消せないもの
彼女が笑っている。
部下が笑っている。
だが、それは一瞬にして消え去った。
何でだ。
何でだ。
…本当は分かっている。
全てを消し去ったのは。
全てを壊したのは。
紛れもない自分自身だ。
「…ッ!?」
バチッと音がしそうなほど勢いよく目蓋が上がり、息吹の焦げ茶の瞳が現れる。
(夢、か。)
はぁ、と息を吐き、簡易ベッドから上半身を起こす。
その際に包帯の下の傷に痛みが走り僅かに顔を歪める。
「…ッ!マフラーは…!?」
肌身離さず持っている愛用のマフラーが無い。
焦りながら辺りを見回すとあった。
ちいさな机の上に服と一緒に畳んであった。
今息吹は上半身に何も纏っていない。包帯が巻かれているだけだ。
傷の手当をする時に邪魔だったのだろう。
「…楓?」
その机の横にある椅子に座ったまま眠っているのは楓。
彼女を起こさない様にマフラーと服を持ちベッドから出る。
そのまま天幕の外に出ると。
皆、少ない時間でも体力回復をしたいのだろう。辺りは静まり返っている。
「コイツら…。」
寝ている来斗とそこに寄りかかって寝ている鈴音。
暗殺の連中でも来たらどうするんだ。
キラリと鈴音の青いペンダントが光る。
それは鈴音が軍人だという『証』。
自身のマフラーも風に揺れ、刺繍されている『証』が嫌にでも目につく。
彼女がくれたマフラー。大切なもの。
だがそこに自分は、軍人の『証』を刻み付けた。
何故?
答えは簡単だ。
自分は彼女よりも仕事をとった。
一番大切なものだったのに。
それを、切り捨てた。
太陽が昇り始めた。
朝日が目に沁みる。
目蓋を閉じるとまだ彼女の笑顔が消えていない。
時間が経てば消えると思っていた。
だが消える事は無い。
恐らくこれからも。
「…ん」
ゆっくり鈴音の目蓋が開き、大きな青い瞳が向けられる。
「…息吹さん?」
「よォ。」
目が合った瞬間青い目が潤み始める。
「…は?」
なんで泣く?
「…心配、しました。」
心配されていた。
恐らく来斗や楓も心配はしていたのだろう。
だが、信頼故に余り口に出された事はない。
忘れていた。
自分を心配していた者が居たことを。
「悪、かった。」
一言そう言うと目の前の少女は目に涙をため、笑った。
朝日が、辺りを照らしていた。
息吹さんにとって『彼女』は消したくて仕方ない存在なんです。
ですが、心の中で一番大切なのが『彼女』なので消せないんです。
『彼女』の存在は来斗さんと楓さんにも影響がありました。
来斗さんは今より悩む事は無かったし楓さんは今より思い詰める事がありませんでした。
まあ過去の話ですけどね。
『彼女』の正体は次回かその次に明らかになると思います。
えっ。てなるかもですけどお願いしますm(_ _)m
おまけ。
来斗さんが迷っている様です。
今日のおまけ当番
来斗&息吹&鈴音
息「…悪、かった。」
鈴「えへへ…。」
来(俺どのタイミングで起きれば良いかなぁ!!なぁ!!)
息「…来斗てめぇ起きてるだろ。」
来「!(え゛っ!)」
鈴「えっ。」
息「………。」
来「……(汗)」
息「……………。」
来「…………(汗)」
来「……………………………なんか、サーセン。」
息「…うん。良いよもうお前。」
鈴「来斗さんおはようございます!」
来「………うん。」
ごめwwネタが無かったんだ\(^p^)/




