エピソード1-①
次の日の朝、ルルとタッキーは森の入り口で薬草を取った。この薬草は結構おいしい。モグモグ食べるタッキーにルルは
「そんなに食べちゃダメ!!ギルドに持っていく分が足りなくなっちゃうでしょ!」
と注意した。
「ごっごめんなさい!!」
慌てて食べるのをやめ、タッキーは摘んだ薬草をかごに入れた。
でも実は少し、収納ポケットに入れていた。
(非常食、非常食♪)
ギルドに行くと、受付のお姉さんアンナがお出迎えしてくれた。
「いらっしゃいませ。あらルルちゃん、今日はいっぱい取れたのね」
アンナはにっこりと微笑みかける。とても可愛い人だった。金色の長い髪、そして童顔の割に胸は大きい。そのギャップが何とも言えない。
ルルは登録カードと依頼書を出した。
「依頼完了の手続きと薬草の買い取りをお願いします」
「はい、かしこまりました」
アンナは手続きを始めた。それを見ていたタッキーは「これが冒険者カード?」とルルに尋ねる。
「そうよ、これが冒険者の証なの。名前とか住所とか、所属ギルドや自分のランクなんかが書いてあるのよ」
「ランク?ルルは今どのくらい?」
「Gよ。最低ランク。だって魔法が使えないし、モンスターと戦えないんだもの。できるのは森の入り口で採取くらい」
「そっかー。まあしょうがないよね」
9歳だもんなー、とタッキーは思った。
「ギルドの冒険者ランクはGからSSSまであるのよ。実績を積めばランクを上げられるし、受けられる依頼も難しいものを選べるようになるの。ルルちゃんはまだまだこれからよ」とアンナが説明する。
「はい、依頼達成ですね。ご苦労様でした。いつもより量が多かったから買取金額も少し多いですよ」
机の上に置かれたのは小銅貨3枚。それを見ていたタッキーは
「いつもより多くて小銅貨3枚かぁ」
とぼやく。それを聞いたアンナは
「えっ!?このスライムしゃべるの!?」
と驚く。そう、普通のスライムはしゃべらない。するとルルは
「そうよ、この子おしゃべりができるの。タッキーっていうのよ」
「タッキー君?ルルちゃんがテイムしたの?」
アンナが尋ねる
「テイム?この子は友達よ。ず~~っと一緒にいるって約束したの」
それを聞いたアンナはにっこり笑って「それをテイムっていうのよ」と答えた。
「そうなの?私本当にタッキーをテイムできたの?」
「そうだよ!ボクは正真正銘、ルルのテイムモンスターになったんだよ!ルルはテイムの才能があるみたいだね。テイムも魔法の一つだから、ルルは全く魔法が使えなかったわけじゃないみたいだね」
「そうなんだ…そうなんだ!うれしい…私、今すっごくうれしいよタッキー!!」
ルルは自分にも魔法が使えたという事実に大はしゃぎし、タッキーを高く持ち上げて何度もくるくるとその場を回ったり跳ねたりしていた。アンナを含めその場にいた者たちはその光景を微笑ましそうに見ていた。
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