エピソード3-④
しばらくすると、大型の魔物を見かけなくなった。
「よかった。こっちが森の出口なんだ」
タッキーは喜んでどんどん進んだ。
…しかし、魔物は出なくなったものの森からは出られない。それどころか、なんだか巨大な骨がゴロゴロしている所に出た。
「何だコレ??どうして骨ばかり沢山あるんだろう…?」
しかも、骨はどれもかなり大きい。そして、どれも同じ種族に見える。
「恐竜の骨みたいだなぁ…昔博物館で見たのに似てる」
ただ、どれも背中に翼のようなものがついていたような骨格だ。
「空を飛ぶ種族なのかな?」
「おや?こんなところに珍しいお客さんだ」
骨の間から声がした。
「骨が喋った!?」
タッキーはびっくりして辺りをキョロキョロした。
「失礼だな。俺はまだ生きてるぞ」
声のする方を見ると、一頭の大きなドラゴンがいた。
「ドッ、ドラゴンさん!?」
タッキーは本物のドラゴンを見るのは初めてだった。異世界の人間だって、勇者位しかドラゴンと対峙したことはないのだ。鱗は赤黒かった。おそらくファイヤードラゴンだろう。恐る恐る話しかけるタッキーに、ドラゴンは答えた。
「そうだ。ここはドラゴンの里。ドラゴン以外の魔物なんてまずいないだろう。しかもここはドラゴンの墓場だ」
「墓場!?」
周りが骨だらけなのは、ドラゴンの骨だったのだ。ドラゴンは続けて喋った。
「それで、お前さんはどうしてこんな所にいるんだい?お前さん、スライムだろう?もっと森の入り口近くに住んでいると思ったんだがね」
「えっ!?えっと…なんか食べられないように逃げてたら…ここへ来ちゃいました」
タッキーはしどろもどろしながら答える。ドラゴンはまじまじとタッキーを見ながら
「逃げてきた?森の入り口辺りからこんな所まで?その大きさだと、卵から帰って1ヶ月ちょっと位じゃないか?それで逃げてこられたのか、大したもんだな」
「そ、そうですか…?」
「そうだろうよ。大体、スライムなんて他のヤツの餌になるために生まれてくるようなもんで、最初なんて逃げることもできずに食べられてしまうものだろうになぁ」
…そう言われても、食べられたくなかったし…
「それはもう、必死で逃げました」
「へえーー」
そう言うとドラゴンはタッキーのステータスを見た。
「確かに生まれたばかりだなぁ…レベルは低いし、大した魔法も使えない…おっ、お前‟遁走”ってスキルがあるぞ。ハハハ、逃げ上手か!!それと幸運ってのも持ってるんだなぁ…ハハハ、面白い」
ドラゴンはひとしきり笑うと、真面目な顔になり
「で、お前さん、何者だい?」
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