エピソード3-⑯
ジークフリートの背中に乗せてもらって空を飛ぶタッキー。その道々、タッキーはジークフリートに尋ねる。
「そういえば、面白いテイムギフトって何だったんですか?」
「ああ、それですか。…念話…みたいなものですね」
「念話?」
「そうです。心の中でする会話です。私とテイマーのルルさんとは、どんなに遠くても念話が出来るんです」
「どんなに遠くても?それは凄いですね」
「でしょう?ドラゴン同士でも念話が出来るのは、それほど広くない範囲です。精々ドラゴンの里の中くらいです。しかも念話が通じると、自動的にルルさんがどこにいるかがわかるんです。場所がわかれば、私のテレポート能力でルルさんがいる所へ瞬間移動できるんです」
「へええ~~!」
現世で言えば、GPS機能付きのスマホみたいなものだ。ジークフリートは感嘆しているタッキーに
「後でこのスキルをタッキーにもコピーしてあげますよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
ジークフリートの申し出に、タッキーはすごく喜んだ。
(…そういえば、ルルの方のテイムギフトって何だったんだろう…帰ったら確かめなくちゃ)
しばらく飛んで、ドラゴンの里のドラゴンの墓場についた。
「あら、いらっしゃいジークフリート」
一頭のドラゴンが声を掛けてきた。青~水色っぽい体の色だったので、ウォータードラゴンらしい。
ジークフリートはそのウォータードラゴンへ声を掛ける。
「こんにちは、カサンドラさん。お仕事は順調ですか?」
「ええ、どうもありがとう」
それからジークフリートはタッキーの方を振り返り、「こちらはスライムのタッキーです」とカサンドラに紹介する。カサンドラはタッキーの方へ視線を移し、挨拶する。
「初めまして、お噂は聞いているわ。私はカサンドラ。ここの管理をしている、新しい墓守役よ」
「初めまして、タッキーです」
「ハインリヒはこちらよ」
そう言ってカサンドラがハインリヒの元へと案内する。
少し奥へ進むと、地面に一頭のドラゴンが据わっているのが見えた。
「ハインリヒ、お待ちかねのタッキーが来たわよ」
カサンドラの声に、ハインリヒは顔を上げる。
「やあ、君がタッキー君か」
ハインリヒはニッコリ笑って迎える。
「初めまして。タッキーです」
「ジークフリートから話は聞いているよ。兄と仲良くしてくれたそうで、どうもありがとう。ジークフリートもわざわざ人里まで行って、彼を連れてきてくれて、ご足労掛けました」
と、ハインリヒはジークフリートにもお礼を言う。
「いえいえ、大したことはありませんよ」
と、ジークフリートはニッコリ笑って答えた。
母親は相変わらずうんうん唸りながら話を考えてますw
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