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相容れない二人

「っつーことでほい。」


「あ、ありがとうございます。」


資料を捲りながら息吹の方をチラリと見る。


息吹が恋人は死んだと語ってから彼に変わった事はない。


鈴音も至って普通に過ごしてきたつもりだが…。


(気になるなぁ…。)


そんな事を思ったが頭を振る。


自分の悪い癖だ。


助けたいなんて言って人の踏みいられたくない所に踏み込む。


全てが全て救える訳ではないのに。


「息吹の旦那…。」


「?どうしたー?」


「お客様、よ。」


「…?」


苦い顔をしている来斗と楓の後ろには。


「紫雲。」


「…チッ」


数人の護衛と共に第ニ区域の責任者がいた。


息吹の小さな舌打ちが鈴音にだけ届いた。


「…なんか用かよ。」


「そう喧嘩腰になるな。今日は交渉に来ただけだ。」


刺々しく言い放つ息吹に余裕の表情で笑う男。


「…交渉だぁ?」


「ああそうだ。紫雲、その子供を寄越せ。」


「…はい?」


男が指差したのは鈴音。本人は目を丸くしている。


「…言ってる意味が理解出来ねぇ。」


低く唸る様に呟く息吹。


「「……。」」


男の要求が気に入らなかったらしく来斗と楓も微量の殺気を放っている。


「紫雲、先の戦闘でお前の所に行かせ、戦死した兵士の代わりだ。…と言うのは名目だがな。」


「………。」


息吹が発しられる殺気に鈴音の身体が粟立つ。


「…なんで鈴音なんだよ。」


「ハハハ…。何を今更」


「……ッ」


笑う男の観察する様な視線に寒気すら感じられる。


そんな鈴音を庇う様に息吹が一歩前に出る。


「当たり前だろう!弱い役立たず共より強い奴を駒にして上にのしあが…ッ!?」


拳を振り上げた来斗よりも先に息吹が男を殴り飛ばした。


ゴッ…と鈍い音が響き男が倒れる。


「貴様…!!」


「…さっきから黙って聞いてれば、何言ってやがんだ。」


「部下の命より…出世の方が大事だっつうのかてめぇはッ!!」


「が…ッ!?」


男の胸ぐらを掴みもう一発殴る。


「ふざけんのもいい加減にしやがれ!!」


「…ッおい!」


怒鳴る息吹に怯えた男が後ろの護衛に助けを求める。


「…ッぐ!!」


「息吹さん!!」


助けを求められた護衛が息吹を殴る。


口の中を切ったらしい。生暖かく、鉄臭い液体が口に広がる。


それを地面に吐き捨て、もう一度男に向かっていくが、護衛に羽交い締めにされる。


「離せッ!!」


「おらぁぁぁッ!!」


(…あのお馬鹿…。)


今度は来斗が息吹を羽交い締めにしている護衛を殴り飛ばす。


義手である右手で殴らなかったのは彼の優しさか。


そんな来斗を見て僅かに、本当に僅かに顔を歪める楓。


「目ぇ覚ませよお前ッ!!こんなんで良いのか!?」


護衛の胸ぐらを掴み叫ぶ。


だが来斗を見る護衛の瞳は揺らがない。


というより光が無い。全てを諦め切った。そんな瞳。


上司の影響で全てを諦めるなんて同じ部下の立場から許せなかった。


「…ッが!?」


だが別の部下が来斗を殴り飛ばす。


「ッ~~~。こんにゃろ…!!」


よろけるがなんとか持ち直し、向き直る。


このままでは乱闘になる事は目に見えている。


鈴音が止めようとした瞬間。何発か銃声が響く。


全員の動きが止まった。


「…申し訳ありません第二区域責任者様。」


一歩前に出たのは楓。だがその整った顔には表情が一切無い。


「楓ッ!!」


「少し黙って。」


息吹が叫ぶが、一蹴される。


「望月鈴音は第一区域の大切な戦力です。これから戦争が厳しくなる中で彼女は重要な存在となります。申し訳ありませんが、彼女は諦めて頂きませんか。」


頭を下げる楓の短い髪がサラリと落ちる。


「…ふん。部下だけは良いものを持ったな。紫雲。」


「てめぇ!まだ言いやがるか!!」


「息吹さん!!」


殴りかかろうとする息吹を鈴音が止める。


「行くぞ!」


背を向け、去っていく彼らを息吹は憎しみの混じった目で睨んでいた。






あのおっさん(第二区域責任者)の名前決めてない…。これから結構使うんだけどなあ…。あのおっさん…。


タイトルの相容れない二人とは息吹さんとあのおっさんです。


部下を見殺しにするくらいなら自分が死ぬ!部下を道具扱いしてんじゃねえ!!という息吹さんと生き残るのは地位の高い者だ!使えぬ部下等ゴミ同然!ふははははは!っていうのがおっさん。


好感を持てるのは息吹さんですが指揮官としての能力はおっさんの方が高いんじゃないですかね。


部下を庇って死んでしまったらその後どうなるのか…って考えないんですね。彼は。


んで感情を抑えられないで殴っちゃう辺り若いなぁ…。←


前の特別隊隊長はおっさんみたいなふざけた事言ってる奴がいたらとりあえず精神的にいたぶってました。


もう普段仲間に弄られてる面影なんてない程のどS顔で。(凱さんが弄られるお話はいつかおまけで書きたいと思いますww)


最終的には土下座をさせてました。←


息吹さんはまだ若いですから…未熟な部分もあるのかもしれませんね。











おまけ。

雑談。


今日のおまけ当番

特別隊オール!



息「まずいぞ。」


来「なんスかー?」


鈴&楓「?」


息「ストックが無くなった。」


来「…ええええええ!遂に!?」


息「うん。」


楓「うんって…。」


鈴「あ、ジョニファーだ。おいでー。」


ジ「わんわん!(なんだどうした主人!)」


息「…待て。でかくね?この数週間で子犬から成犬になってね!?しかもなんか喋ってね!?」


楓「犬の成長は早いのよ。犬が喋るわけないでしょ。」


鈴「いけっジョニファー!!」


ジ「わんわんっ!!(くらえごるああああああああああ!!)」


来「ぐえええええええ!?」


息「ら、来斗が…飛びつかれてぶっ倒れた…。(しかもごるああああって…。)」


ジ「わんわん。わうーん。(けっ。よえーなあ。軍人のクセに。)」


来「!おまっ…!このやろー!」


ジ「わおん!!(おおっとお!!)」


来「ぐえええええ…!!ちょ、おま、重い…!!体重かけんな!!アバラがッ!!ミシミシ言ってる…!!ぎゃああああああああ!!」


楓「大きさゴールデンレトリバー並みだから。重いわね。」


息「来斗…安らかに眠れ…(おまえも聞こえてたのか…。)」
















ジョニファーの声は男性にしか聞こえないようです(爆)そしてストックがオワター。

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