軍の事情
「…おっせえな。アイツら。」
「だぁーしぃーてぇーくださぁぁぁい!!」
「だーめだ。」
望月鈴音。15年の人生の中で初めて牢屋にいれられました。
息吹に担がれて、連れてこられたのは軍が所有している土地。(多分)
そこは荒野だった。
あるのはいくつかの天幕と枯れ木。
息吹に担がれて連れてこられた時(ちなみに尻尾は隠してる)、何人もの大人…恐らく軍人だろう。
軍人達が、息吹に敬礼していた。
連れてこられながら聞いた。
「息吹さんって偉い人何ですか?」
「ん?あー、どうだろうなー。」
はぐらかされた。くそぅ。
そして軍の所有地だと決定付けたのはここに来るまでに通った二つの門。
その両方に二人の門番が居た。
その門番は軍帽をかぶっており、息吹の姿を見ると敬礼し言った。
「国章をお願いします。」
すると息吹は自らのマフラーを手に取り、門番に見せた。
「リグレス国東部特別隊隊長…紫雲息吹だ。」
「確認しました。」
マフラーの端にはこの国の国章が刺繍されていた。
それを確認すると門番は二人ががりで巨大な門を開いた。
一つ目の門を抜けると相変わらず荒野が広がっている。
だが…。
「…?」
何か、違和感。
門を通る前の区域は怪我をしている者など居なかった。
なのに、ちらほら見かける軍人達は包帯をしていたりガーゼを貼られている者など様々。
そして何より。
「あの…。」
「あー?」
「なんで、皆さん怪我してたり、こちらを威嚇してるんですか?」
何より、天幕の中からこちらに向けられている銃口。
絶対引き金引く気だ。アイツ。
ぶっちゃけそんな心境である。
「…お前さ。ソルディアって知ってるよな?」
「…え?あ、はいまあ一応。」
「…じゃあソルディアと戦争してるのはどの国でしょーか。」
「……?」
「……。」
「……。」
え、何この沈黙。
「あ痛!?」
急に持ち上がっていた身体が地面に落ちた。
「あー…世間知らずにも程があんだろ…。」
「え、ちょ、酷くないですか?」
ハァーとため息を吐かれた。
落とされてこの仕打ちは無いと思う。
「ったく…簡単にだが…。この国の名前はなんでしょう。」
「リグレスです!!」
それくらいは知っている。国民ですもの。
「じゃあ、リグレスと戦争をしている国はなんでしょうか。」
「…?」
「リグレスと戦争してるのがソルディアな。ちなみにソルディアがあるのはリグレスの隣でーす。そしてその場所は東です。さー。どういう事でしょーか。」
「じゃあこれが…。ソルディアと戦っている軍隊なんですか…?」
「一部だけどな。ちなみに、リグレスの中でもここが一番危険でーす。」
「……。」
「……。」
再び沈黙。
「何でこんなトコ連れてきたんですかァァァ!!」
「あー…うるせー。」
ぎゃーっと叫ぶ鈴音。耳を塞ぐ息吹。
そこに突然第三者の声。
「紫雲。」
「チッ。」
(なんで舌打ち…?)
鈴音の顔が引きつる中、息吹が後ろを振り向く。
「なんか用かよ。第二区域責任者殿?」
「フン。」
後ろにいたのはいかにも軍人という雰囲気を纏った。30代の男。
「お前の趣味か。軍の陣地にこんなのを連れ込むとはいい度胸だ。」
「てめえ…!他人をロリコンにしてんじゃねえよ…!!」
息吹の額に青筋がたつ。
「お前の勝手だがな。士気を下げるのだけは止めてもらいたいものだ。」
男が立派な口髭を撫でながら嫌味ったらしく言う。
そんな男を睨んでから息吹は口角をあげて言った。
「ハッ。てめえがそんな性格だから兵もこんなんになっちまったんだろうな。」
息吹の視線の先には天幕の中銃を構える兵。
その銃は震えていた。
「はっきり言ってやるよ。てめえに上に立つ力はねえ。」
「戦場から逃げて安全なトコで指示だけ出して偉そうに踏ん反り返ってる様なヤツに…兵も命を預けられる訳ねえだろ。」
「貴様…ッ」
男の表情が醜く歪む。
「それとな。てめえがこんなのなんて言ったコイツは合成獣だ。」
「わぶ。」
ボフッと鈴音の頭に手が乗っかる。
「なに…ッ!?」
「コイツのお陰で合成獣の生態が分かったら…また俺の成果になっててめえの出世が遅れちまうな。」
男がさらに顔を歪める中、息吹が背を向ける。
「オラ、行くぞ。」
「わわっ。押さないで下さいよ!!」
そしてしばらく進みと再び巨大な門。
「「あ、息吹隊長!」」
「よーぅ。」
そこに居たのはやはり二人の門番。
しかし、かなりフレンドリー。
「あれ、隊長。この子誰ですか?」
「おまっ…!デリカシーないなあ。息吹隊長きっとロリコンだったんだよ。」
「待てゴルァ。てめえら二人して切り倒すぞ。」
「いやいや、大丈夫ですって。俺等は理解してますよ!どんな隊長でも着いていきます!なっ!」
「おう!」
「よし、てめえらそこに直れ。叩き切ってやるよ。」
先程の様に青筋を浮かべ、二人の門番を追い回すがどこか楽しげ。
「喰らえ。四の字固め。」
「いでででで!ギブです!!ギブです隊長!!」
門番二人を倒してからどこか清々しげに汗を拭く息吹。楽しそうだ。
「仲良いんですねー…。」
「あ?まあさっきの奴らよりはな。」
「この門通ればさっきの奴らみたいに銃向けられる事もねぇから安心しやがれ。」
「わぶぶぶ。」
ぐりぐりと頭を撫でられた。
「………。」
「………。」
「ニヤニヤしてんじゃねえ。」
「「ぎゃああああああああああああ!!」」
(…剣持ったままおいかけっこ…危ないなぁ。)
何かずれた感想を持ちながら鈴音が命懸けのおいかけっこを眺めていた。
おっおっおー(^ω^)
進まないお…。話が進まないお…。
頑張るお…とりあえずストック増やして余裕があったら更新速度あげるお…。
おっおっおー(^ω^)
今日のおまけ当番
鈴音&息吹
息「作者が乱心してやがる。」
鈴「おっおっおー(^ω^)」
息「やめなさい。馬鹿がうつるぞ。」
鈴「(゜д゜)」
息「なーんで作者が言うと可愛げがねえかなあ…。むしろキモいだけだよなあ…。」
鈴「…おー(´・ω・`)」
息「…まあいいか。」
よせやい。照れるだろッ!(^ω^ )( ^ω^)
褒めてねぇ。by息吹




