中間小話~畑のタッキー君・その3~
前話では母の趣味の知識フルスロットルな展開でしたw
今回は…うん、母の悪ノリがいかんなく発揮されてますw
ルルとタッキーの収入は畑の薬草を売ったり、森で冒険者として採取や狩りで得た収入だけなので、決して多くはない。最初のギリギリだったころよりは少しマシになったとはいえ、余裕はない。何か植えるにしても、初期投資はなるべく安くしたい。
(あ、そういえばマリーゴールドって、さし芽で増えるんだっけ。成分の研究がうまくいくまでは、それで増やして植えようかな)
とことん節約、である。マリーゴールドは秋になれば種が沢山採れるので、次の年は種まきして育てることが出来る。
⦅…余談ではあるが、現世でマリーゴールドの花色や品種は沢山あるので、種を採ってまくと色々交雑して、大きさは普通の小型のものに近くなり、色も混ざってしまうぞ。by原作筆者母⦆
ところで、畑にやってくる害獣の中で、一番厄介なのは…実は「同族」である。野生スライムは基本何でも食べる。薬草しか植えていないころから時々現れてはいたが、野菜を植え始めると出現率も増えた。
スライムは基本、食べることしか頭にない。なのでタッキーが同族だからと、いくら話しかけても通じないのだ。
大根をモシャモシャ食べるスライムを引き剝がして「ここの畑はボクの物だから、食べないでよね」と、タッキーが言っても『お前、後から来て横取りする気か!?』と、怒るオスの野生スライム。
「いや、もともとここはボクの畑で…」とタッキーは言いかけたが、相手は聞いちゃいない。オスの野生スライムは毒を吐きかけて攻撃してくるが、タッキーはとっくに毒耐性があったので、全く効かない。
『このぉ、しぶといなっ!』
相手のオスの野生スライムはなおも攻撃してくる。今度は溶解液だ。基本スライムの攻撃は毒か溶解液か、あとは噛みつく、喰う位で、どれもタッキーには全く通用しない。
「しょうがないなー、もう…」
タッキーは溜め息をつき、オスの野生スライムを摘まみ上げると、森の方めがけて放り投げた。
大体のオスのスライムは似たり寄ったりの反応で、全く話し合いにならなず、殺すのも…同族には気が引けるので、森の方へ放り投げていた。
『あら、おいしそうな野菜が沢山ね』
ある日、畑にやってきたのはメスの野生スライムだった。しかも結構美人である(…スライムの美の基準はよくわからないが…)。
メスのスライムはタッキーを見つけると、『ハンサムさん、この野菜、私が食べてもいいかしら?』と話しかけてきて、食べていいか許可を求めてきた。
タッキーはにっこりすると
「いいとも、沢山食べて♡その代わり、食べ終わったらボクと…」
『まぁ♡』
メスのスライムが野菜を食べ終えると、タッキーは彼女と畑の隅へと移動して、愛を育み始めた。
「なんて艶やかな肌なんだ。柔らかくて、ふっくらした体…君は最高だよ」
…スライムは普通、みんな大体そんなものだと思うが…。
するとメスのスライムは
『まぁ…♡あなただってとても逞しい、最高にカッコイイ体よ♡』
…フニフニの丸い体だが、本人達が満足ならそれでいいだろう。
お互いひとしきり体を撫でまわすと、おもむろにタッキーはメスのスライムに向けて腰(?)を振り始めた。
『あああっ!!』
メスのスライムが声を上げる。…もっとも実際には「キュイ、キュイッ」という、小さい声だが…。
交尾を終えて、タッキーがメスのスライムの体から離れる。タッキーは全身全霊をかけて腰(?)を動かし続けたのでふう、と満足感と充足感に溢れる一息をついた。メスのスライムの方は少しヒクヒクと体を震わせている。
お互いに余韻に存分に浸り終わるとメスのスライムは
『すごくよかったわ…♡こんなの初めてよ。また次の発情の時もよろしくね♡』
と言い、タッキーも
「ああ、次もぜひ君と結ばれたいよ」
と言葉を返し、メスのスライムは森へ帰っていった。
…そう、タッキーは同族でもメスのスライムにはメチャクチャ甘かった。
この日以来、オスのスライムには容赦なく森へ放り投げ、メスのスライムには野菜を食べさせていいことをする…という日々になった。
「ああ…充実してるなぁ…」
タッキーはしみじみと幸せを感じていた。…なにしろ現世では全然モテなくて、彼女ゼロの寂しい人生だったのだから…。
・知らなくても大丈夫な本作の設定小話
タッキー君は現世・前世は人間だったので、味覚も人間時代の味覚を持ち合わせています。ですがスライムに転生したことによりスライムの味覚も獲得し、ゲテモノもイケるようになりました。
でもやっぱりおいしい物が好き。
そしてタッキー君はスライムになってようやく童貞を卒業できましたw
おめでとう(?)w
お読みいただきありがとうございました。




