エピソード1-㉒
待っていた人がいるかはわかりませんが、お待たせしました!
ギルドでもらった地図をたどって、村のはずれの方にある武具店に着いた。
「ここが『ギギル』ってお店ね」
「ごめんくださーい」
中に入ると、やさぐれた感じの中年の男が店番をしていた。ボサボサの髪に無精ヒゲ、どう見てもパッとしない。
「いらっしゃい」
と、店番の男はそっけない挨拶をした。ルルたちも店番の男にそれぞれ挨拶をし、店の中を見て回ることにした。
店自体は小さかったが、とても立派な武器や防具が並んでいる。こういった店が初めてのルルは興味津々だ。
「すごーい、武器がいっぱい!!」
「本当だね。すごい上等そうなのが沢山あるよ」
それを聞いていた店番の中年男はニヤリと笑って
「ほう、スライムにしちゃ見る目があるじゃねぇか。そうだろう、そうだろう?俺が作るものは皆、一級品だぜ」
と、胸を張る。
「じゃあ、あなたが店主のギギルさん?」とタッキーが尋ねると、中年男は「おう」と頷いた。
「そうともよ、俺がギギルだ。…にしても、しゃべるスライムなんて珍しいな。初めて見たぜ」
その言葉にタッキーはにっこり笑って
「ボクの特殊能力です。ボクはタッキー。こちらはルル。ボクはルルのテイムモンスターです」
と、そういって紹介する。
「ほう…嬢ちゃんはルルって言うのか。そんでもってテイマーかい。ちっさいのに冒険者なのか?」
「そうよ。お母さんが死んじゃったし、自分でお金を稼がなきゃいけないから」
「そうか…大変だな。じゃ、今日は嬢ちゃんが使う武器を買いに来たのか?」
「そうなの」
そういってルルは持っていた短剣を出して
「これじゃ魔物と戦うのには小さくて…もう少し長くて、できれば軽い剣が欲しいんだけど…」
それを聞いたギギルは考え込んで
「ふ~~~~ん…そうか…嬢ちゃんでも使えるヤツねぇ…これなんかどうだ?」
そういってギギルは店の棚に飾ってあった剣の1本を取って、ルルの前に持ってきた。その剣は細い刃で、ルルが持っている短剣の3倍位の長さである。ピカピカと輝いていて、とても切れ味がよさそうだ。
「持ってみるかい?」
と、ギギルはルルに剣を差し出した。受け取ると、ルルの目が一段と輝いた。
「軽~い!!すごい、すごいわ!!短剣よりもずっと大きいのに!!」
「だろ?素材も俺の腕もいいからな」
ギギルはルルの反応に満足げにニヤリとする。
…そしてタッキーは冷静に肝心なことをギギルに聞いた。
「で、これ、おいくらですか?」
「小金貨5枚だよ」
「「ええっ!?」」
…予想以上の値段を聞いて、二人は驚いた。
お読みいただきありがとうございました。




