エピソード1-㉜
お洋服編、最後です!
今までにないことで悩んでいるルル。
そんなルルを見てタッキーは言う。
「選んで、決めるって、大事なことなんだよ。色やデザインで好みの物を選ぶ、ってだけじゃなくて、着やすいか?暖かいか?とかもよく考えてね」
タッキーの言葉に、ますますルルは悩んでしまう。
「う~~~ん……難しいよう…」
それを見てタッキーは「じゃ、とりあえず着てみようか」と言って、ルルに服を渡す。ルルは再び試着室へ入り、3着とも着てみることにした。試着し終わった後、改めてタッキーは聞いた。
「で、着てみてどうだった?」
「サイズは全部大丈夫よ。やっぱりタッキーってすごい!」
そう言われてタッキーは『ふふん、当然』という顔で「じゃあ気に入った服はどれ?」と聞く。
ルルは迷いながらも、一着は微妙に落ち着いた感じのローズピンクのもの、もう一着はオレンジがかった黄色にした。
「これとこれがいいかな。色だけならもっと明るいピンクの方が好きなんだけど、こっちの方が着やすいの」
実は、明るいピンクの方は可愛いけれど背中に小さなボタンがあり、首の後ろから腰までずらっとある。お金持ちのお嬢様なら、着替えを手伝ってくれる人もいるだろう。しかしルルは一人で脱ぎ着が出来る方がいい。
「そうだね。前ボタンの方が着替えがしやすいよね。じゃあ今度は、少し寒くなった時に着る上着を選ぼうか」
タッキーはそう言うと、沢山の上着がハンガーに掛けられて並べられている場所に移った。
ルルは上着でもやっぱり迷っていた。タッキーはサイズが合いそうな上着を5着選んだが、ルルにはどれが合うのかわからない。色は黒、茶、明るい茶、グレー、ベージュとある。
迷っているルルにタッキーがアドバイスする。
「君が選んだワンピースは1着はピンク系だよね?それ似合う色は黒や茶の他に、案外グレーも合うんだよ。もう1着の黄色のには、茶色っぽい色が合うよ。とりあえずその3点をワンピースの上に着て見て決めようか」
ルルは再び試着する。サイズはもちろん合っているし、色もよく合っている。3点着てみてルルは
「これ、このグレーのがいい!今まで茶色っぽい服が多かったから、こんな組み合わせ初めてなの!!なんか鏡で見たらすっごい素敵だったの!!」
と、ちょっと興奮気味に言う。タッキーはルルが選べたことに満足そうに「うん、そうだね。とっても可愛いよ」と褒めた。もう一方のワンピースには明るい茶色の上着を選んだ。そのあとペチコートと靴、アクセサリーを選んで買い、店を出た。
服屋を出た後のルルは、もう満面の笑みを浮かべている。こういうところは女の子だよなぁ…とその様子をタッキーは嬉しそうに見ている。
「じゃ、日も傾いてきたし、宿屋へ帰ろうか」
「うん!」
帰り道、ルルはずっとご機嫌だった。
…なぜタッキーがこんなに的確なアドバイスが出来たのか。タッキーは実は現世日本で生きてた頃、いくつか等身大美少女フィギュアという、なかなかに痛い物を持っていて、時々彼女らの着せ替え用の服を買っていた。『彼女たちはどのサイズで、どのデザインの服がよく似合うか』というのを研究し尽くした結果、一般男性よりもやたらファッションやサイズに詳しくなった…という経緯がある。…が、口が裂けてもルルにはそんなことは言えないし、知られたら最後、とても冷たい目で見られること間違いなしである…。
最後の最後でオチが付きましたw
お読みいただきありがとうございました。




