エピソード3-⑦
ユミアのアトリエ、ハウジングが沼ですね…。やり始めるとあっという間に時間溶ける…w
翌朝、ルードウィヒが目を覚ますと目の前をカサコソとタッキーが動いていた。タッキーはルードウィヒが起きたことに気付くと元気よく挨拶した。
「あっ、ルーさんおはようございます!」
「…ルーさん?」
「‟ルードウィヒ”さんでは長いでしょ?だからルーさんって呼びますね」
ルードウィヒはタッキーの馴れ馴れしさにちょっと戸惑ったが「あ、ああ…」と返事をした。正直、ルーさんなんて軽い呼び方をされたのは生まれてこの方5000年生きてきて初めてだった。そこへジークフリートがやってきた。
「ルードウィヒ、水を持ってきましたよ」
「あっ、ジークさんおはようございます!」
タッキーはジークフリートにも馴れ馴れしく元気よく挨拶した。
「ジーク…?」
タッキーの馴れ馴れしさにジークフリートもやっぱり戸惑っていた。そんなジークフリートを見てルードウィヒが話す。
「名前が長いから縮めてるんだとよ。俺なんて‟ルー”だぜ?」
「そ、そうですか…構いませんけど…」
そんな二頭のやり取りをよそに、タッキーはルードウィヒの前に置かれた水皿を見て疑問を感じ、質問する。
「あれ?食事は?」
「いや、この頃もう食欲があまりなくてな。それに大きな肉や硬い木の実は嚙み切れなくなったしな…」
「じゃあボクが何か探してきますよ!」
そう言うとタッキーは墓場の外に出た。しばらくして両手(?)いっぱいに小さな果物を持って帰ってきた。
「お待たせしました。おいしそうな果物があったので、取ってきました。食べられますか?」
ルードウィヒはタッキーが持ってきた果物を数粒口に入れた。
「うん、これなら舌で潰せる。ありがとうよ」
それを聞いたタッキーは嬉しそうに話す。
「よかった!じゃあもう一回行ってもっと取ってきますね」
と、再び墓場の外へ行こうとした。それをルードウィヒが止める。
「いや、いいんだ。あまり食欲がなくて、これで俺には十分だよ」
「そうなんですか?少なすぎるかと思ったんですが…」
「そういえば、君自身の食事は取ったんですか?」
ジークフリートが尋ねる。
「あっ、忘れてました」
「じゃあ次は君自身何か食べてきてください」
「はい、そうします」
そう言うとタッキーは墓場の外に出た。
二頭だけになると、ジークフリートはルードウィヒに話しかけた。
「少しでも食べられてよかったですね。ここ2~3日水だけでしたからね」
「ああ…自分でも驚いてるよ。もう何も口にする気なんて起きないと思っていたんだが…ほんの少しでも食べられたし、おいしかったんだよ、本当に」
「よかったですね、いい友達が出来て。ルードウィヒさんあなた、生まれて初めての友達なんじゃないですか?」
「おい、失礼だぞ。俺にだって――」
「いましたっけ?友達?…今まで超絶付き合いが悪かったくせに」
「うっ…」
言われてルードウィヒは言葉に詰まった。よくよく思い返してみても、友達らしい友達なんて、いたことがなかったのだ。
それからもタッキーは毎日ルードウィヒのために、せっせと食事を運んできた。果物や木の実の他、ネズミなども捕まえてくることがあった。タッキーに運べる量などたかが知れているが、ルードウィヒには充分だった。ルードウィヒはそのお礼代わりに、5000年のドラゴン生の、色々な話をタッキーに聞かせた。その話はタッキーには物珍しい事ばかりで、毎回ワクワクしながら話を聞いていた。
お読みいただきありがとうございました。




