表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/41

戦う理由

気がついたら、医療用の天幕の前で座っていた。


気を失ったのだろうか。


そういえばここのところ寝ていなかった。


医療用天幕の中は混み合っていてとてもじゃないが、大した怪我をしていない自分が入れる隙間はない。


もう一度座る。


あるのは虚無感。

今まで自分がやってきたのは何だったんだろう。


空を見ると赤色に染まっていた。


空を眺めるなんて、何日ぶりだろう。


『は…はは…。』


顔を手で覆うと何故か笑いがこみ上げてきた。


『…ッ』


同時に、涙も。


『おい。』


頭上から降ってきた声。


『…なに。人殺しを冷やかしにきたの?』


『ちげぇよ。』


銀髪の男だった。


『お前の所属している隊は戦線から外された。正気を保ってるのがお前が最後だったからな。』


正直、どうでも良かった。


それより気になったのは。


『アンタは、何の為に戦ってるんだよ。』


大層な理由を持っているに違いない。


『…被害を最小限に抑えて戦争を早く終わらせる為。』


『そんなの。』


『僕と同じじゃないか。』


やっている事は自分と同じ、人殺し。


『被害を最小限に抑える?そんなのただの綺麗事だよ。』


『…綺麗事だろうがなんだってどうでもいいんだよ。』


『大事なのは…救われてる奴がいるかどうかだ。』


『…!』


『そういう奴らがいるなら俺はどこまでだって手を汚してやるよ。』


『…それは…ただの自己満足だ。』


『…勝手に言ってやがれ。』


そう言って消えた彼の言葉が何故か、染み付いたまま消えなかった。


父からは毎日のように怒鳴られた。


当たり前だろう。


息子が戦線から逃げ帰ってきたのだから。


だが、父の影響ではなく自分の意志で戦場に戻ると決めた。


何故か、と言われれば答えられないが。


見たくなった。彼の言うとおり、救われている人々がいるのか。


そして三年の時が過ぎ、自分は戦場に戻った。


そして彼は若くして特別隊隊長の地位まで上り詰めていた。


『…よォ。』


『どーも。』


『戻ってきやがったのか。』


『悪い?それにしても良い様だね。』


その頃は一番戦争が激しかった頃。


彼の身体は傷だらけだった。


『うっせえな。生意気餓鬼。』


『餓鬼っていっても年齢なんて二つや三つしか違わないでしょ。』


『……。』


『……。』


彼が顔をひきつらせるのはなかなか面白かったのを覚えている。


『とーうっ涼香さんとーじょーっ。ってあれ?凱動いていいの?治癒魔術かけたばっかだから結構負担かかると思うんだけど。』


『…ッッ!早く言え…ッ!』


『ハッ。ざまぁ。』


『てめ…ッ!』


『あっはー。どんまーい。』


悶える彼…凱の肩を叩く長い黒髪の女性。


彼女は涼香と言った。


『あれ?凱知り合い?むしろ友達?』


『ちげ…』


『どーもー凱の友人の陸って言いまーす。』


『てめッ!!』


『そーかそーか。涼香よー。よろしくねー。』


『涼香…てめえ気付いてるだろ…!』


戦場でハイタッチするとは思っていなかったが、なにやら気が合う。


不思議な女性だと思った。


戦場で笑顔を絶やさない人物等初めて見た。


だが、彼女も相等悩んでいた。


彼女が使う魔術によって命が消えていく。


彼女にとって魔術は人殺しの道具ではない。


悩んだ末、彼女の志は凱と同じになった。


そして、自分も。


『特別隊に入れてよ。僕を。』


『あらまー。物好きもいるもんねー。』


『上等だ…。糞餓鬼。』


何故、何故彼等だったのだろう。


笑って受け入れてくれた彼等が、何故こんな目に合わなくてはいけなかったのだろう。


その数年後、戦争は休戦を迎えた。



陸さんにあんなことを言っていた凱さんですが、本当はかなり悩んでいました。


そして何故人殺しをしているのか分からなくなった凱さんを救ったのは秋奈さんでした。凱さんの奥さんであり、我狼さんと優奈(覚えてます?wwの母親です。


そういう裏設定(?)があったり。支えあっている夫婦っていいなって思います(´∀`)


女神の様な秋奈さんですが実は腹黒というwwそして我狼さんは凱さんが嫌いです。凱さん不憫ww


んで軽ーいノリの涼香さん。まあ多くは触れませんがあの人とは関係がありそうですな。


そして凱さんと涼香さんのプロフィール。詳しくは決めていません。↓



夜月凱(やづきがい)


身長:180ちょい

髪:銀の短髪

瞳の色:茶

服装:白い軍服が主。



涼香(すずか)

※名字は秘密


身長:160代後半

髪:黒い長髪

瞳の色:黒











この二人(特に涼香さん)は謎に包まれていますが、徐々に明らかになっていくとおもいます。


そして次回で陸さんの回想が終わると思います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ