エピソード0-①
母の書いた小説を加筆修正・訂正し投稿しています。よろしくお願いします<m(__)m>
ある田舎の夕暮れ時、一人の少女がくたびれた様子で自宅と思われる家へと戻っていった。少女の名前はルル。彼女はまだ小さい。栗色の髪が肩ぐらいに伸びているが、手入れをしていなくてボサボサ。服もかなり粗末だ。ルルは採取かごを床に置いて、本日の成果を思い返していた。
「ああ疲れた。でも今日は結構薬草が取れたし、珍しくもっと奥の方に生えてるはずのポンの木が、森の入り口近くに見つかって実も取れたし」
ポンの実とは、見た目も味もリンゴに近い木の実である。ルルにとっては貴重なごちそうである。
「夜はこれを食べて…明日ギルドに薬草を届けよう」
そう言ってかごの蓋を開けると、入ってるはずの薬草はそこには無く、代わりに底の方に何やら丸いものが入っている。
「な、何これ!?」
ルルはかごを逆さにした。そうしたら中からテニスボールくらいの大きさのものがボトッと落ちてきた。
落ちてきたのは小さなスライムだった。ルルはびっくりした。
「えええ!?なんでスライムが入ってるの!?」
スライムの方もびっくり。かごの中でぐっすり眠っていたところを起こされたのだから。
目をパチクリしてスライムはルルを見る。
「あっ、まさかキミが薬草もポンの実も全部食べちゃったの!?」
ルルの話をそこまで聞いて、スライムはやっと状況が呑み込めた。
「ごっ、ごめんなさい!!おいしくてつい食べちゃったんです!!」
お読みいただきありがとうございました。