エピソード1-⑯
ルルとタッキーが貯めた金額は小金貨2枚。日本の金額に換算すると約20万円、ルル達には大金だ。また、2か月間の間にルルとタッキーのレベルも上がった。タッキーのレベルは55、体もバスケットボールくらいの大きさに成長し、この世界の標準的なスライムの大きさになった。
タッキーは新しく薬の調合と解毒魔法と血抜きを覚えた。薬の調合は、薬草から傷薬と毒消しが作れるようになった。解毒魔法のおかげで毒で獲物を仕留めても、血抜きの際にまとめて吸い出して体内で解毒することが出来るようになった。おかげでより安全に獲物を食すことが出来るようになり、2人は大いに喜んだ。ちなみに血抜きの方法は、針状に体を変化させて獲物の体に突き刺し、血液を吸引するというもの。
(なんか血液検査で採血されたことを思い出すなぁ…、採血する看護師さんはこんな気持ちだったのかな?)
とタッキーは思った。
ルルのレベルは15になった。タッキーはレベルが上がるにつれてさすがに1上げるのにも大変になってきたが、ルルは短剣で戦うことが多くなったからだろうか、以前よりも上がる速度が速くなった。
また、2人はMP…魔力量がかなり多い。現時点でルルが194、タッキーが221である。Aランク冒険者で魔法使いのマリーの魔力量が203なので、ルルとタッキーの値はレベルに見合わないほど多いことになる。
いよいよリトリア村へ行く日になった。食べ物・飲み物などはタッキーの収納ポケットに入れたのですごく身軽だ。乗合馬車に乗るので、手続きをしにギルドへ行く。ギルドでは行先別の馬車と乗客の手配・調整をしている。このシステムは商業ギルドと共同で、もちろん一般の村人も利用できる。…ただし、割引料金になるのは、どちらかのギルドに所属しているものだけだったりする。
ルルはギルドの受付に行くと、アンナに尋ねる。
「リトリア村に行く馬車はありますか?」
アンナはにっこり笑って
「ありますよ。ちょうどあと一時間後に出発の予定です。今のところ、一緒に乗るのは一人だけですね」
あまり割引にはならないけれど、一人もいないよりはいい。さすがに2人だけというのは寂しすぎる。
アンナは手続きのための書類を書く手を止めて
「リトリア村に行くってことは、剣のオーダーね。お金が貯まったのね!」
それを聞いたルルは、ドヤ顔で言う。
「そうなの!小金貨2枚よ!」
「まあ、すごいわね!いいものを作ってもらえるといいわね。気を付けていってらっしゃい!」
アンナはルルにチケットを渡すと、笑顔で2人を見送った。
母曰く、ルルの住んでいる村には冒険者ギルドのほかに商業ギルドがあるそうです。大きな村や町に行くと他のギルドもあるそうなんですが…田舎なので最低限のこの2つのギルドしかないんだそうで。
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