エピソード1-㊴
大変お待たせしました^^;
ホーンラビットを仕留めたことを喜ぶタッキーにルルは急いで駆け寄った。無事なことはうれしいが、何がどうしてそうなったのかと、少々混乱気味である。
「タッキー、突き刺されたんじゃなかったの!?大丈夫なの!?」
ルルはてっきりタッキーはホーンラビットのツノに突き刺れた時に、重傷を負ったと思っていた。
「大丈夫!!刺されてすぐに2つに分裂したんだよ。今までもかすり傷位なら大丈夫だったでしょ?刺されてすぐに分裂して隠れてしまえば、相手も油断するだろうと思ってね…見事に大成功だったね」
そう言うとタッキーは分裂していた体を1つに戻した。あの場面でタッキー自身の負ったダメージは、突き刺された部分の傷口の細胞(?)が少し死んでしまった位で、実質ノーダメージと言っていいほどであった。
再び1つに戻ったタッキーの体を、ルルはギュッと抱きしめた。ルルの目には涙が浮かんでいた。
「もう…心配したんだから…。そんな器用なことが出来るんだったら、先に教えてよー…」
「ごめん、ごめん。土壇場で咄嗟に思いついたことだったから…。心配してくれてありがとう」
タッキーはルルの頭を優しくなでた。
そうして少ししてルルが落ち着いてきたので、タッキーはルルにこう告げた。
「さあルル。次の魔物が出る前に、この辺の薬草を取ってしまおうよ」
「そうね…」
ルルは涙を拭いて返事をした。そしてタッキーは思い出したように
(おっと、その前に倒したホーンラビットを収納しなくっちゃ)
と、収納ポケットにホーンラビットの死体を入れた。ツノとか牙は売れるだろうし、肉だって食べられそうだ、と内心ホクホクなタッキーであった。
辺りの薬草を大体取り終わり、少し場所を変えることにした。
歩いていると、今度はヤマネコ…を大きくしたような魔物であるワイルド・キャットが現れた。ホーンラビットと違って、額に角はないが群れで狩りをするらしく、二人を3匹で囲んでいた。3対2はちょっと分が悪い。
そこでタッキーは2匹に分裂し、両腕のように伸ばした体の一部を剣の形にした。その時、
(そうだ、どうせ形を変えられるなら…)
と思いつき、直剣の刃をギザギザにし、それぞれを回転させた。さながらチェーンソーのようである。ギュイイイイン!!とけたたましい音を立てながら、3匹のうち1匹をバラバラに切り刻むと、残った2匹は慌てて逃げていった。
「よっしゃー!!」
と、タッキーが元気よく両腕…いやチェーンソーを振り上げて、雄たけびを上げた。
「タッキーって本当にすごいわね!!次から次へと新しい技を思いつくんだから」
ルルが感心して言う。
だがルルは倒したワイルド・キャットの方を見て
「でも……これじゃあ毛皮は売れないわね…」
「あ…」
タッキーはちょっとしまったと思った。ワイルド・キャットはヒョウのような柄なので、毛皮は高く売れるのだ。首だけ落とす…とかにしておけばよかったんだが…。
「で、でも肉は食べられるかもだし…だから一応、収納ポケットに仕舞っておくね!」
と、冷や汗をかきかきタッキーは自身がバラバラにしたワイルド・キャットの死骸を収納ポケットに入れた。
こうして二人は夕暮れまでに沢山の薬草を取り、追加でホーンラビットを3匹仕留めてギルドに戻った。
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