エピソード1-⑪
自分のレベルを聞いてものすごく落ち込むルルにタッキーは、何とか元気づけようと必死に言葉を選んで励ましていた。
「だ、大丈夫だよ!レベルなんて後からいくらでも上がるから!あ、それにほら、僕と同じ数字のところとか、似た数字のところもあるから!」
「…そうなの?」
「うん!!本当本当!えーとね、MP…魔力量は120だからボクとあまり差がないよ。ルルは生まれつき魔力量が多いんだね。」
「そう、なんだ。んー…お母さんが魔法使って魔物とか倒してたから、お母さんに似たのかな?」
「そうかもしれないね。あとAGI…素早さの数値が30でボクと同じだね。そういえば、今回の魔物にあった時も結構早く逃げられてたね。多分、この素早さの数字が高いおかげだね」
「う…あ、あまり逃げたとか言わないでよ…怖かったんだもん…」
「別にバカにしてるわけじゃないよ。むしろ褒めてるんだ。危険だと感じたら真っ先に逃げる、生き抜くうえで一番大事なことだよ?これはルルが頑張って生きてきた証拠。努力の証。胸を張って誇るべきことなんだよ」
「そっか…頑張ってきた証か…。うん、ありがとうタッキー」
何とか落ち込みから回復したようで、ほっと一安心のタッキー。実際自分も、逃げ足は生きていくうえで一番大事だと身をもって体験した。ちょいとセリフがクサい気がするが、今は気にしないことにする。
「そういえば、私はほかにどんな能力とかあったの?」
「えっとね、魔法はテイムだね。あとは…あれ?何だろうこれ?危険察知力…?何か思い当たる感じとかある?」
「??ううん、よくわかんない」
ルルはよくわからずきょとんとしている。
「よくわからないかー。もしかしたら、これからはっきり自覚する能力かもねー」
タッキーはそういうと、倒した魔物の方を向く。
「さて、倒した魔物を解体して回収しようか。もしかしたらお金になるかもしれないし、肉だって食べられる」
タッキーは手際よく魔物を解体し始める。前世農家の子供だったタッキーは親の手伝いで農業以外にも、狩りで得た獲物の解体もしていた。
(最初に解体を手伝わされた時は、泣きじゃくって悲鳴上げまくったなぁ…)
なんせ農家の子供に生まれる前はただのサラリーマン。死体やらスプラッターとは無縁だった。初めて見る生々しい死体はなかなかに衝撃的だった。だがしかし、解体された獲物の肉を調理して食べるとそのおいしさに衝撃と感動を覚え、次からは自ら進んで解体を手伝うようになった。人間とは現金な生き物である。
「私も手伝うね」
と、ルルも加わる。手つきはちょっとぎこちないが、母親から解体のやり方を教わって手伝っていたので、一応皮をはいだりはできる。
「「今日はごちそうだね!!」」
ルルとタッキーはお互い笑顔でそういった。
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