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運命の歯車

「…と言うことで旅をしてました。以上!」


尋問を受けた鈴音は過去の全てを話し、ぐてっと机に突っ伏した。


その机を挟んで座っている陸とその横に立っているのは息吹、来斗、楓。


ちなみにここは天幕の中。


牢があったり怪我人が何人か寝れるというスペースはなく、机と椅子が置いてあるだけの天幕。


「大変な人生送ってるねぇ。君。」


「…本当ですよ。」


「ギロル・アルド…か。間違いねぇ。ソルディアのヤツだな。」


「間違いないわ。」


顔を見合せ頷く息吹と楓。


「つーかさ、その探してんのって誰なんだ?」


来斗が首を傾げ、鈴音に聞く。


「…夜月…我狼さん…です。」


「「夜月…!?」」


声を重ねたのは息吹と、意外にも陸だった。


「…し、知ってるんですか!?ねぇ!教えて下さい!!」


「落ち着け。知ってるっつっても何年か前の事だ。」


「………。」


息吹に言われ、がっくりと肩を落とす。


「多分賞金目当てだったんだろうな。殺人とか窃盗とかした奴ら…まあ賞金首を餌にしてたんだ。『夜月我狼』は。殺したり、又は気絶で済ましたり…まあ餌食になった奴らは二度と同じことはしなかったからこっちからしたら良かった様な…微妙なトコだ。」


「先生が…。」


そういう事には興味を示さない性格の人物だったハズだが…。


「まあなんにせよ、過去の話だ。」


「そう…ですよね。」


落ち込んでいる鈴音に陸が言った。


「鈴音君。君さえよければだが…。」


「はい?」


「軍に入らないかね?」


「「「…ッ!?」」」


「…はい?」


息を飲む息吹、来斗、楓。


だが本人は首を傾げているまま。


「ふざけるなッ!!」


バンッと勢い良く息吹が机を叩く。


それに鈴音は目を丸くするが陸は至って平静。


「俺は反対だ…!こんな子供を軍になんて入れられる訳ねぇだろ…!!」


「司令、私も反対です。」


「今回ばっかりは俺も反対っスよ。」


口を揃えて反対する三人。そんな三人に陸は大きく息を吐いて言った。


「…私は君達に聞いているのではない。彼女に聞いている。」


ギリッ…と息吹が奥歯を噛み締める。


「話を戻すが…鈴音君。軍はある程度の人物の情報を所有している。軍人になればその情報を見ることも出来る。探している者の目撃情報も入ってくるかもしれない。」


「人探しがかなり楽になると思うんだがね。」


「…まあ本当はあれほどの実力を持った君が欲しいだけなんだ。」


困った様に微笑む陸。


弱っていたとはいえ、巨大な合成獣を切り伏せた鈴音はかなり戦力になる。


陸としては見逃す訳にはいかなかった。


「どうだね?鈴音君。」


「あ…。」


「待て!」


思わず返事をしかけた鈴音より先に再び口を挟む息吹。


「鈴音…。考え直せ。軍に入るっていう事は…」


「人殺しもするんだぞ…!?」


陸に対して息吹は許せなかった。


鈴音の様な幼い子供が戦場に立つなど。


元々合成獣の情報を聞き出したらそこで解放する予定だった。


それを自分達の勝手でねじ曲げるなど許せない。


「どうするんだね?」


「…鈴音…!!」


「…ッ。」


鈴音も二つの選択肢の間で揺れていた。


自らの手を汚して、我狼と再会する確率を上げるか。


我狼と再会する確率を下げて自らの手を汚さずにいるか。


後者を選んだ場合、我狼と再会出来る確率はかなり下がる。


「私を…」


ポツリ、鈴音が呟く。


「軍に、入隊させて下さい。」


息吹が目を見開き、陸が微笑む。


「おい!!本気か!?それじゃあお前は…!!」


「それでも!!」


息吹の声を掻き消す泣きそうな声。


「会いたい人がいるんです…ッ!!」


「…ッ正気かよ…!」


息吹が言葉を無くす。


「決まりだね。鈴音君には息吹君の下についてもらおう。」


その言葉に息吹が陸を睨みながら言った。


「アンタのそういうトコは…今も昔も大嫌いだ…!!」


「構わんよ。好いてもらおうなど思ってないからね。」


しかしやはり動じない陸。


それがまた息吹を苛だせるが、反論する事も出来ず、前髪を乱暴に掻きあげるだけに終わった。


「鈴音君。君、いつも身につけている物はあるかい?」


「身につけている物…ですか?」


双剣…が一番先に浮かんだが、これから先、もしかしたら折れてしまうかもしれない。


「これでいいですか?」


鈴音が陸に差し出したのは首にかけていた青い石のついたペンダント。


「うん。では少しこれを預からせてもらうよ。」


「あ…はい。」


「さて…、私はそろそろ第3区域に戻ろうかね。」


鈴音からペンダントを受け取り、よいしょと立ち上がる陸。


「……さっさと行きやがれ…。」


「なにか言ったかね?息吹君。」


「…別に。護衛の奴らが心配してんじゃねーの?」


「はっはっは。そうかもしれんな。では失礼するよ。」


ボソリと呟いた息吹の声が聞こえたらしいが陸は笑いながら天幕を出て行った。


「…厄介な事になっちまったな。悪い。」


「いえ。私が決めたことなので。」


はぁーとため息を吐きながら謝られた。幸せが逃げるのに…。


「んじゃま、自己紹介ターイム!俺は彩ヶ来斗よろしくな!鈴音!」


「…お前のポジティブ力がたまにイラッとする。」


「ひでっ!」


ニコーッと笑う彼からは悪い印象を受けない。だが様子を見るとよく弄られるらしい。


「もう分かっているとは思うけど…灰原楓よ。よろしくね。」


最初は冷たい印象を持っていた彼女だが、こうやって微笑む所を見ると、優しそうな印象も持つ。


「紫雲息吹だ…。なんか今日は疲れる日だな…。」


ぐでーっと名を告げる息吹からは覇気の欠片も感じないが、さきほどの戦闘を見るとかなりの実力の持ち主なのだろう。


「望月鈴音です!よろしくお願いします!」


その時はまだ知る由もなかった。


でも、その瞬間確実に運命の歯車は動き出した。





鈴音は軍に入る様ですね…。


さて、その行動が吉と出るか凶とでるか…。


そして我狼さんと息吹さんは知り合いでした。


でも、犬猿の仲です。ものっそい仲が悪いです。


こんな感じ。↓














今日のおまけ番外編!(過去編)


我狼&息吹









息「…で?」


我「報告に来た。殺人で賞金首になってた奴を西部の南街にある教会に閉じ込めておいた。」


息「何日前から?」


我「一週間前。」


息「…死ぬぞソイツ。」


我「んなこと知るか。今頃神にでも祈ってるんじゃないか?」


息「鬼畜。」


我「何とでも言え。そんなことより賞金寄越せ。」


息「まだ確認してねーだろうが。却下。」


我「寄越せ。」


息「ヤだ。」


我「私情混じってるだろお前。」


息「ああ。それが?」


我「ハッ。ガキが。」


息「上等だ貧乏人ゴラ。」


我「糞餓鬼が。」


息「んだと白髪。」


我「………。」


息「………。」


我「…おい。」


息「あ゛?」


我「月夜の背後には気をつけろよ。」


息「てめーもな。」


我「ハッ(嘲笑)」


息「……(怒)」








怖いよー\(^p^)/


多分我狼さん→24歳息吹さん→19歳くらい(笑)


この犬猿の仲コンビがまた会う事はるのか…。


つか書きやすい!書きやすいよ我狼さん!!



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