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大嫌いな雪

「…っと。」


「あれ?」


しばらく道になりに走っていると分かれ道。


左に行けば商店街がまだ続いているが右は雑木林が広がっている。


…怪しいのは右だよなあ。


「…どうします?息吹さん。」


「あー。一応鈴音は左に行け。俺は右に行く。見つけたらシバキ倒せ。いなかったらさっきのクレープ屋のトコで待ってろ。」


「あ…はい。」


シバキ倒せという言葉に顔を引きつらせる鈴音を置いて右に曲がる。


…早く終わらせて帰りてえんだけどなあ。





しばらく進んでいるとみっけた。結構早くみつかったな。ラッキー。


「近寄んなッ!!」


まあご丁寧に7歳位の少女を連れてる。人質なんだろうな。


ロリコンか。多いな最近。そういう趣味のヤツ。


「おーい糞餓鬼ー。無駄な抵抗はやめとけー。」


「うるせえ!!」


少女はワケが分からない様で首を傾げている。


青年は血走った目で少女にナイフを突きつける。


恐い物だとは知っているらしく少女は息を飲む。


「…殺すのか?」


「てめえには関係ねえだろ!!」


目を細めながら聞くとまた怒鳴る。


…一々うるせー。


「めんどくせえから最後だ。そのチビっこを離して大人しく捕まれ。」


「誰が!!」


ため息混じりの警告も聞かない。


「…そうかよ。」


残念ながら時間切れ。


「…覚悟しやがれ糞餓鬼。」


「ッ!?」


ボソッと呟きながら青年の前まで踏み込む。


手は出さないと思って油断してたんだろうが知ったこっちゃねえ。


その勢いのまま剣の柄を青年の鳩尾に叩き込む。


「がッ!!」


結構効いたらしくそのままうずくまって悶える青年。


その隙に少女を助けて逃がす。


走っていったからとりあえず自分の家にでも帰ったんだろう。いやー。俺って良い人。


「いたぞ!!」


「!」


悶えている青年を見下ろしていたら白い軍服に身を包んだ二人の軍人がやってきた。


被害者が通報したのか。


なんにしてもこれで俺の役目は終わり。


「じゃ、後よろしく。」


「「了解。」」


マフラーを見せたら事情を理解したらしく、自分達が青年を連れて行くと言い出したので任せる事にした。


「待てよ!!」


「…あ?」


その場を去ろうとしたら呼ばれたから一応振り返る。


「てめえのせいで俺は捕まった!俺を待ってる家族がいんのに…ッ!!」


「…待ってる、ねえ。」


「妹が…ッ!!」


「そりゃあお生憎サマ。で?」


俯いていた青年が弾けるように俺を睨み上げる。


「てめえッ!!」


「言っておくが、んな事俺にも軍にも関係ねえ。てめえのやった事は悪だ。個人の理由で悪を見逃すほど軍は甘くねえんだよ。せいぜい反省しやがれ。」


「てめえのせいで!!」


「…てめえは何をしてぇんだ。そりゃあかわいそうですね。とでも同情してもらいてえのか?」


「ハッ。んなくだらねえ事やって嘆いてんならさっさとまともな仕事でも探して金稼げよ。」


鼻で笑い飛ばして青年を見下ろすと悔しそうに歯軋りをしていた。


事実だろ。


他人に出来る事なんてねぇんだ。


今度こそ背を向けて歩き出す。


青年が喚く声に混じってこんな声も聞こえた。


「ははっ…。見たかお前。冷酷特別隊長様だよあれが。」


「ひっえー…情けもなにもねぇなぁ。鬼の目に涙って言うけどぜってぇ涙なんかねぇよな。」


軍人二人の声だった。


「だってお前知らねえの?あの噂。」


「あの噂って…」


「あれだよ。息吹特別隊長は…」


「じゃあ頼むなー。」


「「ッ!!」」


続きを言われる前に声をかけた。


おー。真っ青な顔になっておもしれー。


手をヒラッと振ってまた歩き出す。


別に傷ついてる訳でも怒ってる訳でもない。


ただ、『アイツ』の名前は出されたくないだけだ。


戦場で人殺しをしている以上影でどんな事言われるか分かんねえし、今みたいに嘲笑われることだってある。


でも直属の部下達はそれを許せないらしい。


殴り飛ばしたり、または手が滑ったなんて理由をつけて足元に発砲したりしてたなぁ。アイツら。


俺からしたら不思議なくらいだ。


悪口言われるなんて慣れてるしあそこまで怒る理由が分からない。


悪口言われても蔑まれても理解されなくても良い。


自分の事を理解して支えてくれるのは傍にいる奴だけで良い。






そんな事を思いながら歩いていると空から降ってきた白。


「…チッ」


それを見た瞬間気分は急降下。


自然に口から舌打ちが飛び出した。


嫌いなんだよなぁ。雪。


「息吹さーん!」


「鈴音…?」


憎らしげに空を眺めていると元気な声が聞こえた。


「待ってても来ないから来ちゃいました!!」


そう言って嬉しそうに笑う鈴音。


「じゃあ帰るか。」


「息吹さん!クレープ!!」


「あ、忘れてた。」


並んで歩きながら笑う。鈴音は頬を膨らませてたが。


「…そういえば。」


「ん?」


「息吹さんっていつもマフラーしてますよね。大事なんですか?」


「………。」


…タイミング悪。


答えたくはないが、いつかはバレる。


「ああ。大事なヤツからもらった。」


「大事なヤツ?」


「…恋人、的な…?」


「えぇッ!?」


「そんなに意外かコラ。」


「いえべべべ別に?」


「動揺しまくりじゃねえか。」


「会ってみたいなぁ…。」


…止めろ。


「息吹さんの恋人ならきっと素敵な人ですね!」


そんな目で、俺を見るな。


「………だ。」


「…?」


「死んだ。」


「………は?」


「ソイツはもうこの世にはいない。」


アイツが、海璃かいりが死んだ日も、こんな雪の日だった。





はい。出てきました息吹さんのモトカノ海璃さん。


彼女が生きていたら息吹さんはもう少し情深くなっていたかもしれませんね。


でも一応性格考えておきました海璃さん。


俗に言うアホの子です←息吹さんをダーリンと呼んでます←←


こんな感じ↓












海「ねぇねぇダーリン!」


息「ああ分かった。黙れ。」


海「えー。そこは「なんだいハニー!?」でしょ。」


息「何なのお前。で、了見は?」


海「ここに豆があるんだ。」


息「ああ。」


海「今あたしは異様に豆まきをしたい衝動にかられているんだ。」


息「諦めろ。」


海「ひどいッ!て言うことで来くーん!!」


来「え?なんスか海璃の姉さん。」


海「喰らえッ!!」


来「いでででで!!ナニコレッ!?豆!?今2月じゃないっスよ!?」


海「はいダーリンも。」


息「おにはーそとー。」


海「いだだだッ!ちょ、あたしまで巻き沿い喰らってる!!」


息「わざとです。」


海「わざとかいぃッ!!」


息「来斗も喰らえ。」


来「いでででで!!」


海「うぅっグスッ…うわああんッ!!ダーリンが苛めたぁぁ!!楓っちぃぃ!!」


楓「え?なに。どうしたの海璃副隊長。」


海「長い。呼び名が長いよ楓っち。楓っちとあたしの仲じゃないか。」


楓「どうしたの海璃。」


海「もうマジ楓っち愛してる。ダーリンと別れて楓っちと駆け落ちする!!」


息&来「はあ!?」


来「海璃の姉さん抜け駆けっスよー!!」


息「…なに言ってんだお前。」


海「あ、ダーリンが動揺してる。かーわいー(笑)」


息「本当に頭大丈夫?お前。(´・ω・`)<オニーサンカナシクナッテキタヨ。」


海「ダーリンって動揺すると若干語尾上がるよね(笑)」


息「………。」


海「いだだだだだ!!無言で頭メキメキするの止めてッ!!あたしの頭が割れるッ!!」


息「仕方ないから離してやる。」


海「ありがとうございますダーリン様様。」


息「棒読みかオイ。」


海「テヘペロ☆」


息「(イラッ)…で、本当は何だ。」


海「ほいっ!最近寒くなってきたじゃん?」


息「あ?何だコレ。マフラー?」


海「うんっ!感謝しなさい!!」


息「…手編みか?」


海「ううんっ!!安売りしてた!!ってうぎゃあああああああああああ!!」


息「よし。ならこのマフラーでお前の首を絞めてやる。感謝しろ。」


海「感謝する要素が全くないッ!!くそう!楓っち特製のクッキーがあたしを待ってるんだ!!こんな所で死ねるかああああ!!(逃っ)」


息「待てコラ。(追っ)」


楓「…相変わらず仲良いわねあの二人。」


来「そうだなぁー。っでも実際あれ手編みだろ?」


楓「ええ。息吹隊長も気付いてたんじゃない?」


来「リア充(爆)」






















はい。海璃さんです。見事にアホの子です。楓さんの方が年上に見えるけど海璃さんは息吹さんと同い年です(笑)


でも戦場にいる時は戦略家です。


呼び名もダーリンとか来くんとかじゃなくて名前になります。


武器は銃を使います。楓さんと同じくらい強かったり。


息吹さんは多分通常と戦場のギャップに惚れたんですよ。きっとそうにちがいない。


ダーリン愛してるぅぅぅッとか言って抱きつくけど抱きつかれたりすると真っ赤になってダーリンの破廉恥ぃぃぃッて言って逃げます。自分からするのは良いけどされるのは恥ずかしい人(笑)


髪型は短い黒髪です。胸は楓さんよりちっちゃいのが悩み。呟いてたのを偶然聞いた息吹さんが爆笑してました。


身長は楓さんと同じかそれ以下。


子供っぽいけど実は一番大人。


人の気持ちを察するのが上手いし、思いやりのある優しい人でした。


ちなみに来斗さんの最後のセリフは作者の心の叫びだったり。。







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