中間小話~新たな遺産・その②~
※えー、引き続きこの小話は内容がアレなため、食事中にながら読みしないことをお勧めしますw
墓場へ足を踏み入れると、目の前には天辺がどこなのかわからない位うず高く、神々しい物体が積まれていた。
「ちょっと間に合わなかったみたいですね。遺産の持ち主は亡くなってしまいました。こうなると時間が経つにつれ、腐ってしまいます。さあ、タッキー君、早めにポケットに仕舞ってください」
落ち着き払ってにこやかに喋るジークフリートに、タッキーは腹を立てる。
「ちょっと待ってくださいよ!!何なんですかコレは!?何の役に立つんです!?」
「堆肥」
平然と答えるジークフリート。確かにドラゴンの役には立たないが、畑を作っているタッキーなら役立てられる。
「そりゃー、ボクは堆肥を作ってますよ!?でもこんなに山ほどあったら、一生かかっても使いきれるかどうかわかりゃしません!!大体、何のためにこんなモノをコレクションにしてたんです!?」
捲し立てるタッキーにジークフリートは落ち着き払って答える。
「さあ…?コレクションしてた本人はもう亡くなってしまいましたし、確かめようがないですねぇ…」
「うわあぁぁ…!!」
タッキーは頭(?)を抱えて叫んだ。
そんなタッキーに対してジークフリートはタッキーの肩(?)をポンポンと叩いて「まぁ、栄養はあるでしょう。どうぞ役立てて下さい」と、にこやかに優しく語りかけた。
タッキーは諦めて、泣く泣く茶変物質をポケットに仕舞い始めた。それを見ていた墓守のカサンドラは、ちょっと気の毒に思い、自身のポケットからポンの実を一抱え出して、タッキーに譲った。
「ごめんなさいね、無理なお願いをして…お詫びにこれをあげるわ」
「ありがとうございます」
カサンドラからポンの実を受け取り、タッキーは自分のポケットに仕舞う。どういう訳か、ポケットに入れたものは混ざらず、別々に保管される。タッキーはこの時ほどこの機能に感謝したことはなかった。
遺産の受け取りには結構時間がかかってしまった。ぐったりと疲れ切って家に戻るタッキー。畑タッキーが事情を聴きに来たので訳を話すと、冒険者タッキーは物凄く同情された。
しかし、疲れているとはいっても、モノがモノだし、量もとんでもない。出来るだけ早く堆肥にしてしまわねばならない。臭いがとんでもないので、自分の家からも他人の家からも遠い辺りの畑の隅っこに、冒険者タッキーのポケットの中から適当に物体Xをドカドカ出してもらい、畑タッキーが堆肥を作ることになった。
すると、まだ何もしていないうちから、どこからかニオイを嗅ぎつけたスライム達が、次々に物体Xに食いついていた。
『おいしいね』
『うん、おいしい。初めて食べるよ』
『僕も初めて』
夢中になってスライム達はアレを頬張っている。体もアレのせいで茶色いモノ塗れになっているが、お構いなしだ。
(初めて…?そうだろうなー。ドラゴンの里の近くになんて、スライムは行かないだろうし…)
いつもなら畑を荒らし、野菜を食べるスライムなんてすぐに蹴散らすのだが、モノがモノだし、思いっきり沢山あるし…。
「…食いたきゃ好きなだけ食えよ。いくらでもあるしな。…ただし、その茶色いモノを付けたまんまでこっちへ寄ってくるなよ」
『『『わーい、今日はずいぶん優しいね!』』』
そう言って嬉しそうに茶変物質を食べるスライム達を、タッキーは溜め息をつきながら生ぬるい目で見ていた。
嫌な予感がしてた読者の皆さん、予想は当たってましたか?w
多分当たってた人が大多数だとは思いますがw
お読みいただきありがとうございました。