エピソード4-④
すごく暑かったと思ったら急に寒くなりましたね…。皆様、体調には十分お気を付けください。(ちなみに娘の私は風邪ひきましたw)
魔法学校を後にして、二人は王都中心部へ向かった。歩きながらタッキーは自身の収納ポケットから、魔法学校で購入した過去問集を取り出し、読み始める。歴史などはともかく、数学に関しては思ってた以上に高度な物だった。
「えっ!?方程式!?マイナスも出てくるのか!」
この世界でこんな高度な学問があるとは思ってもみなかったというのが、タッキーの正直な感想だ。ルルには分数と少数までしか教えていなかった。そのため一次方程式なんて、タッキーには簡単だが、ルルには無理である。
タッキーが過去問集を読んでいると、ルルが覗き込んできた。そして「この、数字じゃない文字って何?」と聞いてきた。数学でお馴染みの『ⅹ』と『y』のことである。
ルルの質問にタッキーが答える。
「うん、ルルにはまだ教えてないよね。この『マイナス』ってのもね」
「うん。初めて見たわ」
「筆記試験はやっぱりボクが代わりに受けるよ。でも、マイナス位なら後でルルに教えてあげるね」
「ありがとうタッキー。とても心強いわ」
王都中心部に着いた二人は、宿を探した。しかし、どこも一杯で泊まるところが見つからない。
「明日は第三王子様の戴冠式があるからねぇ。国中から、いや、国外からも人が集まっているんだ。済まないねぇ」
宿屋の主人はどこも口を揃えて戴冠式の事を話した。
「困ったわねぇ…」
宿が見つからないことにルルが溜息をついていると、最後に立ち寄った宿屋の主人が申し訳なさそうに提案する。
「あのう…馬小屋なら空いているんだけど…ダメかな?お金はいらないよ」
「えっ!?いいんですか!?」
ルルの目がパッと輝く。元々が貧乏なので、質素な暮らしには慣れっこだ。
「ああ、先日馬が一頭亡くなったから、ちょっと空いているんだ。今は藁置き場になっていてね。本当にそこでもいいかい?」
「「はい!もちろんです」」
ルルとタッキーは間髪入れずに元気よく答えた。
馬小屋に着くと、寝られるくらいのスペースが空いていた。
「わー、藁がいっぱい。フカフカだわ」
「ここに敷物を敷けばベッドになるね」
と、タッキーは自身の収納ポケットから厚手の敷物を出して敷く。
「枕もあるよ」
と、ポケットから枕も出す。
「ありがとう」
「はい、掛布団」
「なんでも持ってるのね、タッキー」
ルルが感心している。
「エヘヘ、何でも持ち歩けるのが、この収納ポケットのいい所さ」
タッキーはちょっと自慢気だ。
「「おやすみなさい」」
タッキーの収納ポケットのお陰で二人は馬小屋にもかかわらず、快適に眠ることが出来た。
お読みいただきありがとうございました。