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第5話 他の配信者

 結果からいってしまえば圧勝だった。ゴブリン達に狐火の炎に対抗する手段はなく、痩せ細ったゴブリンの矢は肉眼で確認してからでも避けられる位に脆弱だった。


‘‘すげぇ……‘‘


‘‘他の配信者も一通り見てるけどこいつが一番強いかも‘‘


‘‘俺は進を推すぜ!‘‘


‘‘狐火ちゃんは可愛いしなぁ‘‘


 殲滅後、少し休憩を取りながらコメントに返事をしていたら気になるコメントをしているリスナーがいた。


「他の配信者?」


 どうやら俺以外にも配信をしている人がいるらしい。


‘‘そうそう‘‘


‘‘何も知らないの?‘‘


‘‘進達が一期生だよね‘‘


 リスナー達はある程度の情報を知っているようだ。そこから得た情報を要約するとこうだ。


 現在進行形でダンジョン配信をしているのは俺を含め、十人。大元になるチャンネルにはこの十人が一期生と明記されているらしい。松井のようにダンジョン内で死んでしまった場合にどうなっているかは不明。ちなみにリスナーに松井の事を質問しても松井が誰かわからないとしか返事が返ってこない。どう考えてもおかしいが、こんなダンジョンをいきなり攻略させて配信させるような連中だ。何があってもおかしくない。


 はっきり言って薄気味悪いとしか言いようがないが、ここで騒いでも意味は無さそうだ……。このモヤモヤする部分は、無事帰る事が出来たら運営側に説明してもらおう。


 多少なりとも有益な情報を手に入れた。もっと根掘り葉掘り聞きたいところだけど、いつゴブリンが襲い掛かってくるかもわからないので、そろそろ移動を開始する。


 といってもどこへ向かって何をすればこのダンジョンから出れるのかがわからない。ダンジョン攻略って事はボスを倒せばいいのだろうか?


「狐火、このダンジョンってどうやったら終わる事が出来るかわかる?」


 手元にある狐火に質問してみる。今は幼女じゃなく、刀のままだ。いつ敵が襲ってくるかもわからないからな。


「わからないなの。きつねびはあるじさまをまもるだけなの」


 どうやら狐火も全てを知ってる訳ではなさそうだ。ただ、さっきは選ばれたって言ってたくらいだから何も知らない訳でもなさそうだ。


「そうか、ありがとうな」


 俺の言葉に刀身が温かくなるのを感じる。なんとなく照れているような気がした。


「はいなのです!」


 狐火の元気な返事に俺は気合が入る。今は頼りになる相棒を手に、ここから脱出する事だけを考えよう。


――――――――――――――――――――――――――――


 それから時折戦闘をしつつ、狐火や視聴者と会話をしながら歩き続けた。最初のような挟み撃ちを受けるような事はなく、大体が二体から三体に襲い掛かられるような感じが殆どだった。


 誰にも会う事なく、分かれ道をいくつか進み続け、何度目かの分かれ道を右に曲がって暫く進んだその先に、大きな扉があった。


 ついにというべきか、おそらくここがボス部屋ってやつなのだろう。


‘‘ボス部屋か?‘‘


‘‘いかにもだな‘‘


‘‘進頑張れ!‘‘


‘‘オラワクワクしてきたぞっ‘‘


 盛り上がっていくコメント欄。気が付いたら五百人を超える人がこの配信を観ている。どうやらまだ他の配信者達はこの扉を見つける事は出来ていないようだ。


 俺の戦闘は基本的に力押しなので視聴者にもわかりやすく、炎による攻撃は迫力もある為、視聴者受けがいいようだ。今のところ苦戦もしていないし、安心して見ていられるのもいいらしい。


 他の配信者の中には、その場から一歩も動いていないパターンもあるらしい。まぁ全員がいきなり戦えって言われて戦える訳ないだろう。


 助けに行ければ一番なんだろうが、俺も正直、自分の事で手一杯なので何とか自分の力で生き残ってほしいところだ。


 呼吸を整え、扉に手を掛ける。


「では行きます」


 視聴者に激励されながら力を込める。


 少しの抵抗も感じる事なく、扉が開く。そのまま扉を全開にすると、その先には複数のゴブリンと、今まで戦ってきたゴブリンよりあきらかに大きなゴブリンが立っていた。

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