エピソード1-⑳
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拙い本作ですが、これからものんびり頑張ります!(^▽^)/
「ええっ、大銅貨8枚!?」
高値を示され、ルルはびっくりする。そしてOKしていいものかどうか迷っていると、タッキーが思いついたように言った。
「あ、じゃあさ、こっちを買い取ってよ」
そういって、口からポロポロポロッとポンの実を10個出した。
「おおおっ!!」
その実を見て、今度はイグリスが驚いた。今回1つも買い付けられなかったポンの実が、10個も出てきたのだ。
「10個だから銀貨8枚になりますが、払えます?」
タッキーはちょっと商売っ気のある顔になって言う。しかしイグリスは満面の笑みで
「払うとも!!10個全部買わせてもらうぞ!!」
何の迷いもなく即決した。
「太っ腹ですねー」
タッキーが感心する。
「イグリスさんって、お金持ちなのね」
ルルも言う。イグリスはホッホッと笑って銀貨8枚をルルに渡す。ルルはタッキーの収納ポケットに受け取った銀貨をしまってもらった。
「わしは商人じゃからな、チャンスは逃さんのじゃよ。そのためにいつも金は多めに持っとる」
自慢気にイグリスは言う。しかしそれを聞いたタッキーは、心配そうに言った。
「でもそれって危険じゃないですか?護衛の1人2人はつけた方がよくないですか?」
それに対してイグリスは全く動じることなく
「馬車に乗り合わせるのが冒険者の時は人を雇わんのじゃ。誰も守ってくれなさそうなときは依頼するがの。今回は君たちが一緒だったんで大丈夫だろうと思ってな、費用の節約じゃよ。君たちの噂はロドリ村で聞いとった。そこそこ腕は立つらしいし、ポンの実を取ってこられるんなら十分じゃよ」
そういってイグリスはホッホッと笑った。さすがは商人だ。そこでタッキーは
「じゃあ、ポンの実10個買ってくれたお礼、ってことでこの最初の1個はオマケとして差し上げます」
と、あらためてポンの実1個を差し出した。イグリスはにっこり笑って「そういうことなら、ありがたく頂くとするかの」と素直に受け取った。
ポンの実を一口かじると、上品な甘みが口に広がる。
「おお、これはうまい!!良い品じゃ!!」
イグリスが喜んでるのを見て、ルルは満足げだ。
「そうでしょう!!採れたてだもの!タッキーの収納ポケットに入れておけば、いつまでも入れた時と同じにみずみずしいのよ!」
そう自慢げに言い、タッキーも自慢気に胸を張る。スライムのどこに胸があるかは不明だが。
そしてルルとタッキーもポンの実を食べ始める。それを見てイグリスは心の中で
(できればそっちの実も買い付けたかったくらいじゃが…お昼ごはんを取り上げることもできんしのう…)
と、ちょっと悩ましげだった。
…ちなみに、この後リトリア村に着いたイグリスは「今年はとても手に入りづらくてのぅ…」と、ルルたちから買い付けたポンの実を、1個銀貨5枚で売りつけたのだった。
イグリス爺さん、がめつく賢い商人の鏡であるw
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