エピソード3-①
なんだかんだで本作2万PVを超えました!ひとえに皆様のご愛顧の賜物です。
本当にありがとうございますペコリ(o_ _)o))
ルルがマリーから魔法の威力を抑える訓練で「合格」を貰ったその日の夜、畑タッキーは畑の見回りをしていた。その時、こちらに近づいてくる人間の足音が聞こえた。
(こんな夜遅くにこの辺を歩いてくる人がいるなんて…?)
足音はだんだん大きくなっていく。
(うちの方に近づいている…??)
誰だろう…畑タッキーは足音のする方へ向かった。畑タッキーが近づくと、足音の主はちょうど家の玄関の前に来ていた。その人物が畑タッキーに気が付き、にっこりと笑って話しかけてくる。若い男性だ。
「やあタッキー、久しぶりですね」
しかし、畑タッキーはこの青年に見覚えがない。畑タッキーはおずおずと尋ねる。
「あのう…どちら様ですか?」
貴族のような高級そうな服装、長い金髪に整った顔立ち、上品な立ち振る舞い…こんな人にあったら忘れるはずがないのだが…。困った様子の畑タッキーに、彼は言う。
「ああ、そうか。この姿で合うのは初めてだったね。ジークフリートですよ。ドラゴンの」
そう言われて畑タッキーはやっと思い出し、驚く。
「ええっ!?ドラゴンの里で墓守をしていた、あのジークフリートさんですか!?」
「はい、そのジークフリートです。人里にドラゴンの姿で現れるわけにはいきませんので、人間の姿になってるんですよ」
タッキーが驚くのも無理はない。タッキーは墓守をしていた時の、大きくて全身金色に輝く、ゴールドドラゴンの姿のジークフリートしか見たことがなかったのだ。ドラゴンなら人間の姿に変化できても不思議ではない。
家の前の人物が知り合いだと判明したので、畑タッキーはジークフリートを家に招き入れ、寝ていたルルと冒険者タッキーを起こした。畑タッキーはジークフリートに席を勧める。
「うちに客間はないので、食卓テーブルで申し訳ないですが、どうぞお座りください」
「ありがとうございます」
ジークフリートが礼を言って席に着く。そこへ起こされたルルがお茶をもって全員分配っていく。全員が席に着いたところで、畑タッキーは再び畑の見回りに戻っていった。
「いやあ、本当に久しぶりですね、ジークフリートさん」
冒険者タッキーがしみじみと言う。
「本当にドラゴンさんなの!?どこからどう見ても人間だわ…」
ルルはまじまじとジークフリートを見る。
「ドラゴンは色々な魔法を使えるんですよ」
ジークフリートはにっこり笑って答える。
「ところでジークフリートさん、こんな所までわざわざ来たのには何か理由があるんですよね?」
と冒険者タッキーが突っ込んだ質問をする。
「ええ、そうなんです。タッキーにお願いがあってきたんです」
「お願い?」
ドラゴンがわざわざスライムなんかに何の頼み事だろう…と思いながら、タッキーはジークフリートの話の続きを聞く。
「ドラゴンの墓場でなくなったルードウィヒさんを覚えていますか?」
聞かれてタッキーはハッとして思い出す。
「ええ、覚えていますよ」
いつになく真剣な顔になるタッキー。そして、昔の事を思い出していた。
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