エピソード1-⑦
市場でルルがタッキーの指示で野菜を選んで買う。今回はキャベツとピーマンだ。家に帰り、またタッキーがルルに料理を教える。
「ピーマンは洗ってヘタと種を取る。キャベツは一番上の葉が痛んでいたら取り除いて、その下の葉を使うんだ。両方とも一口大くらいの大きさに切ってね。お肉の方もそのくらいの大きさでね」
まだまだぎこちない手つきで包丁を握り、恐る恐る何とか切っていく。かなり大きかったり小さかったりバラバラだが、そこは気にしない。
「じゃ、炒めようね。フライパンを火にかけて、油を少し入れてフライパン全体に広げて。やり方はフライパンを傾けて、くるーっと回して…それでもダメならヘラとかで伸ばしてもいいよ。野菜とお肉を入れて、その上から塩と胡椒モドキを振りかけて、混ぜながら炒めるんだ。焦がさないようにかき混ぜてね。お肉の色が変わって、生の部分がなくなったら出来上がりだよ」
「お野菜は?どうなると出来上がりなの?」
ルルが質問する。
「んー、少ししんなり…柔らかくなったら…かな?」
曖昧な表現にルルは戸惑う。
「よくわかんないよ…?」
「そうだなー…ま、慣れと勘だねー。これから何度も作っていけばわかるさ」
「えー?それじゃ、その勘?とかがわかるまでずうっと失敗なの?」
「大丈夫大丈夫、ボクが見てるしさ。それに肉さえちゃんと焼けていたら、野菜はちょっとくらい生のところがあったって食べられるから!!」
「ええーー!?」
大雑把なタッキーの料理教室。今日もそれなりに出来上がり、2人で一緒に食べた。タッキーは食べながら、
(現世だったらここにコンソメとか入れたいなぁ。醤油をちょっと垂らしてもおいしいだろうし…)
などと考えていた。
お読みいただきありがとうございました。