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不覚ッ!捕まったッ!

「ったく…てめぇらちゃんと仕事しやがれ。」


マフラーの端を突きつけると門番は苦笑いしながら門を開ける。


「じゃあ隊長、お嬢ちゃんお気をつけてー。」


「あ、はい!」


「じゃあな。」


門を通るとまた違う世界が広がっていた。


「うあ…」


鼻につく血の匂い。


あからさまに顔をしかめる鈴音に息吹が苦笑する。


「わりいな。一番戦ってる奴らだから怪我人も多いんだ。」


そう語る彼は少し寂しそうだった。


「もちろん死人も出る。国の為だなんていっても死にたくは無かっただろうよ。」


「息吹…さん?」


「…なんでもねえ。少し寄る所がある。来い。」


そう言って息吹が入っていった巨大な天幕。


人が何人くらい入るだろうか。とにかく大勢入りそうだ。


「よおお前ら。生きてるかー?」


「おお!息吹隊長!!」


中は沢山の兵士達で溢れかえっていた。


沢山人がいるものの、窮屈という訳でもなさそうだ。


しかし皆、怪我が酷い。包帯を巻いているのに血が滲んでいる程だ。


中には布を敷いてそこに寝ている者もいる。


それでも、息吹の姿を見ると笑顔を見せる。


門を通る前の区域の兵士達とは大違いだ。


「そういえば、仕事早く終わりましたね?まさかまた彩ヶ殿達に任せてサボったんじゃ…。」


「ばーか。俺がいつでもサボってると思ってんのかゴラ。傷口触るぞ。」


「うわあああああああ!やめてくださいよ!!」


にじり寄る息吹と腕に傷を負った兵。こういう時の息吹はとことん楽しそうだ。


「じゃあ彩ヶ殿達は何処に行ったんですか?」


「あ!やべ!忘れてた!!」


「直属の部下置いてきていいんですか。」


別の頭に包帯を巻いている兵に聞かれるとやべっという顔をする息吹。兵士に突っ込まれている。それで良いのか。


「あー…。とっても言いにくいんだが…誰か第二区域の魔術師に魔法獣出す様に言ってくれねえか?」


「ああ。良いですよ俺行きます。」


よいしょ、と立ち上がる頭に包帯を巻いた兵。


「わりいなー…。第二区域責任者殿とやっちまってさー…。」


「またですか。まあ隊長の嫌いそうなタイプですもんねアイツ。」


「あの口髭毟り取ってやろうかと思った。」


「ちょ、怖い怖い。あ、彩ヶ殿達のなんて伝えます?」


「あー…そうだな。

『馬鹿と楓へ。

子供は確保した。さっさと帰ってこい。 息吹』でいいや。」


「なんと扱いの酷い。じゃあ彩ヶ来斗さいがらいと殿と灰原楓かいはらかえで殿に伝達承りましたー。」


笑いながら出て行こうとする兵士と鈴音の眼が合う。


「あれ?息吹隊長の連れですか?」


「こ…こんにちは。」


「はいこんにちはー。」


先程の事で完全に警戒心剥き出しの鈴音にニッコリ笑う兵士。


「あー…まあそんなもんだ。じゃあ頼むわー。」


「了解でーす。」


バイバーイと手を振りながら兵士が出て行った瞬間。


「隊長ォォォ!!」


「いぎゃああああああ!!」


突然寝ていた別の兵士がガバァと起き上がる。驚いたのか何故か悲鳴をあげる鈴音。


「妹さんですか!?それとも恋人ですか!?遂に隊長も…!!」


「黙れロリコン。てめえと俺を一緒にすんな。つか寝てろよ傷口開くぞ。」


ハアハア言いながら起き上がる兵士。鈴音にとっては恐怖でしかない。怖い怖い。


結構具合が悪かったらしい。ハアハア言っていたがその内バッタリと倒れた。


「あー。じゃあそろそろ行くわー。じゃあなお前ら。」


そう言って息吹が手をヒラヒラ振ると兵士達も答える。


「行くぞー。」


「あ、はい!じゃあ皆さんお大事に。」


「萌えーッ!!」


「見ちゃいけません。」


ペコっと鈴音が頭を下げると何やら雄叫びが聞こえたが息吹によって視界を遮られた。


何が起こっているのか逆にわからなくて怖い。


(なんか…怖いだけの人だと思ってたけど…)


天幕から出て、先に行く息吹の背中を眺める。


(仲間からあんなに信頼されてるなんて凄いな…。もしかして。)


(優しい人なのかな…?)


少しだけ、軍人のイメージが変わった。


変わった…なのに。


「こっちだ。」


素直についていったのが馬鹿だった。


息吹が入っていたのはさきほどより大きな天幕。


高さも広さもかなりありそうだ。


「な…っ!?」


中に入るとなんと牢屋。


牢屋といっても鉄の柵で三畳ずつほど区切られているだけの簡単な物。


当然中に人も居る。


それのほとんどが殺気を放ちながら息吹を睨む。


「い…息吹さんコレって…?むぐっ!?」


冷や汗たらたらで息吹に聞くと何やら布を口に押し当てられる。


あー…なんかこんな事あったなー。


等と呑気な事を思っている内に鈴音は意識を手放した。


鈴音が意識を取り戻した時には。


「よー。起きたか。in牢屋だぜー。」


うん。息吹が柵越しに見えるという事はそういう事だ。


「ぷらーす。俺からのおまけで、手枷付きでーす。」


いらんわ。


腕を少し動かしてみると頭上から鎖が伸びてきていて音をたてる。


「………。」


無言で引っ張ってみる。


「………。」


もうちょっと強く引っ張ってみる。


「………。」


かなり強く引っ張ってみる。


「うがあああああああああああああ!!」


「止めろ馬鹿。」


そして現在に至る。



ぐへへへへへ頭痛いぐへへへへへへへへヘへへへへへへへ。

















今日のおまけ当番

息吹&来斗




息「作者がインフルエンザにかかったって。(ぽりぽり)」


来「へぇ…。つか、息吹の旦那何食ってんスか?」


息「ピーナッツ。(ぽりぽり)」


来「え、好きだったんスか?」


息「や、別に。置いてあったから食ってる。(ぽりぽり)」


来「…ん?」


息「? どうした?」


来「旦那…。ひっじょうに言いづらいんスけど…。」


息「?」


来「ソレ…アーモンドっス。」


息「……。」


来「…茶色い皮の部分だけ剥いてありますっスね。」


息「……。」


来「……。」


息「…俺もう生きていけない。」


来(…痛々しい…。)


















おまけだけは欠かさんよッ!おまけだけはッ!!



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