面倒事
今回は息吹さん視点です。
俺は、そんな大層な人間じゃない。
だから、そんな目で見るな。
だから、お前は俺みたいにならないでくれ。
頼む。
「息吹さーん。早く帰りましょー。」
「へーへー。分かった分かった。」
今俺達がいるのは東部の商店街。小さいが必要な物は全部揃っているから良く利用している。
一本道の左右に小さい店がいくつも並んでいる。
そして俺の何歩か手前を跳ねる様に歩く金髪の子供…鈴音。
なにやら楓にオムライスを作ってもらうから材料を買いに行きたいとの事。
俺も丁度煙草が切れてたから連れてきた。
別にそこらへんは問題じゃない。
問題なのは…
「…ぜってー買いすぎだろ。コレ。」
「大丈夫です!」
俺の両手と鈴音の両手を塞いでいる荷物。
因みに全て鈴音の買い物。
…まさか全部オムライスの材料か?
余るだろ。絶対。
こんな量お前のドコに入るんだよ。
つーか、余るとして残りどうすんだ。
あ、いいや。来斗に食わせよう。
「息吹さん息吹さん!」
勝手に自己解決していると鈴音の若干弾んだ声。
その視線はクレープ屋に注がれている。
食うんかい。
両手荷物で塞がってんのにどうやって食うんだよ。なんて思っていると強請る様な視線が突き刺さる。
…逃げられねえ。
「どっかで座って食えよ?」
「はーい!」
元気良く返事をして光の速さでアイス屋に走っていく鈴音。
尻尾が出てたら千切れるくらい振ってたんだろうな。
そんな小さな後ろ姿を追いかけようとした時。
「きゃあああああああっ!!」
「わぶっ!」
悲鳴が聞こえたと思ったら誰かが鈴音にぶつかる。
その衝撃で鈴音は荷物を落として尻餅をつく。あ、卵割れた。
「…ッ邪魔だ!!」
叫んだのはま17~20歳位の青年。
その手に持っているのは女性物のハンドバッグ。
…そういう趣味か。
っていうのは冗談で、引ったくりとかそこらへんが妥当だな。
気になったのは青年が持っている血のついたナイフ。
あの位の刃渡りじゃあ死にはしないが誰かが怪我をしたんだろうな。
青年は鈴音を睨んで叫んでからまた走り出した。
「おーい。大丈夫か?」
「あ、はい。でも…」
パンパンと白いコートを払い立ち上がる鈴音。怪我は無さそうだ。
鈴音の視線の先には人だかり。
見ると、二の腕から出血した女性がうずくまっている。
被害者か。お気の毒サマ。
だが、下手にあの青年を放って置くと後で面倒な事になりそうだ。
「…追うか。」
「はい!」
おまけ
雑談
今日のおまけ当番
息吹&来斗
来「珍しいっスねー。息吹の旦那がこんな事に行動するなんて。」
息「ああ。めっちゃめんどかった。そして帰りたかった。」
来「じゃあなんで…」
息「鈴音が黙ってねぇだろ…(はぁ。)」
来「あー!なるほど!!息吹の旦那がそんな事する訳ないしなー。あの息吹の旦那が!」
息「…てめえは俺をどんな風に見てんだ。」
来「………あ゛。」
来斗さん死亡フラグwww




