エピソード2-⑧
黒い沈黙戦は肉体言語の階で挑みましたw
ゲブラー姉さんの火力ごり押しで勝ちに行きましたーw
赤い霧最強w
魔物の気配に気づいた二人は足を止める。ルルがタッキーに聞く。
「タッキー、何匹いるの?」
「結構いるよ…7匹。この匂いはオオカミだな」
「オオカミって…この辺にいるのってウィンドウルフ?」
「たぶんね…。ギルドの資料にあったよ。厄介なのに見つかったな」
タッキーは顔を顰める。ウィンドウルフは大型の上、風と氷の魔法を使う。
(ヤバイな…)
実はタッキーはウィンドウルフを倒す有効な攻撃方法を、まだ考えついていなかったのだ。
風魔法攻撃をされてしまうと、眠り薬を散布しても吹き飛ばされてしまう。何より、強風でうまく上へ飛びあがれないし、氷魔法での氷柱攻撃も喰らってしまう。
ウィンドウルフ達はルル達を囲むと、前方の5頭が一斉に風魔法で攻撃を仕掛け、その風に乗せて細く尖った氷柱を打ち出してくる。
タッキーは鉄の盾になってそれらを防いだ。だが攻撃は防げても、強風で後ろに押されてしまう。後ろには大きな岩があり、しかも激しい凹凸があるので、そこへ押し付けられたら岩が背中に刺さってしまう。
防戦一方になってしまって、タッキーは思わず愚痴が独り言のようにこぼれてしまう。
「くそっ!風の抵抗はどうにもできないか…!」
そう悔しそうに言ったその時、ふっと考えが浮かぶ。
(風の抵抗…をなくすための構造…)
タッキーの頭の中に、新幹線のような流線型の形が思い浮かぶ。
「無くせばいいんだ!!」
タッキーはそう叫ぶと瞬時に新幹線の先頭車両の形になる。ガチョウのくちばしを長くしたような、流線型のあの形である。ただ、タッキーの形態変化は体積が10歳くらいの子供分くらいにしか増強されないため、実際の新幹線の先頭車両よりもかなり小さい。
「何!?この盾の形!?」
見たことのない形に驚くルルにタッキーは
「風で押されない形にしたんだよ!」
と言い、少しずつだがジリジリと前進する。しかし、押されにくくなっただけで氷柱は飛んでくるし、ウィンドウルフ自体も接近してくる。とうとう2匹が盾の隙間まで迫ってきた。
ウィンドウルフが口を開け、牙をむく。噛みつかれそうになった瞬間、ルルはその口の中めがけて剣を突き立てる。剣は口の中から脳天を突き抜け、ウィンドウルフは倒れた。しかし、もう1頭が氷柱を飛ばし、ルルの腕をかすめた。
「…っつ!!」
「大丈夫か、ルル!?」
「平気よ、かすっただけ!」
と、氷柱を飛ばしてきたウィンドウルフの首を落としながらルルは強気に答えた。
ほぼ全ての個体が、もうすでに二人の間近に来ていた。もう風魔法を使わなくなったのでタッキーも盾の形を元に戻し、真ん中は盾の形のまま、左右の端はチェーンソーに変形させて戦うことにした。ルルもタッキーの攻撃をすり抜けてくる個体の首を確実に刎ねていった。
だが、ルルとタッキー二人でもうウィンドウルフを5~6頭倒しているのに、数が減っていない。周りをまだ4頭のウィンドウルフが囲んでいるのだ。どう考えてもおかしい。
「数が増えてる!?」
「ええっ!?」
よく見ると、また一頭加わっている。ウィンドウルフは少しずつ後から後から増えていたのだ。行きの道で倒した魔物をそのままにしていたので、どうやら血の匂いにつられて徐々に集まってきてしまったようだ。
その事実に気付いたタッキーは「くそっ!やっぱり後始末はしておくんだった!」と叫ぶ。
だが後悔しても後の祭りだった。
嬉しくないわんこそば入りまーすw
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