中間小話~新たな遺産・その③~
※えー、引き続き内容がアレなため、食事中にながら読みしないことをお勧めしますw
しばらくして、堆肥が出来た。
「うん、こんなものかな」
そしてもう一種、別のフンがあるのを思い出した。それはなんと、ドラゴンのフンだ。ドラゴンから排出されたものなせいか、フンまで魔力を帯びていたので別にしておいたのだ。
「こっちでも一応堆肥を作っておくか」
タッキーは最初の堆肥を作った場所から少し離して、ドラゴンのフンから堆肥を作り始めた。
先にできた魔物のフン堆肥を、大根に施してみた。すると、ほんの4~5日で立派な大根に育った。元々タッキーは土属性であるため、魔力相性が良く作物が育ちやすい作用がある。それに加えて、魔物堆肥はとても優秀なようである。
「これは凄い。貰っておいて正解だったかな?」
タッキーはこの結果に満足気である。冬が来るまでもうあまり日数に余裕がなかったが、魔物堆肥を使えば冬が来るまでにより多くの作物を育てて収穫できそうだ。
「…そういえば、あっちの堆肥はどうなったかな?」
少し遅れて、ドラゴンのフンも堆肥になった。タッキーはそれをジーッと見つめる。
「…やっぱり少し不安だなぁ…試しにちょっと畑の隅に植えてるコスモスにあげてみようか」
そうして実験的にコスモスにドラゴン堆肥を施し、次の日畑へ出てタッキーは驚く。なんと、コスモスが魔物化している。花の中心に口があり、葉と茎は手のように動き、根も土の中から出て地面を歩いている。そして、その辺にいるネズミやウサギを捕まえて食べていた。魔物化したコスモスはタッキーに気付き、襲いかかってきた。タッキーは実験結果に驚いたが、このまま魔物化コスモスをのさばらせておく訳にもいかず、応戦する。
葉と茎は触手のように動き、タッキーを捕まえようとする。
「捕まったら多分、あの花の中心の口に運ばれて、喰われちゃうんだろうな。そうはいくか!」
タッキーはおなじみの腕チェーンソーで葉と茎を切る。しかし、切った所から再び葉と茎が伸びて元通りになる。もう一度切ったが、すぐに再生して元通りだ。中心の太い茎を切っても、頭のように見える花を切っても、すぐに再生してしまう。しかも魔物化したコスモスは5匹もいて、仮に1匹を切り倒して再生するまで少し時間がかかったとしても、残り4匹が襲ってくる。
「くそっ。キリがないな!」
切っても切っても倒せないなんて…。しかし、切り続けてるうちにふとタッキーは、再生の仕方が普通と少し違うことに気付く。普通なら、再生すると切ったその切り口から新しい葉と茎が生えて元通りになる。しかし、このコスモス魔物は切った茎の、その下の枝分かれしている付け根部分から‟脇芽が出てくる”といった風に新しく葉と茎が出てくる。中心の太い茎を切っても、その下の方から脇芽が出て、茎を伸ばし花を咲かせる。
「魔物化しても、こいつらは‟植物”なんだ。…ということは‟成長点”を狙えばいいんだ!」
成長点とは、植物の茎や根の先端にある細胞分裂が活発に行われてる場所だ。そこを切り刻んでしまえば、再生できなくなると推察したタッキーは、根と茎の間辺りを狙って腕チェーンソーを振り下ろす。すると、そこを切られたコスモス魔物は再生しなくなった。タッキーはそのまま根を細切れにすると、やっと1匹動かなくなった。
「やった!!」
タッキーは同じようにして、残り4匹のコスモス魔物を倒した。
「ドラゴンのフンで作った堆肥を撒いたら植物が魔物化する」と言うのは、私が冗談で言ったものでした。そしたら母が気まぐれで採用しちゃいましたw
お読みいただきありがとうございました。