エピソード2-⑭
キノコ採りを続けていると、ふっとルルが口を開く。
「そういえば、ダンジョンにはダンジョンでしか取れないキノコがあるって、お母さんに聞いたことがあるわ」
その話にタッキーはちょっと興味を持つ。
「へえ~?それ、おいしいの?」
「うん、すっごくおいしいらしいの。ただ、全部のダンジョンに見つかるわけじゃないし、地下4~5階くらいまで行かないと生えていないらしいの」
「そっかー、強くならないと採取できないんだねぇ」
でも「おいしい」と聞くと、食べてみたい。タッキーはボソッと「マツタケよりおいしいかなぁ…?」と、つい口から出てしまった。
「マツ…何?」
その独り言がルルに聞こえてしまい、タッキーが慌てる。
「あっ、いや別に…。そうだ、この森って春には何が採れるんだっけ?」
この世界にマツタケがあるのかどうかわからないので、タッキーはすぐに話題を変える。タッキーに聞かれてルルが答える。
「春?フキかなぁ?あと、ムイムイの芽とか…」
ムイムイとは木の一種で、春の新芽は美味しいのだ。
「あっ、ムイムイはボクが生まれた村にもあったよ。そういえば前にイグリスさんから聞いたけど、ジャンパンでは春にタケノコが取れるらしいね」
「タケノコ…そういえば、そんなことも言ってたわね。竹って言うひょろ長い木の新芽なのよね?」
「そうそう、春になると地面からニョキッと出てきてね…」
そう言いかけてタッキーはふと思案顔になる。
「タケノコ…」
と独り言を呟きながら考えこむタッキー。
しばらくの後、妙案を思いついたのか急にタッキーが叫ぶ。
「そうだ!!タケノコだ!!」
叫ぶタッキーにルルはびっくりする。
「何よ、どうしたのタッキー!?」
「うん!いける、いけるよ!!」
「何が??」
訳が分からず、キョトンとしているルル。そんなルルの事はお構いなしにタッキーはルルの手を取ると、小躍りし始めた。
「タケノコだよ、タケノコ!!ウィンドウルフが倒せるよ!」
ルルはイマイチよくわかっていなかった。が、タッキーが喜んでいるならいいかと思い、深くツッコまなかった。
「タッキー、何か思いついたのね?」
「うん!これでイグリスさんの依頼も大丈夫だよ!」
「本当!?よかった!」
ルルもつられて踊りだす。
…辺りに誰もいなかったことは2人にとって幸いであった。いたら毒キノコの一種「ワライダケ」か何かを食べて、おかしくなっていると思われたことだろう…。
私「地下があるなら、地上のダンジョンもあるの?」
母「そんなことまで考えてなかったww」
私「まじかw」
お読みいただきありがとうございました。




