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敵襲

「…おっせえな。アイツら。」


「だぁーしぃーてぇーくださぁぁぁい!!」


「だーめだ。」


ガシャガシャ鎖が鳴る。


「うーッス。息吹の旦那ー。」


「おせえ。」


「これでも急いで来たのよ。」


そこに天幕の中に入ってきたヘアバンドの男と青いジャッケットの女。


来斗と楓だ。


「ワンッ!」


「ジョニー!!」


楓の腕の中で子犬が鳴くと鈴音が嬉しそうに笑顔を見せる。


一方息吹は眉間に皺がよっている。


「…なんだコレ。」


「…まあいろいろあったんスよ。本当にいろいろ…。」


「…ああ、そう。」


よく見ると来斗の身体がボロボロなのとやつれてる為、何も言えなくなった。


「で、山賊襲撃事件の犯人っすか?てか女?」


「まだ子供じゃない。」


「自己防衛ですーーーーーー!!」


必死に訴えるが、シカトされた。はぐらかされたり、シカトされたり、流石に怒るぞぅ。


「あー。後ついでにコイツ合成獣だから。」


「「え。」」


スパーッと煙草を吸いながらサラッと告げる息吹。


固まる二人。


「それって…どういう…」


いち早く解凍された楓が息吹を問い詰めようとするが…


「敵襲ー!!敵襲ー!!」


「「「!」」」


叫び声によりそれは叶わなかった。


「特別隊隊長!!いらっしゃいますか!?」


「ここだ!!」


外から聞こえる兵の切羽詰った声。


それを聞き、息吹が天幕の外に飛び出していく。


「まさか…ソルディアか!?」


「へ?」


「救助に来てくれたんだ!!」


「へ?」


「助かるぞおおお!!」


「ええ!?」


敵襲、と聞いた牢屋の中の人物達は沸き立つ。どうやら、ソルディアの人間らしい。


というより…ソルディアとリグレスの戦いに巻き込まれるなんて勘弁してもらいたい。


余程嬉しいらしい。中には柵を叩きだす者もいる。


「…ッ!?」


そこに突然の銃声。


銃口から細長い煙があがっていく。


「静粛に。次に騒げば…」


「頭を撃ち抜く事になるわ。」


白く細い指が引き金に掛けられる。


「ひぇー…楓怖えー…。」


「キューン…。」


彼女の足元で子犬が鳴く。


「何か問題でもある?」


「いやー?」


「そ。」


おーよしよし。と怯えた子犬を撫でながら妙に間延びした返事を返す。


だが、長い付き合いの楓は来斗が呟いた言葉を聞き逃さなかった。


「俺だったら殺ってたし。」







「来斗!楓!」


再び息吹が天幕の中に入ってくる。その表情は厳しい。


「息吹隊長。数は?」


「小型の合成獣が50…位だ。」


(合成獣…?)


ぴくっと鈴音が反応する。


リグレス国内での合成獣は見たことがあるが、国外にも合成獣がいるなんて初めて知った。


それに加え、戦争に使われるなんて思ってもいなかった。


動物と動物を掛け合わせた合成獣は知能が低い。


素直に人間の言うことを聞くとも思えない。


それとも…


(人間と動物の合成獣…?)


しかし息吹は小型と言っていた。可能性は低い。


「んじゃあ増援が来るとして100位っスかね?」


「ああ。それか…デカイのが来るか…だな。ここで食い止めるぞ!」


「「了解!」」


「え!?ちょっと待ってください!!」


「お前はそこで待ってろ!!」


「えぇー!!」


置いていかれた。


「もーッ!!」


柵を叩いてみたが、びくともしない。…虚しい!




息吹達が天幕の外に出ると辺りは悲惨な事になっていた。


イグアナの様な姿の小型の合成獣なのだが、鋭い牙は猛獣の物。


そして特徴的な黒い翼。恐らくカラスの翼だろう。


その翼のおかげで二足歩行が可能になっている。


なにより…


(早ぇ…。)


動きが早い。


「来斗、楓。分かれるぞ!」


部下の二人が頷いたのを見届けて、傍にいた一匹を切り伏せる。


「邪魔なんだよッ!!」


叫び、倒れたその一匹を蹴り飛ばす。


その一匹が偶然にも別の二匹にぶち当たる。


「お。ストライク!」


「「キィィィィィィィィィィィ!!」」


よっしゃ、とガッツポーズした瞬間甲高い鳴き声をあげて息吹に突進してきた。


「どわっ!?」


やはり早い。身を捩り、なんとか避けたが合成獣二匹はガッツリ息吹の背後にあった木に噛み付いている。


「……?」


しかし、噛み付いたまま動かない。ちょっと間抜けだ。


「…は?」


目を見開く息吹。


その視線の先には合成獣が噛み付いたままの木。


だがなにやら煙があがっている。


そして、枯れ木が倒れた。


ありえない。合成獣の口の大きさからして、まず枯れ木を倒せるハズは無いのに。


(これは…なんかネタがあるな…。まあとりあえず。)


噛まれたら終わりなのだろう。


紺色のマフラーが風に乗って揺れた。







「う、わ、わわわわわわわ!!」


数匹の合成獣に追いかけられるのは来斗。


「…んにゃろッ!!」


来斗が突然全速力で走るのを急に止めた。


「ギィッ!?」


そのため、合成獣達は反応に遅れ、止まる事が出来ない。


その勢いを利用し、合成獣達の羽を全て切り落とした。


真っ黒な羽が落ちる。


地面に倒れた合成獣達を太もものホルダーにあった銃で撃ち抜いた。


「あと何匹なんだろうなー…?」


銃を手で弄りながら来斗が呟いた。





「く…っ!」


合成獣に追い込まれた一般兵。


その腕には血が滲んでいる。


それでも尚、剣を握ろうとするが力が入らず手からすり抜ける。


(ここまでか…。)


「ギィィィィィィィ!!」


甲高い鳴き声に全てを諦めた時。


「ギッ…!?ギ…ィッ!!」


合成獣が押し潰された。


詳しく説明すると、背中を何者かに踏みつけられ、動けないらしい。


「ギ…ィィィッ!!」


「悪いわね。」


グリッと合成獣の頭に銃口が押し付けられる。


そして一発鳴り響く銃声。


ドサッと倒れる合成獣その背後にいたのは。


「灰原殿!」


「致命傷…ではないわね。医療班が近くにいるはずよ。」


楓は兵の傷を見て微笑む。


兵が医療班の所に行った後、楓は倒れた合成獣を眺める。


(…ただの合成獣ではないわね。魔術か何かを加えられたのかしら。)


そしてこの合成獣の特徴は、一度噛み付くと離す事が出来ないらしい。


だが、この合成獣の唾液は特殊な成分らしく、何でも溶かす事が出来る様だ。


(…来斗と息吹隊長はどこかしら…?まだ戦ってるなら援護に行かなくては。)


銃を腰のホルダーにセットし、駆け出した。




だいぶ熱が下がってきました。


でもまだ油断大敵なので寝ます。















今日のおまけ当番

鈴音&息吹&来斗&楓



鈴「ひな祭りですね。」


息「だな。」


楓「女の子の日よ。鈴音。」


来「それ即ち…息「黙れ。てめえのアホな思考なんて大体理解出来る。」


来「てへペロ☆」


息「キモい。」


楓「今日はちらし寿司ね。」


鈴「わーい\(^o^)/」


楓「はい。息吹隊長、来斗。」


息「え。」


来「なんで団扇?」


楓「ん。」


息「酢飯…ということは…。」


楓「扇いで。てか扇げ。」


息&来「…あ、はい。」












(ぐおおおお…!!)(ちょ、息吹の旦那…!手がぁぁぁ…!!)(ちっらし♪ちっらし♪息吹さん来斗さん頑張ってくださーい。)(具入れるわよー。はい、混ぜて。混ぜろ。)((…あ、はい。))














息吹さんと来斗さんは楓さんには逆らいません。


夕飯抜きと銃弾が飛んでくるので。



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