親子
「姉ちゃーん!早くー!」
少年が大声で鈴音を呼ぶ。
「ちょっと待ってー!」
それを鈴音が追いかける。
ここは東部の端の街。
端のためか東部には珍しくここは戦争の被害が比較的少ない。
(…一年前に比べてかなり戦争の被害が大きくなった…。)
鈴音が旅を始めて一年が経った。
旅をしている中で、この国と戦争をしている敵国による誘拐や殺害の被害を沢山見てきた。
(一年前はそんな事無かったのに…。)
「姉ちゃん!」
「わっ!?」
鈴音が考え事をしていると拗ねた様な少年の顔がまん前にあった。
「ボーッとしてると置いてっちゃうぞ?」
「ごめんごめん。」
少年に怒られると苦笑しながら謝る。
今二人は街の中の商店街の様な所を歩いている。
なんでも少年が助けてもらったお礼にと自宅に案内してくれるそうだ。
「俺ん家食堂なんだー!みんな集まってくるんだぞー!しかも、なんと!」
「?」
「軍人の知り合いも来るんだ!!」
「…軍人…?」
旅をしてきた北部で軍人を幾人か見たことがあるが、なんというか…
(威張ってる人達だったなぁ…。)
あまり良いイメージは無い。
「あ!息吹は他の軍人とは違うんだぞ!?」
「…違う?息吹?」
「息吹ってのは俺ん家に来る軍人!息吹は他の軍人と違って、威張ってもないし…凄く強いんだ!!」
一生懸命説明する少年はその息吹という人物の事を慕っているのが分かる。
「へー…。会ってみたいなぁ…。」
「きっと会えるよ!!」
少年も目を輝かせながら返す。
その様子は姉と弟の様で端からみればかなり和む。
そうこうしている内に着いたらしい。
一つの建物から良い匂いが漂ってくる。
「ただいまー!」
「おかえり。」
少年が声をかけると中から優しそうな女性が出てくる。
「こんにちは。」
「?友達?」
鈴音が笑って声をかけると首を傾げる女性。
「山賊に襲われた時助けてくれたんだ!」
「は?」
「山賊だってええええ!?」
店の中から男性が飛び出して来て大声をあげる。
「あんた、落ち着いて。お嬢ちゃん、お茶でも飲んでいきなさいな。」
「…い゛!」
女性が男性の足を踏みつけている様に見えるのは気のせいだろうか…?
「え…あ…」
「ね?」
「…はい。」
拒否権は、無かった。
「それにしても…こんな女の子が一人旅なんて危なっかしいねえ。」
鈴音が旅をしている事を聞いて女性が心配そうに言った。
店内は開店前だったらしく、誰もいない。
ちなみに、男性は鈴音に何かをご馳走してくれるらしく、厨房に入っていった。
「ここはまだ良いけど東部なんて危険でしかないわよ?」
テーブルを挟んで向かい合って座っている女性が心配をしてくれているのか少し厳しい表情で言う。
「確かに危ないですけど私には武器もありますし…。」
今はテーブルの上に置いてある双剣を指差す鈴音。
「武器があるっていっても感心しないわねぇ~。」
「アハハ…」
お茶を飲みながら苦笑いをして誤魔化す。
「そもそも何のために旅なんてしてるの?」
「…捜してる人がいるんです。」
一瞬間を置いて鈴音が言った。
「名前はなんていうの?」
「夜月我狼さん…私の師です。」
「姉ちゃんに先生がいたの!?」
いままで黙っていた少年が身を乗り出して鈴音に聞く。
「うん。」
「……強い?」
「めっちゃ。」
「マジか…!!」
唖然と言った表情の少年をクスクス笑う鈴音。
「どんな顔しているの?」
女性が尋ねる。
「銀髪で左目に傷がある人なんです。」
「ふ~ん」
女性が興味深そうに頷く。
(もしや怖い人…?)
密かに少年が思ったのは誰にも秘密。
寒い(^ω^)
異常なまでに寒いです(^ω^)
主人公の設定忘れてたので書きます。
名前:望月鈴音
性別:女
年齢:15歳
髪色:金
瞳の色:青
髪型:ポニーテール
身長:本人に黙秘権を使われました。おそらく平均より結構低いかと。
武器:双剣
…こんなものかな。質問があれば感想にどうぞ。