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善人と悪人?

ポタ。


血が滴る。


口角が上がるのが自分でも分かる。


「やあ。久しぶりだね。気分はどうだい?」


「紫雲。」


「…最悪だ。クソ野郎。」


「…息吹、さん?」


肩越しにこちらを睨み付ける目は戦意を失っていない。


それがどこまで続くのか、楽しみで仕方なかった。








今鈴音は木と木に手をついた息吹に挟まれている状態。


そして地面に滴る赤い血。


息吹の灰色のコートに滲む赤い血。


「鈴音…。大丈夫だな?」


「…ッ自分の心配をしてください!!私のせいで…!!」


「心配すんな…。これ位じゃ死なねえ。いや…死ねない、か。」


「そういう問題じゃ…!!」


男に背中を向けていたせいで、右上から左下にかけてバッサリ斬られている。


男の方に息吹が向き直ったせいでその傷が鈴音の前に晒される。


「ハーツ…てめぇ…。こんな子供にも手出すのか。」


ハーツ…ディストが再び笑う。


「戦場に子供も大人もないさ。実力だけで全てが決まる。君も良く知っているだろう?」


「てめぇ…!」


「やるのかい?僕は別に構わないけど、今の君が僕に勝てるとも思わない。」


「…ッナメんじゃねぇ!!」


「息吹さんッ!!」


今にも飛びかかりそうな息吹を鈴音が止める。


そんな息吹を嘲笑う様にディストが笑った瞬間。


「!」


「ぅおおおらぁぁぁッ!!」


林の中から突然飛び出てきた来斗がディストに斬りかかる。


それを受け止め、押し返すと同時に銃弾が飛んでくる。


それも全て弾き飛ばすと息吹の前に立つのは来斗と楓。


「多勢に無勢…不利だね。今日の所は撤退しようかな。」


「逃げんのかッ!?」


「…勘違いはしないでもらいたいね。見逃してあげるって言ってるんだよ。それに。」


ディストの視線が鈴音に移る。


相変わらず顔に貼り付いているのはゾッとするような笑顔。


「僕もその子に興味を持った。殺さないで良かったよ。」


「…っ。」


「戦闘も終わったわ。撤退するなら今の内よ。…行かないなら。」


「身体のどこかに、穴が増えるわ。」


息を飲む鈴音を守る様に鈴音の前に立ち、銃を構える楓。


「それは勘弁してもらいたいから行く事にするよ。ああ、そうだ。紫雲。」


「!」


「君を殺すのは僕だ。でもこんな状態の君を殺しても面白くも何もない。どうせ殺すなら…」


ずっと細められていたディストの目が開いた。


「苦しんで地を這いつくばる君を見てから殺さなきゃ意味がない。」


鋭い琥珀の目が息吹を射抜く。


ギリッ…と息吹の歯を食い縛る音が聞こえた。


「じゃあ、失礼するよ。」


また目を細め、ディストは闇の中に消える様に姿を消した。


「てめえッ!!」


「ストーップ。ストップっスよー。息吹の旦那ー。アンタ結構酷い出血なんスから。」


「ちくしょう…!!」


来斗が言う通り血を流しすぎたらしい。視界が霞む。


「息吹さん?息吹さん!!」


暗転する意識の中、鈴音の声がやけに頭に響いた。






闇の中に浮かび上がる茶髪。


それは一定な速度を保ち森の中を移動する。


コツコツコツ。


コツコ…


軍靴の音が止まった。


「ちくしょ…ッ!?」


それと同時に闇の中から転がり出る様に現れたまだ若い男。


「は…ハーツ様ッ!!」


「…どうしたんだい?そんなに急いで。」


茶髪を揺らしながらいつも通りディストが笑う。


「…っそ、れは…。」


ディストの問いに答えられず男が俯く。


「…シキも仕事が早いねぇ。ちゃんと休んでいるのか心配になるよ。」


「…ッ!!うあああああああああああああ!!」


『シキ』という名が出た瞬間、男は叫び声をあげながらディストに襲いかかる。


その手には、ナイフ。


だが、ナイフ等ではディストに勝てるわけもなく。


「が…ァ…!!」


ディストの剣が男の腹に刺さる。


ゆっくり刺さった剣を抜くとその身体はずるりと崩れ落ちた。


「…シキ。おいで。」


それを一瞥し、森の中に声をかける。


すると彼女は音も立てずに現れた。


「ディストさん。おかえりなさい。」


ニコリと笑うのは赤い髪を三編みにした14、15歳くらいの少女。


全体的に黒いタンクトップの服に腰にはウエストポーチ。右太ももにはナイフが数本セットされたナイフホルダー。それに白と黒のアームカバー。


そして印象的なのは左肩の痛々しい焼き印。それはディストのコートの胸についているソルディアの国章と同じ。


「ただいま。シキ。」


ふわりと笑顔を浮かべる。息吹や鈴音に向ける笑みとは似ても似つかない優しい微笑み。


「ディストさん、お怪我は?」


「ん?大丈夫。今日は面白い子を見たよ。シキと同じくらい…いや年上かな?そんな女の子がいたんだ。」


「子供が…ですか?」


「はは。シキだって子供だろう?」


「そ…それは、そうですけど…。…でも、リグレスの人間なら、敵です。」


あたしとディストさんの。


「…そうだね。その女の子の事は帰って話そうか。」


「はい。」


ディストとシキがその場を後にしようとした時。


「あ゛…ぁ…。」


「!」


ディストに腹を刺された男が地面を這いながらディストに手を伸ばす。


それを見た瞬間、シキの顔から表情が消えた。


ゴシャッ!と何かが砕ける様な鈍い音が響く。


「…ディストさんに触るな。」


子供とは思えない冷たい声。


シキが踏みつけた手をぐりぐりと踏みにじる。


それからもう片方の足で男の頭を容赦なく蹴り飛ばす。


男は既に事切れていた。


「お疲れ様。」


そんなシキの様子を見ても驚く事無くディストは微笑む。


「それで最後かい?」


「ええ。裏切者の始末は終了しました。任務完了。」


「そう。じゃあ戻ろうか。報告しなくちゃね。」


「はい。」


優しい笑みを浮かべたまま、赤毛の少女と茶髪の男は姿を消した。


(…紫雲。君に大切なものが出来たように…僕にはずっと前からそれがあるんだよ。)


だから、負ける訳にはいかない。






はい。新キャラのディストさんとシキでしたー。


ディストさんは根っからの悪人という訳ではないんです。鬼畜だけど。戦闘狂だけど。


息吹さんも一歩間違えればこうなっていたんですかねえ…?


何が違えばここまで差が出るのか…。作者も分かりません←


だからどちらが善人か悪人かも分からないんです。


守るものは二人共同じですから…ねえ?←


あ、新キャラ二人の設定です。↓





ディストさんの紹介。


名前:ディスト・ハーツ


性別:男


年齢:???(見た目は20代後半)


髪色:ミルクティーの様な薄い茶色


瞳の色:琥珀


髪型:短髪


身長:170後半(息吹と同じくらい)


武器:剣







シキの紹介。


名前:シキ(苗字は無し)


性別:女


年齢:14


髪色:赤


瞳の色:赤がかった茶色


髪型:長髪を三つ編みにしている。


身長:156cm


武器:ナイフ、爆弾等







シキはウエストポーチの中にとにかく沢山の武器をいれてます。


爆弾、閃光弾、地雷、催涙弾、煙弾(煙出るヤツねww)、鎖、その他もろもろ。


四次元ぽーt…すみません自重します。







おまけ

来斗さんが癒しを補充している様です。


今日のおまけ当番

来斗&息吹&鈴音




来「息吹の旦那ー。」


息「あ、やべ。煙草切れた。」


来「あの、」


息「書類整理やってねえ…。やべえ…また楓に殺される…。」


来「旦…」


息「腹減った…。」


来「……。」


息「…え?ああ、うん。ごめん。」


来「…いいんスよ。どうせ俺なんて部屋のすみに落ちてるゴミより価値ないし。俺と会話なんか…。」


鈴「?どうしたんですかー?」


息「来斗がネガティビィになっちった。」


鈴「元気出してください!」


来「…鈴音。」


鈴「?」


来「ハグしていい?」


息「浮気か?」


来「違います(即答)癒し補充っス。(のしっ)」


鈴「わわっ!?」


息(どっちかってーとのしかかりじゃねーの…?)









…というのは弄られキャラの作者の願望。


癒しが欲しい…切実に…。


来斗さんは悪魔で癒しを補給しているんです。


このあとは楓さんに抱きついて(のしかかりじゃないよ!)引き剥がされてれば良いよ(笑)



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