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magia(改稿諦めた)  作者: ひらきょん
第一部
3/12

第1話

 ぼくが何か言うだけでお母さんとお父さんは喜んでくれた。だからたくさん二人と話をするために言葉を覚えようとがんばった気がする。言葉を覚えたときの記憶があいまいなので良く覚えていないが、ぼくはまだ2歳だからそういうものらしい。


 ぼくの家族はお母さんとお父さんの二人だけだけど、毎日がすごく楽しい。お昼の間はお母さんはお仕事に行っている。その間はお父さんがお仕事してる場所にいる。


 お父さんはお医者さんで、毎日村の人がたくさん来る。今日は村長のおじいちゃんがお薬をもらいに来て、お父さんのお友達のギルさんが話をしに来た。前に「ギルおじさん」と言ったら悲しそうな顔をしたので「ギルさん」と呼んでいる。お兄ちゃんとかなんとか言っていた気もするが気にしない。ギルさんは僕のことを「ソフィー嬢」と呼ぶが、嬢って女の子のことだとお父さんが教えてくれてからは、「ぼくは男の子!」とギルさんに言い返してる。


 そんないつも通りのやり取りをして、ギルさんが帰った後、お母さんの友達のマイお姉さんがヤス君と一緒に遊びに来たりする。マイお姉さんは「お姉さん」と呼ばないとダメみたいだ。僕より少し年上のお姉さんや背の高いお姉さんもやって来てはぼくの頭をなでてくれたり、抱きしめたりする。お父さんが暖かい目で僕を見てくる。


 ヤス君はマイお姉さんの子供で、ぼくと同い年らしい。今日もお昼ごはんの後にやって来て、一緒に外で遊んだ。その後は一緒にお昼寝をして、起きたらおやつを食べた。



 日が暮れ始めた頃、ヤス君はマイお姉さんと一緒に帰っていった。「またあそぼうねー」と手を振った。ヤス君も手を振ってくれた。


 お父さんのお仕事も終わったみたいで、お家に帰ってお父さんと一緒に絵本を読んだ。最初は何が書いてあるのかよくわからなかったけど、最近はなんとなく解ってきた気がする。お父さんにそう言ったら「ソフィアンは賢いなー」と頭を撫でてくれた。ぼくはかしこいらしい。よくわからないけど。お父さんが褒めてくれたから、絵本を一人で読めるようにがんばろうと思った。


 お母さんが帰って来て、夕ごはんの準備をしてごはんを食べた。ごはんを食べながら今日ヤス君と何をして遊んだのかお母さんに話した。お母さんは僕の話を熱心に聞いてくれた。「ソフィーちゃんは本当にかわいい!」と言って僕を抱きしめた。お姉さんたちに抱きしめられるのも嬉しいけど、お母さんとお父さんに抱きしめられるのはもっと嬉しい。


 ごはんが終わった後は水を温めて、お湯で体を拭いた。いっぱい遊んだから、いっぱい汗をかいたみたいで、体を拭くのが気持ち良かった。


 体を拭き終わると急に眠くなってきた。もう少し起きてお話をしていたかったけど、ちょっとずつ意識が離れて行って、そして眠りについた。






 そんな暮らしをしていくうちに冬になった。僕の住んでいる村は1年中同じ気温なので季節とゆうのがよくわからないが、北の方に行けば寒くなるらしい。寒いってどうゆうことだろう?


 前よりも言葉をたくさん覚え、もっとお話をすることができるようになった。絵本も一人で読めるようになったし、最近はお父さんの持ってる本も読めるようになった。読むことはできるようになったが、内容が難しくてまだ良く解らない。お父さんが僕が本を読んでるのを見たとき、とても驚いた表情をしていた。内容が良く解らないと言ったらホッとした表情をしていたが、お父さんを驚かせたいと思ったので、頑張って理解しようと思った。


 お母さんは最近お仕事に行かなくなった。なんでも僕に弟か妹ができるかららしい。理由はよくわからないが、僕に弟妹ができるのは楽しみだ。そのことでお母さんはマイお姉さんに良く相談している。僕はその間ヤス君と近くで遊んでいる。最近はヤス君以外に、少し年上の子供とも遊ぶようになった。僕たちの知らない遊びや場所を教えてくれた。僕は女の子と遊ぶことが多かったが、それが気に入らないらしい男の子が突っかかって来て、女の子にいじめられて泣いて帰っていった。女の子はつよいなー。


 僕の服は村の女の子が着るような服だったが、かわいい!と言われるのが嬉しかったからそのままにした。お母さんが僕に服を着せるのを楽しんでいたが、お父さんは複雑な表情をしていた。その晩お母さんとお父さんがケンカした。僕が覚えてる限り初めてのことだった。理由は僕の服のことだったみたい。みたいというのは途中で泣いてしまってそのまま寝てしまった為、よく覚えてなかったからだ。目が覚めたら二人は仲直りをしていた。起きた僕に気付いた二人は僕に「ごめんね」と謝った。そしてみんなで笑って朝ごはんを食べた。その日から僕の服は男の子用のものになった。


 ギルさんが僕のことを「ソフィー嬢」と呼んでいたのは服装が女の子のものだったかららしい。男の子用の服装になってからも呼び方は変わっていないけど…僕とギルさんの戦いは続く!


 楽しい毎日が続いた。お母さんのお腹がどんどん大きくなっていく。中に赤ちゃんがいるらしい。マイお姉さんも妊娠したみたいで、お母さんより小さいがお腹が大きくなっている。生まれてくるのが弟か妹か、ヤス君と一緒に楽しみにしていた。






 僕が3歳になり、秋になった。最近やっとお父さんの本の内容が解るようになってきた。薬草とその利用方法について書かれていて、お父さんのお仕事の本だと理解した。お父さんはかなり驚いていたが、お母さんは嬉しそうだった。お母さんのお腹はとても大きくなり、触ってみると中で動いてる衝撃があった。お父さんは双子だと言っていた。一度に家族が二人も増えるみたいだ。それはとても嬉しいことだと思った。


 お母さんが陣痛で倒れた。「ジャイアントエイプの突進を受けた時より痛い」らしい。ジャイアントエイプは黒い大きな猿で、このあたりでも珍しい魔物らしい。騎士団が束になってやっと勝てる程度だと、お母さんが言っていた。お父さんが少し呆れていたが、真剣な表情に戻った。


「今日にも産まれるかもしれない」


 そう言ってお父さんはお母さんに魔法をかける。少し痛みが引いたみたいだった。



 夕方になると、陣痛の間隔が小さくなってきた。僕はお母さんの手をずっと握っていた。


 そして泣き声が聞こえた。


 先ず一つ泣き声が聞こえ、次にもう一つ聞こえた。産まれたばかりの赤ちゃんは布に包まれた。


 お父さんは二人とも女の子で、母子ともに健康、と言った。いつも強いお母さんがとても苦しそうにしていたから、かなりホッとした。


 赤ちゃん二人の世話は大変だったが、村の人の協力でどうにかなった。


 二人の名前は、マリーとミリ―になった。二人にうっすら生えている髪の毛の色は、マリーがお母さんと同じ燃えるような赤、ミリ―がお父さんと同じ薄い水色で、姉妹の瞳の色はラベンダー色だ。両親と同じ色の髪の毛を持った二人が羨ましいと思った。


 ちなみにお母さんの瞳の色は赤、お父さんの瞳の色は青だ。僕はプラチナブロンドの髪と空色の瞳。考えてみると両親と僕の外見は似ていない気がする…


 冬になるとマイお姉さんも出産し、元気な女の子が産まれた。名前はユキというらしい。ユキちゃんもマイお姉さん、ヤス君、ヤス君のお父さんも、みんな同じ黒髪黒目だ。黒髪黒目は東方の技術国家アマランサスの住人に多く、マイお姉さんの両親がそこの出身のようだ。


 お兄ちゃんになったのは良いが、何をすればいいのだろう?双子のお世話は僕にはできないし、お母さんとお父さんの負担にならないようにおとなしくしているのが無難なのかな?一人で読書することにしよう。どうせだから家にある本を全部読んでみよー、と軽く決意する。






 家の本は早々に読み終わったので、村長のおじいちゃんやギルさん、マイお姉さんなどから本を借りて読んだ。


 一番最初に行った村長さんには、本を読ませてとお願いしたら驚かれた。僕が家の本を全部読んだって言ったらさらに驚いた様子だった。そんな驚くことなのかな?結局読ませてくれた。読んでる途中にお菓子もくれた。おじいちゃんありがとう。村長のおじいちゃんの所にある本も読み終わると、僕の読書の話が村に広がっていたのか、ギルさんやマイお姉さんに借りに行ったときはあまり驚かなかった。


 家には医術書や薬草学、兵法書、バルディア王国の剣術書などが、村長さんのところには歴史書や英雄譚、民俗学など、ギルさんのところにはアルメリア王国の格闘術について書かれたものやサバイバルの本、マイお姉さんは料理の本や鍛冶の本などの技術書があった。



 全部読み終わるのに1年と数カ月かかった。僕は5歳になった。


 昔は一度読んだくらいでは理解なんて出来なかったけど、本を読んでいくうちに理解するまでの時間が速くなった気がする。途中から一度読んだだけで理解できるようになったし。


 僕はおかしい、と思い始めた。周りの5歳の子供が医術書を読ませたとしても、そもそも文字自体まだ覚えていないのだ。そんな中、医術書や技術書などの知識を理解してる自分は何なんだろう?



 妹たちが魔法を使えるのが判明してから、家に居づらくなった。マリーが母さんと同じ火の魔法、ミリーが父さんと同じ治癒の魔法。二人ともまだ1歳と数ヶ月、コントロールできない魔法で火傷の危険があり、母さんは火のコントロール、父さんは怪我をした場合の治療と、さらに双子にかかりきりになった。


 本に没入したのは、最初は双子にかかりきりの両親の手を煩わせないように、と思ってだったが、最近は両親の魔法を持つ二人と何も持たない自分を比較し、嫉妬した為だ。


 医術書に書いてあった、子供は両親の特徴を受け継ぐ、という内容も僕の気持ちを逆立たせた。


 母さんと父さんはそんな僕に気付いていたが、変わらず愛してくれた。妹たちに時間を取られているが、僕と接する時間を減らしているわけではない。でも今はその愛情を受けるのが辛い。最近は両親とちゃんと話をしていない気がする。僕はおかしいんじゃないかという悩みも言っていない。


 黙っているのが辛くなり、僕は思ってることを全部ぶちまけた。僕は二人の子供ではないのではないか、この家に僕はいらないんじゃないか、と。


 ぶたれた。


 初めて母さんにぶたれた。


「バカなことを言わないで!血が繋がっていようがいないが関係ない!あなたが私たちの息子であることには変わらないんだから!」


 言い終わると母さんは泣きながら抱きしめてくれた。


 父さんが「本当のことを聞く覚悟はあるか?」と僕に言った。このモヤモヤした感じを引きずりたくなかったから、首を縦に振った。


 父さんは僕を拾った時のことを話してくれた。そして血は繋がっていなくても、私たちはソフィアンのことを愛してる、本当の息子だと思ってる、と言ってくれた。


 僕は泣いた。産まれてはじめて大泣きした。つまらないことにこだわっていたと思った。僕も母さんと父さんが好きだったし、妹たちとも仲良くなりたかったのに、なんで自分から離れるような真似をしたのだろう。


 いっぱい泣いた。母さんも父さんも抱きしめてくれた。この暖かさが絶対に逃げないことに安堵し、そして泣き疲れて、そのまま眠った。



 翌日、目元は腫れている感じがしたが、すっきりとした気分で起きることができた。母さんと父さんにごめんなさいをして、母さんもぶってごめん、と言って仲直りした。


 それからは久しぶりにたくさん話をした。


 家にあるものや、村長、ギルさん、マイお姉さんの持ってる本を全部読んだことも話したし、僕が周りの子供と比べておかしいんじゃないか、という悩みも言った。


 本を全部読んだと言ったとき、二人はかなり驚いていたけど、褒めてくれた。


 そして悩みを言ったときは、そんなに悩んでいたのに気付けなくてごめんなさい、とまた謝り、抱きしめてくれた。


 それだけで悩みなんかどうでもよくなった。この二人が受け入れてくれるなら良いか、と思ったからだ。周りから奇異の目で見られたとしても、僕を認めてくれる人がいる、そう思うだけで安心感が僕を包んだ。


「学習スピードが速いのは、もしかしたらソフィアンも魔法を使っているのかもしれないな」

「えっ!?」


 父さんが言ったことに驚きの声をあげた。僕が魔法を?そんな感じ全然していないけど、もしそうならどういう魔法を使っているんだろう?楽しみだ。


「誰か街に行く人がいたら、そういう魔法が過去にあったか調べてもらおう」


 父さんはそう約束してくれた。


 心配はもう何もなかった。悩みも相談したらスッキリしたし、もしかしたら僕も英雄譚の中の魔法使いの様になれるのかもしれないと思い、ワクワクした。


 母さんと父さん、マリーとミリー。みんなで過ごすこの日常が、ずっと続いていくものだと信じた。












 だけど、事件が起きた。


 その事件は僕を大きく変えることになる。

実際に書いてみてはじめて小説家の凄さがわかった、ひらきょんです。

文章を上手くまとめる力と、描写する力が欲しいです。切に願っちゃうんだぜ。


現在第8話までストックがあるので、0時更新で1話ずつ上げたいと思います。

早速1件お気に入り登録してもらって感謝感激です。これを励みに頑張ります。



ご意見、ご要望、ご感想、誤字に誤用などなどありましたら、お気軽に感想までお書き下さい。

魔物や魔法などのアイディアを提供してくださると大変助かります。皆さまの感想、お待ちしています。

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