エピソード2-⑤
二人は再び森の奥へと走り出した。しばらくはホーンラビットなど今までもであった魔物だったので、あまり苦労せずに倒して進むことが出来た。
二人は立ち止まり、タッキーが地図を確かめながら話す。
「地図によると、もうそろそろじゃないかな?」
「本当?よかった、日暮れまでに帰れそうね」
ルルが少し安心したように言う。
だがすぐにタッキーが魔物の気配を感じて、ルルも殺気を感じてそれぞれ身構える。
「…気配がするよ。ワイルド・キャットがいる。3匹以上かな?」
「やっぱり簡単にはいかないわね。タッキー、正確には何匹?」
タッキーはリトリア村で依頼をこなすのに森に何度も足を運んだ際、新たに「探知」と言うスキルを覚えた。このスキルは自分の周囲に存在する生物を正確に把握できるようになるスキルで、レベルが上がると探知できる範囲が広がる。タッキーは元々嗅覚や気配で、大まかな魔物の数を把握できてはいたが、探知でより正確に分かるようになったのだ。
ルルは"危なそう”という殺気や悪意などは感じるが、何が何匹いるのか…まではわからない。ルルの能力は「危険察知」、タッキーは「探知」、その差だろう。
「全部で5匹いるね」
二人で3匹以上の相手は難しくなる。それでもワイルド・キャットはリトリア村で倒したことがあるので、大丈夫だろうと二人は思った。前の時のように、襲われる前にルルが空高く飛び上がり、タッキーが眠り薬をばら撒けばいい…と思っていた。
だがいざルルが飛び上がろうとしたその時、ワイルドキャット5匹は同時に口を大きく開け、火炎放射をしてきた。
「「ええっ!?」」
予想外の攻撃に二人は驚く。リトリア村のワイルド・キャットは魔法攻撃(火炎放射)なんかしてこなかったし、リトリア村・ロドリ村どちらのギルドの資料にもそんなことは載っていない。噛まれると毒が回る…位しか書かれていなかった。
タッキーは咄嗟に土魔法で、自分とルルを囲むように円筒形の土壁を作る。タッキーの土魔法は「探知」と同じくリトリア村で依頼をこなしている際に覚えたもので、現在のタッキーの土魔法は体積で大人の人間一人分くらいまでしか土や岩の壁が作れない。円筒形の土壁は二人の体を囲えるギリギリの大きさだった。
(魔法攻撃を使うなんて、最近習得したのか!?)
魔物だって生きている。日々を生き抜くためにその土地に適応したり、学習して新たな手段を身につけたりする。タッキーは鑑定眼を使って、1匹のワイルド・キャットの情報を見る。そこには確かに「魔法:火炎放射Lv2」という能力を持っている事実が記されている。
二人はそのことに少々絶望感を覚える…が、倒さねば前に進めない。
二人は覚悟を決め、強敵となったワイルド・キャットへと立ち向かう。
母の原稿からしれっと追加要素がいろいろ出てきたので、それに合わせてタッキーのステータス欄に加筆修正しました。だってそうしないと辻褄が合わないんだもん…おのれ母めw
ちなみにそれ言ったら母は「あ、ごめーんwテヘペロ☆」とか抜かしやがりましたw
お読みいただきありがとうございました。




