エピソード2-⑪
ギルドマスター一行は森の入り口へ着いた。夜になったので、みんな松明の明かりを持っている。
ギルド長が同行している冒険者3名に声を掛ける。
「ここから先は魔物が出る。みんな気を付けるんだぞ」
「「「ハイッ!!」」」
そうして一行が森へ踏み込もうとしたその時、奥からタッキーを抱えたルルが現れた。ギルドマスター一行の姿にルルはちょっと驚く。
「ルル!!よかった、無事だったか!!」
「ギルドマスター!?みんなも…」
「迎えに来たんだ。もう暗くなったし、心配でな」
ルルはギルドマスターのその厚意が嬉しくて、にっこり笑って礼を言う。
「ありがとうございます」
「怪我はしていないか?」
「私は大丈夫です。でもタッキーの魔力が残り9しかないんです…」
「そうか。だが心配ない。こんなこともあろうかと、救急セットを持ってきたんだ。怪我でも体力回復でも魔力回復でも、何でもできるぞ!」
準備万端でこちらに来たギルドマスターはとても頼もしかった。すぐに救急セットから魔力ポーションを出して、タッキーに1本飲ませる。魔力ポーションを飲み終えたタッキーはすぐに目をぱっちり開けて、起き上がる。
「よかった、タッキー!!」
そう言ってルルはタッキーを抱きしめる。タッキーは若干照れながら、そのままぎゅうぎゅうと抱きしめられていた。
タッキーの回復を済ませたギルドマスターは、ルルたちに薬草の採取について尋ねる。
「それで、ココクルはどうだ?採取できたか?」
「ハイ!!」
「ちゃんとありますよ」
ルルが元気よく答える。そしてタッキーが収納ポケットからココクルの束を出した。
それを見たギルドマスターはルルたちに礼を言い、同行していた冒険者3名に声を掛ける。
「おお、ありがとう!よし、すぐにギルドに持っていくんだ!薬師が待っている!!」
「「「ハイ!!」」」
ココクルは若い冒険者3名に託され、一足先にギルドへ運ばれることとなった。
冒険者たちを見送ったギルドマスターは「じゃあ俺たちも帰るぞ!」と言うと、タッキーを抱えたままのルルを、ひょいと抱き上げる。俗にいう「お姫様抱っこ」の状態だ。
ルルはいきなりのお姫様抱っこ状態に驚きと恥ずかしさで、手足をバタバタさせる。
「えっ!?ちょっっ!?降ろして下さい!!私、歩けます!!」
「何言ってるんだ、疲れてるだろ?現役引退した俺でも、お前くらいギルドまで運べるって!」
そう言うとギルドマスターは、笑いながら軽々と歩き出す。
「えええ~~~~~~~!?」
ルルはもう顔が真っ赤である。ルルの体の上で、それを見ていたタッキーは大笑いしている。
大変だった。命がけでひやひやした場面もあった。でも、終わったのだ。依頼は無事完了した。
まさかのお姫様抱っこオチw
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