カラス
掲載日:2026/02/12
僕はカラスが嫌いだ。
黒いし、
大きいし、
不気味だし、
うるさいし。
学校へ行く道の途中にゴミ置き場がある。
そこにはいつもカラスが集まって生ゴミをくちばしで引っぱり出しては散らかしている。
袋は破れて中身が道にこぼれている。
汚い。
くさい。
見たくない。
だから僕はできるだけそこを見ないようにして歩く。
ある日、いつものように学校へ向かっていると少し前をあつし君が歩いていた。
あつし君は四年生で僕より二つ年上だ。
強くて、声が大きくて、よく人をからかう。
いじめっ子だ。
できれば会いたくない。
気づかれないように僕は自然に歩くのを遅くした。
靴の先だけを見て、静かに後ろをついていく。
そのときだった。
塀の上に止まっていた数羽のカラスが、突然、あつし君のほうを向いて鳴いた。
「アホ―。アホ―」
僕はカラスが好きになった。
終




