エピソード4-①
「わあーっ、すごいわ、丁度よくなってる!」
ルルが着てはしゃいでいたのは、剣を作るためにリトリア村へ行ったときに買っておいた、少し緩めの秋~冬服だ。
二人はこれから王都にある、魔法学校へ願書を取りに行くのだ。来年の試験と入学に向けて、色々聞いておきたいこともあった。
そして、ルルの普段の格好は、とても王都へ出向くのにはふさわしくなかった。
(やっぱり余所行きの服を買っておいてよかったな)
タッキーはニッコリしている。ルルにぴったりだし、とても可愛らしい。バサバサの髪も、昨日切ってもらってきた。
「それじゃあ出発するね。留守番よろしく、畑タッキー」
「じゃ、よろしく頼むよ」
「ハイッ!任せてください!」
ルルと冒険者タッキーが畑タッキーへ声を掛け、それに元気よく畑タッキーが答える。
「いってらっしゃーい!」
馬車に揺られて、ルルとタッキーは王都へ到着し、すぐに王都の冒険者ギルドへ向かった。
「いらっしゃいませ」
出迎えた王都の冒険者ギルドの受付嬢は、色白金髪ストレートでセミロング、とても知的な感じのする女性だった。ルルは受付嬢へ挨拶する。
「こんにちは、ロドリ村から来たルルです。こっちはテイムモンスターのタッキーです」
「ロドリ村?ずいぶん遠くからいらしたのですね」
受付嬢は、チラリとルルの肩の上のタッキーを見る。スライムなんかテイムして、何の役に立つのだろう…そんな目だ。しかし、ルルから受け取った冒険者カードを見て驚く。
(Eランク!?年は9歳って書いてあるわよね!?9歳の子とスライムで、どうしてこんなに上のランクなの!?)
受付嬢は驚いたが、とりあえず仕事をこなすことにする。
「私はアリアーナと申します。こちらへはどのような御用でいらしたのですか?」
「私、来年から魔法学校に入りたくて、そのための願書を取りに来たんです!」
ルルは元気よく答える。アリア―ナはルルの言葉を聞いてさらに驚く。
「魔法学校は10歳から入れますが…とてもお金がかかりますよ?」
「あ、それはたぶん大丈夫です。素材を売って結構貯えがありますから」
タッキーは胸(?)を張る。アリアーナは凄く怪訝そうな顔をしながら、言葉を続ける。
「…そうですか。魔法学校の場所はわかりますか?」
「いえ、大雑把にしか…」
「では、地図をお渡ししますので、少々お待ちください」
そう言ってアリアーナは後ろの棚から地図を探し始めた。
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