エピソード2-⑯
あまり本作を投稿できませんでしたが、それでも本作をご愛顧くださりありがとうございます。
来年も本作をよろしくお願いいたします。
皆様よいお年をお迎えください。
次の日から早速ルルの魔法の特訓が始まった。
「教えてあげられるのは依頼のない日だけになるけど、それで構わないわね?」
「ハイッ!」
「じゃあまず、小さい魔法からね。その剣って、炎系と水系の魔法が使えるんだったわね。ちょっとこう、小さい"プチファイアー”って言うの、やってみて」
そう言ってマリーが指先に小さな炎を灯して見せる。マッチを一本擦って灯したような、ほんの小さな炎だ。
それを見てルルも真似しようとする。「プチファイアー」と小さく唱えた。すると剣先からゴオーッ!!と火炎放射のような炎が噴き出した。それを見てルルが「あれ?」と言う。
「あれ?じゃないよ。思いっきりやりすぎじゃないか」
とタッキーが呆れ交じりに言う。言われたルルは首をかしげながら言う。
「おっかしいなー。ちゃんと小さい火をイメージしたのに…」
これにはさすがのマリーも呆れている。
「ギギルの武器って、大体性能良すぎてちょっと大きめの技が出るけど、それにしたってこれは強烈すぎよねぇ…。じゃ、普通に火炎放射ってやるとどうなるの?」
そうマリーに言われてルルは困りながら答える。
「えっと…なんかその辺中燃えます…」
「は…?」
思わずマリーが聞き返す。
「災害級ですね。一発でウィンドウルフ4~5頭丸焼けです」
とタッキーがルルの出した火炎放射の威力の説明をする。その説明を聞いたマリーはちょっと呆れ顔で言う。
「そりゃあっという間に魔力切れになるはずよぉー。コントロールを覚えないと、いくつ魔力ポーションを持っていても足りやしないわ」
「「…ですよねぇ…」」
ルルもタッキーもため息をつきながらそう言った。
「それにね、ここって田舎だからそもそもポーションの類ってあんまり多く置いていないのよ。冒険者ギルドでも雑貨屋でも一週間に10~20本くらいかな?もっと効果の薄い、安いポーションでも20本くらいな物よ。だから頼んで取り寄せてもらって、ポーションを切らさないようにね」
「えっ、ロドリ村ってポーションそんなに少ないの!?」
そうマリーが田舎ゆえのポーション事情を説明し、ルルが驚く。その驚きに「そうよぉ」とマリーが答える。
「当然よぉ。この辺はそもそも依頼があんまりないし、強い冒険者もいないから大して買わないもの。私達のパーティは私がヒールの魔法を使うから、そもそも持っていくポーションって少ないのよねぇ」
「そっかー、じゃあ早目にギルドに注文しておこうかな」
と、タッキーが言う。その言葉にマリーは肯定する。
「そうね、それがいいわ。じゃ、今日はまず、小さく魔法を使えるようになる練習をしましょうね」
と、マリーが言って練習が始まった。
しかし、これがなかなかルルには難しい。いくらプチファイアーを目指しても火炎放射になってしまう。3~4度やって、魔力ポーションを一本飲み干す…という感じだ。
こうして特訓初日は散々な結果に終わったルルであった。
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