エピソード4-②
(細くてキレイな足だなぁ…)
後ろの棚で地図を探しているアリアーナの美脚にタッキーはつい、引き寄せられてしまう。もう少しでタッキーの手(?)がアリアーナの足に届く…というところでグニャッ!!と、アリアーナの靴のヒールがタッキーの頭(?)を踏んだ。
「あぎゃ~~!!」
踏まれて思わず叫び声をあげるタッキー。アリアーナはヒールを除けて、タッキーに声を掛ける。
「あら、失礼しました。小さくて見えなかったものですから…」
タッキーが踏まれた頭(?)を押さえながら上を見あがると、アリアーナは黒い笑みを浮かべている。
(クッソ~~…わざとやったな)
タッキーは腹が立ったが、悪いのは自分なので何も言い返せない。ふとタッキーが後ろを向くと、ルルは口を押さえ、腹を抱え、声を殺して笑っていた。
二人は地図を受け取ると、魔法学校へ向かった。王都のややはずれの方に位置していたため、学校までは結構距離があった。
学校の事務室へ行くと、応対した事務員が「この学校に入りたい?」と言って、ジロジロ二人を見る。
(それなりにきちんとした身なりだが、平民だな)
と、事務員は思った。そんな事務員の視線に構わずルルは用件を伝える。
「はい。来年入学したいので、願書が欲しいんです。それと、試験や入学についても色々お聞きしたいです」
「願書…?」
事務員は怪訝そうな顔をする。
「願書は有料ですよ。それと受験する人は大体皆買われる参考資料の歴史書と、過去の問題集もありますが、ちとお高いですよ?」
平民に払えるのか?と言いたげな目だ。バカにされてるな、と感じたタッキーは「おいくらですか?」と聞く。
「スライムがしゃべった!?」
と、事務員は驚く。そんな事務員にルルがタッキーについて説明する。
「はい、私のスライムは喋るんです。テイムギフトのお陰です」
本当はテイムギフトじゃなく元々なのだが、根掘り葉掘り聞かれたら面倒なのであらかじめ二人は、王都へ来る前に口裏を合わせていた。事務員はとりあえず納得し、話を続けることにした。
「そ、そうなのかい。…びっくりした。で、願書は一式で大金貨1枚、過去の問題集も大金貨1枚、歴史書は大金貨2枚、合わせて大金貨4枚ですよ」
「「大金貨4枚!?」」
値段の高さにルルもタッキーも驚く。村にいた頃、大金貨なんて使ったことがなかったからだ。その様子を見て事務員はほらやっぱり…という風に「平民の方には少々高すぎる金額ですよね?」と言った。
それを聞いたタッキーはムッとして「お金ならあります!」と、そう言って自身の収納ポケットから金貨袋を取り出し、ドンッとカウンターに置くと、中から大金貨4枚を取り出す。
「はい、大金貨4枚」
事務員はまさか払えるとは思わなかったので、大層驚く。しかも金貨袋の中はたぶん大金貨でいっぱいだろうと、容易に想像がつく。
「はっ、はい確かに受け取りました。少々お待ちください。今ご用意しますので」
事務員は急いで願書一式を用意しに、事務室の奥へと向かった。
一部の人にはヒールで踏まれるのはご褒美なのかな…?w
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