エピソード1-㉚
宿屋で朝食を食べ終えたルルとタッキーは、まず市場へと向かった。新鮮な果物や野菜、肉などが色々並んでいた。肉や魚のケースには魔法で作った氷が入れられていて、腐らないようにしてある。当然゛氷″を売る店もあり、氷魔法が使えるものにとっては、いい副業になっていた。
ルルはロドリ村以外の市場を見るのは初めてなので、物珍しそうに見ている。
「この果物、ロドリ村には売っていないわ」
「そうだね。ここはロドリ村よりも暖かいから、果物も野菜も少し種類が違うみたいだね。買っていこうか」
「うん!色々食べてみたい!」
こうして、ロドリ村で見かけないものを買うことにした二人。市場のあちこちの店でロドリ村にない物を見つけると、片っ端から買っていった。お金も潤沢にあるし、荷物が多くてもタッキーの収納ポケットに入れれば大丈夫。思う存分食料品を買い漁った。
一通り食料品を買うと、今度はルルの服選びだ。二人は子供用の服を売っている店に入った。ロドリ村の服屋より広くて、様々なサイズの服が沢山並んでいた。
「わぁー!すごーーい!!」
ルルは初めての服屋に大興奮。それもそのはず、リトリア村の服屋のように華やかな雰囲気のお店自体、ロドリ村にはない。ロドリ村には、様々な雑貨が売られている雑貨屋の一部のスペースにしか服が売られておらず、しかもシンプルなデザインの物しかない。色数も少なく、選ぶのに迷うほどないのである。そのため、飾りがあったり、デザインが変わっていたり、色も様々あって華やかな服を見るの自体、ルルにとっては初めて。目をキラキラさせて服を見ていた。
「好きな服を選んでいいよ。ただし、動きやすいものにしようね」
とタッキーが言う。しかし、ルルはどれを選んでいいかわからず、目移りして困っている。
「どんなのを選んだらいいの?」
とルルはタッキーに尋ねる。タッキーは「今まで服を選んだことはないの?」とちょっと驚きながらルルに尋ねる。
「うん、無いわ。だって服は、お母さんが作ってくれてたから」
どうやらルルの母親は、とても器用な人だったらしい。
「…じゃあ、森で狩りをするとき用の服は、ボクが選んであげるね」
小説書いててタッキー君の収納ポケットがちょっと羨ましくなった…w
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