エピソード1-⑤
前話の後書きを母に見せたら笑われた。解せぬ。
それから数日後、ルルが目玉焼きの作り方をマスターしたので次の料理を教えることにした。
「じゃ、今日はスクランブルエッグを作ってみようか」
ルルはボウルに卵3個を割り入れる。最初よりもちょっぴり手つきがよくなった。
「この卵の中に牛乳をコップに半分くらいと、胡椒代わりの黒の実を少々、お塩を小さなスプーン一杯入れてよくかき混ぜるんだ」
ルルがぎこちない手つきでボウルの中身を混ぜる。
「こぼさないようにね。そうそう、上手いよ」
次にタッキーはルルにかまどの火を中火くらいにし、火にかけたフライパンにバターを入れて溶かし、プツプツ泡立ってきたらボウルの中身を入れるよう指示する。
「固まらないうちにフライパンの中身を混ぜて。丁寧じゃなくていいよ、ササッとね。ある程度固まったら出来上がりだよ」
現世では砂糖を入れるが、この世界では胡椒と同じくらい砂糖は貴重で贅沢品だった。出回る量が少ない上に高いので、庶民はめったに砂糖を使わない。
今日の付け合わせはレタスとゆでたニンジンだ。初めて作ったスクランブルエッグはそこそこの出来になった。
「「いただきまーす」」
2人は仲良く食べた。
お読みいただきありがとうございました。