エピソード4-③
事務員は急いで事務所の奥で願書一式を用意して、ルルに渡した。タッキーはルルから願書一式を受け取って、自身の収納ポケットに仕舞う。事務員はルル達がお金を持っていることがわかると、きちんとした態度で説明を始めた。
「え~、まず学科についてです。本校では3つのコースがあります。一般的な『魔法科』、次に直接攻撃に特化した『体術・剣術科』、そして『テイマー科』です」
「テイマー科?」
「ええ。テイマーにはテイム以外の魔法があまり使えなかったり、全く使えない者も少なくないので、別の科にしているのです」
「私もテイムしか使えません」
「そうでしたか。実はそのような方は珍しくないんですよ。なので試験もテイマー科は特別なんです。試験は筆記と実技の2つがありますが、その両方ともテイムモンスターが代わりに受けてもいいんです」
「えっ、そうなの!?」
「はい…出来るなら…ですが…」
そう言って事務員はチラッとタッキーを見る。スライムなんかに何が出来るものか…と目が言っているのがわかる。タッキーはそんな事務員の視線にカチンと来て、
「そうですか!では筆記試験はボクが受けますよ!何なら実技だって大丈夫です!」
と、喧嘩腰に言葉を発する。
タッキーに喧嘩腰な言葉を言われた事務員はちょっと無言になって
「…そうですか。ま、それは二人で相談して決めてください。…それとは別に、試験の成績がどうあれ、大金貨100枚頂ければ、確実に入学できますよ」
と、事務員はこっそりルルに耳打ちする。要は裏口入学も出来ると言われたのだ。
「いえ、ちゃんと試験を受けて入学します!」
と、ルルはきっぱりと言い切る。
ルルの言葉を軽く聞き流しながら、事務員は話を続ける。
「そうですか、では頑張ってください。…そうそう、入学が決まると入学金として大金貨20枚、一年分の学費として大金貨50枚、全寮制なので寮費・生活費で一年間で大金貨100枚が必要になります」
高い!と思ったが、素材や鉱石を売ったお金がある。タッキーは胸を張って「大丈夫です、払えます」と言い切った。
だが、2年生・3年生分はどうだろう…少々不安になってきたタッキーは
(後で冒険者ギルドに行って、当たり障りがないような素材を少し売っておこう…)
と思った。
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