エピソード1-㊻
「一週間経ったね」
そうタッキーが言う。ルルはもう内心ワクワクしており、ソワソワして落ち着かないでいる。
「うん!早くギギルさんのお店へ行こうよ!!」
二人はギギルのお店に着いた。ルルは勢いよく扉を開けた。
「こんにちは、ギギルさん!剣はできてますか!?」
ルルの声に、作業場からギギルの反応があった。
「おう、ルルの嬢ちゃんか!剣なら出来てるぞ!!ホレ!!」
そう言うなり作業場からギギルが剣を持って出てくる。綺麗な装飾と魔石がはめ込まれ、最初に見た時よりもずっと美しく、立派に仕上がっている。
「すごーい!!綺麗!!まるでお貴族様の持ち物みたい!!」
立派に仕上がった剣に見とれるルルに、ギギルはドヤ顔だ。
「どうだい、嬢ちゃん?気に入ったかい?」
「もちろんよ!!」
ギギルの問いに、目をキラキラさせながらルルが即答する。
「それで、はめ込んだ魔石の効果って、どんなものです?」
タッキーがギギルに尋ねる。するとギギルがニヤリと笑いながら
「おう、それな!!ちょっと裏庭に来てくれ」
ギギルに案内されて、二人は店の裏側の空地へと向かう。庭…というよりただの荒れ地である。結構な広さがあるが、よく見てみると所々地面が抉れていたり、木が倒れていたりしており、荒れ地というより『荒らされた』感がすごい。
タッキーは何んとな~く想像はついたが、一応ギギルに尋ねることにした。
「あの~、ここは…?」
「んー…武器の試し切りをする場所…ってことになるか?そうそう、この剣には鞘とベルトを作っといたぜ。こいつはサービスだ。使うとき以外はこの剣は鞘に入れとけよ?危ないからな」
そう言うとギギルは鞘に入れた剣を取り付けたベルトを、ルルの腰に巻いた。短剣の時より様になっていて、すごくかっこいいと、ルルはご機嫌である。
ご機嫌でニコニコしているルルを微笑ましげに見ながら、ギギルは剣の説明を始める。
「まず、この剣はただでもすごく切れ味がいい。取り扱いには注意しとけよ。じゃないと自分が怪我するからな」
「はい、わかりました!」
ルルが自信あり気に答える。長い剣での練習もジンとしていたので、そこそこ経験があるためだ。
ルルの元気な返事を満足げに聞いたギギルは、剣の説明を続ける。
「剣の裏表にそれぞれ1個ずつ、赤と青の魔石が付いている。こいつは虹色鳥の額についていた魔石だ。あの鳥は色々な魔力を持つ可能性があってな、成長と共にそのどれか1つの魔力の属性に固定されるんだ。固定される時期としては…大体3~5歳くらいってところか。そしてここにある赤い魔石は炎系、青い魔石は氷と水系だ。しかもどちらも質がいい。この魔石に魔力を注いで使えば、自分で魔法を使えないやつも、普段は別の属性の魔法しか使えないやつも、炎系や水・氷系の攻撃魔法が使えるんだ。便利だろう?」
『別の属性の魔法が使える』、その説明を聞いてルルは目を大きく開いた。そして、ある希望が湧きあがり、そのことを思い切ってギギルに問う。
「あの!!私、今までどんなに頑張ってもテイム以外の魔法が使えなかったんです。こんな私でも、本当に、魔法が…攻撃魔法が使えるんですか!?」
その問いにギギルは自信あり気に答える。
「おう!大丈夫だ、ばっちり使えるぞ!!」
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