック?


 ノックの音で目が覚めた。


 起きてすぐで返事ができない。と、


「アリスー。入るわよー」


 華音が声と共に顔を出す。


「あ、華音」


 やっと、声が出る。


「全くあんたはやってくれるわね。あの事態で貴重な医者を!」


「へえ?」


 なんのことだか話が見えない。


「へえ?じゃあないわよ。置き手紙に気付いて走ってく類見て八雲の奴」


「八雲先生?」


「置き手紙見て西園寺病院は緊急医療に弱い、大きな病院だから患者も受け入れるけど対応出来ないから自分が行くって。院長に直談判して私に任せて行ったんだからね。こっちも人手足りないのに!」


 ええ!?話が違うんだけど。

 私の驚いてる顔を見て、華音ははじめて顔を崩す。


「全く、あんたは気付いてないの?主治医の私よりここに寄り付いてるのに」


「え?え?」


「本当に鈍感よね。昔から」


「昔からってどういうことよ!」


 華音はしばらく考えてる。なんなのよ。


「まあ、私が言うことじゃないか」


「何なのよ!」


「とにかく!主治医として怒ってるんだから。いくら自分とこが心配だからって、病室勝手に出てあんな場所をうろついて!!」


「はい。ごめんなさい」


 ここは素直に謝ります。


「それと、決めたの?医者に、西園寺病院継ぐって」


「うん。まあ、おじいさんががんばってる間に医者らしくなろうと」


「あんたが医者ねえ」


 やれと言ったじゃない。血が怖くても。華音が言ったのにー。


「なによ?文句ある?」


「あるけど。まあ、いいわ。そうか、すぐ西園寺?」


「おじいさんの具合じゃいつになるか予測不能だし、おじさんにもついてたいしね」


 緊急医療に弱いのは本当だ。せっかく作り上げたものがこの数年であっという間にこわれた。それを立て直すにはもう中に入った方がいいだろう。


「ついててねえ。あんたが行って立て直せたみたいだしね、西園寺。崩壊状態だったって聞いたよ」


「ね?行く意味あったでしょ?」


「さあ?翼で、できたんじゃあ?」


 う、痛いとこ突くなあ。


「そ、それは」


「まあ、病人は安静に。刑事仲間のみなさんの苦労が目に浮かぶよ」


 いちいち痛いとこ突くんだから!


「じゃあ、お大事に。」


 言いたいことだけ言って華音は去って行く。全く医者ならもっと患者に優しくしなさいよ。




 類帰ったのか仕事に戻ったのか。あ、仕事になんないか。仕事場酷いことになってるのかな?


 …駆けつけてくれたんだ。あの大惨事の中を。そんなんだからいつまでも期待して想いを断ち切れなかったんだ。もう!絶対類のせいだ。




 コンコン



「はい」


 類の事を考えてたせいで類だと思っていた。

 あ、八雲先生。えー。あー。さっきの華音の話どう考えていいか考えてなかった。


「鏡野さん、もう大丈夫?」


「あ、はい。すみません。勝手に抜け出して。それと、ありがとうございました」


 ちょっと含み笑いで聞いてくる。


「傷口見れた?」


 笑ってる。顔は完全に笑ってるし。


「み、見れないです。まだ!」


 まだを強調したのにこっちに来て布団をめくる。いいってば。あ、でも、今回は八雲先生が縫ったんだ。もう、今さら?


 服をめくりテープを外す。ダメ、見れない。恥ずかしい。なんかいろいろ思い出して恥ずかしいよ。


「うん。前回と変わらないよ。見てみたら?」


「あ、はい」


 そっと見てみる。傷口が鮮やかなので痛々しいけど、酷くはなってない。内科医のくせに上手だな。

 あ、目が合う。


「ね。大丈夫だろ?」


「はい」


 恥ずかしいので目線をそらしたいのに、出来ない。ってか傷口もう閉じてもいいんですけど。この時間長いよ。


「鏡野さん西園寺に何しに行ったの?」


「え?いやあの」


 この状態で聞かなくても。やっと、気づいたのか、テープをつけて行く。なんかゆっくり?布団被るまでの時間が長かった。


「で?」


 ああ、聞かないって選択肢はないんですか。


「えっと。祖父の病院でして。西園寺が。その心配になって」


「元刑事の君がそこまで危険を冒しても?」


「先生も気づいてるでしょ?西園寺は緊急医療に弱いって。だから」


「病人の君が行ったと」


 ああ、棘があるよ。いつもの優しさの影にちらほらと。


「すみません」


「もう、無茶な事はしないでくれよ」


 サッと立ち上がり頭を撫でて出て行った。なんで、みんな子ども扱い!!




 その後父にも母にもそして再度類にも怒られた。


 言い訳してもみな翼がいるのにって、おじさんの信用度は全くない。医療関係にいない人たちからもこの扱い。おじいさんにおじさんが中継ぎとしてしか採用されなかったわけだね。

 でも、それなら翼がやればいいのに!!おじいさんめ!

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