冷たい瞳
勝利した為か、三人共気を緩めていた。
(…なんだろう?)
そのせいか鈴音だけが違和感を感じていた。
まだ、終わりでは無い。
そんな気がしてならない。
「息吹の旦那ー。行きましょーよー。」
「おーぅ。行くぞー。」
「……ッ!!」
嫌な予感が、当たってしまった。
三人の背後で合成獣が起き上がる。
「…ッ息吹さん!!」
「!!」
鈴音の叫びに気付いた息吹が剣を抜きながら振り向くが、間に合わない。
「ちっくしょ…!!」
漸く気付いた来斗と楓も振り向くが間に合うハズもない。
次の瞬間。
ビチャッと息吹の頬に血が飛んだ。
そして目の前には金。
崩れ落ちる合成獣。
鈴音が合成獣を切り伏せたのだと理解するまで時間がかかった。
「…お前。」
合成獣を見る鈴音の眼は、驚くほど冷たかった。
「はっはっはっは。」
パチパチパチとなんとも場に合わない拍手の音と笑い声。
「げっ。」
その声に嫌そうな表情になる息吹。
「やあやあ。元気にしていたかい?」
白を基調にした軍服を身に纏った初老の男性。短い茶髪が風に揺れ、ニコリと笑う男性は優しそうな印象を持つ。
「なんでアンタがここにいんだよ…。」
はぁー…とため息を吐きながら片手で顔を覆う息吹。
「「………。」」
固まっている来斗と楓。
「山吹司令官?」
「はっはっは。いやー…私だって散歩はしたいものだよ。」
「散歩でここまで来る司令官なんているかッ!」
「はっはっは。相変わらず厳しいねぇ。そうだ。」
「息吹君。このお嬢さんは?」
男性の視線が鈴音に移る。
「人間と狐の合成獣。情報聴取の為に連れてきた。」
「ほぅ…。名前は?」
「望月…鈴音です。」
「はっはっは。私は山吹陸。よろしく。」
「あ…はい。」
「…息吹君。」
「?」
「この子に何をしたんだね?」
確かに、鈴音の様子がおかしい。と言うより警戒心丸出しで男性を見ている。
明らかに逃げ腰だ。
「ま…!まさか息吹の旦那!こんな小さい子にあーんな事やこーんな事を…!!」
「どいつもコイツも…!!てめえじゃねぇんだよ俺は!」
「俺もロリコンじゃねぇっスよ!楓一筋っス!!」
「…本人は聞いてねえけどな。」
「ッ!」
息吹の言葉通り楓は鈴音となにやら話をしている。
あ、来斗が崩れ落ちた。ざまぁ。
「ごめんなさいね。本当はあんな所に閉じ込めておくべきでは無かったのだけれど…。」
「いえ…大丈夫ですよ…。牢屋に入れられたのはびっくりしましたけど。」
「本当にごめんなさいね。鈴音ちゃん…だったかしら。」
「あ!鈴音でいいですよ!楓さん。」
「あら、私の名前覚えてくれたの。嬉しいわ。」
にこやかに話をしている鈴音と楓。
この短時間でここまで仲良くなるのって逆にすごい。
「あー…ゴホンッ!鈴音だったな。わりぃんだが…。」
「はっはっは。私達に話を聞かせてくれないかね?」
息吹に重ねる様に言う陸。
「…話?」
コテン、と鈴音が首を傾げた。
今回文字数少ないですね。すみません。ストックの関係です。
新キャラ山吹陸さん。
メインキャラではないので細かい設定はないですが、短い茶髪に明るい茶色の瞳です。
メインではないけど結構、重要なキャラだったり。
年齢は50代前半です。司令官だしそのくらいでもいいいかな、と。
おまけ。
今日のおまけ当番
息吹&来斗&鈴音
息「ウルトラスーパーデスティニーハイパーミラクルウルトラセブンティーナインエクセレントウルトラギカント稲妻キィィィック!!!」
来「ウゴファッ!?何で!?つかそれ違う!ウルトラスーパーディスティニーハイパーミラクルウルトラセブンティーナインエクセレントウルトラギガント稲妻キック違う!!ただの飛び蹴り!!」
息「さあ!ウルトラって何回言ったでしょーか!?」
来「え!?えーと…二回!!」
息「ブッブー。」
鈴「三回です!!」
息「鈴音正解!!」
来「…俺これだけの為に蹴られたんスか!?この背中の痛み何とかして下さいよ!!」
息「無理(^ω^)」
来「腹立つッ!!」
息吹さんはおちゃめなんですよ(笑)