エピソード1-㊸
アカラカ探しを再開してしばらく後、二人はまた魔物と遭遇した。今度は巨大な蛇の魔物、ジャイアント・コブラである。ギルドの資料によると、ジャイアント・コブラには強力な神経毒を注入する牙があり、その毒の威力は一噛みで人間を死に至らしめるほどであるそうだ。
そんなジャイアント・コブラが多きな口を開けて、ルルに襲いかかる。ルルは噛みつかれる前に、近くにあった長めの木の枝をジャイアント・コブラの口の中へ突き立てる。木の枝自体にたいした威力はないが、外皮よりも柔らかくデリケートな口の中ではそれなりに効果がある。
「えいっ!!」
木の枝を口の中に突っ込まれてひるんでいる隙に、ルルは喉元に短剣を刺した。それとほぼ同時くらいにタッキーはジャイアント・コブラの背中に乗った。
「うりゃあああ!!」
タッキーは両腕をチェーンソーに変化させて振り回し、ジャイアント・コブラの体を切り刻む。
「よし!どうだあぁ!!」
タッキーが得気にポーズをとる。その頭をルルがぺしっと軽くたたいた。
「なにが『よし!』なのよ!も~!また皮が売れなくなっちゃったじゃないの!!」
ルルに指摘されて、タッキーが「あっ!!」と気付く。が、もう遅い。ジャイアント・コブラの体は見事にバラバラだ。ルルがタッキーを冷たい目で睨んでいる。その顔には『何度同じことをすれば気が済むんだ!』という心の声が聞こえて来そうな感じである。
そんなルルの様子に、タッキーは冷や汗たらたらだ。
「ごっ、ごめん!!何度もごめん!!ルルが危ない、って思ったらつい……」
必死で言い訳するタッキーに、ルルは溜め息をつきながら
「しょうがないわねぇ…。私を助けてくれてありがとう。でも次は、次こそは!気を付けてね!」
「…ハイ……」
タッキーはそういって、肉を食べるためにジャイアント・コブラのバラバラ死体を収納ポケットへと仕舞った。
結局その日は、そこそこの量のアカラカと、ジャイアント・コブラ1体、ワイルド・キャット4頭、ホーンラビット3匹をギルドへと持ち帰った。
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