表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹色のヒーロー  作者: 葛木真時
第3章
21/23

第21話 レイジングフォックス

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 2022年6月19日


明日流(あする)!お母さん買い物に行ってくるから、お留守番お願いね!」

「はーい!」


 4歳の明日流(あする)は買い物に出かける母親を見送った。


『人々を脅かす悪の手先よ!刮目せよ!』

『覚悟しろ!』

『正義のヒーロー!ストロングマン!』

『情熱の相棒!パッションマスク!』

『『ここに、参!上!』』


「いけーー!!パッションマスク!!」


 明日流(あする)はテレビでストロングマンブラザーズを見ていた。

 時刻は17時12分53秒になった。

 

――――――――――――――――――――――――


 大きな音とともに、星戸府の中心で大きな爆発が起きた。


「ウオオオオオオオオオッ!!!!」


 爆発の中には白い姿の怪物、ファルブロスがいた。


――――――――――――――――――――――――


『行くぞ!ストロングキィィッ――』

『番組の途中ですが、ここで臨時ニュースです。星戸市に未確認生命体が出現した模様です。また、未確認生命体の周辺で大きな爆発が起きたとのことです。付近の住民は直ちに避難してください。』


「あっ…!」


 テレビの画面は、突然ストロングマンブラザーズからニュース映像に切り替わった。


『繰り返しお伝えします。星戸市に未確認生命体が出現ました。未確認生命体の周辺では大きな爆発が――』


 次の瞬間、映像に映るスタジオと、ニュースキャスターの体が左半身から消滅していき、テレビの映像はピーという音とともにカラーバーの映像に切り替わった。


「えっ!!?」


 それを見た明日流(あする)は驚愕した。


――――――――――――――――――――――――


 星戸府園ヶ崎市。


「キャーーーーーッ!!!」


 人々は悲鳴を上げ、逃げ惑う。


「ウオオオオオオッ!!!」


 ファルブロスが腕を振り下ろすと、爪から斬撃が飛び、斬撃が当たった人や建物は消滅していく。

 あっという間に星戸府の半分はファルブロスの手によって消滅してしまった。


――――――――――――――――――――――――


 明日流(あする)がいる隅川市は、星戸府の一番端にあるため、まだ被害を受けていない。


『星戸府が消滅していきます!!星戸府にいる方は直ちに星戸府から脱出してください!!』


 チャンネルを切り替えると全国ニュースでは、消滅していく星戸府の映像と、慌てているニュースキャスターの声が流れている。


「ど…どうしよう…ママ…!!」


 明日流(あする)は震えて母親の帰りを待っていた。

 すると次の瞬間、明日流(あする)の家が崩壊した。


「うわぁっ!!!」


 明日流(あする)はその衝撃で吹き飛んだ。


――――――――――――――――――――――――


 「うぅ…」


 目を覚ますと夜になっており、普段家がたくさんある辺りには何もなく、真っ暗な空間が広がっていた。


「うっ…うぅ…うわああああああああ!!ママああああ!!パパ!!どこぉぉぉ!!」


 明日流(あする)はその場にしゃがみこんだまま泣き始めた。


「君!!大丈夫か!?」


 そんな明日流(あする)の前に少年が駆け付けてきた。


「ここは危険だ!早く逃げよう!」


 少年は明日流(あする)の肩を掴んで言った。


「あっ…」


 しかし、明日流(あする)は少年ではなく、少年の後ろの方を見て目を見開いていた。


「ん…?」


 少年は明日流(あする)の視線の先が気になり、振り返った。


「なっ…!!?」


 するとそこには、ファルブロスがいた。


「ウウッ…」


 ファルブロスは腕を振り上げた。


「っ…!!」


 今にもファルブロスの爪が二人を切り裂こうとしているその時、少年は立ち上がった。


「俺は…ヒーローになるんだあぁぁぁ!」


 少年は叫びながらファルブロスに向かって走り出し、殴り掛かる。


「ふっ…!!」


 するとその瞬間、背後から体が燃えているマテリアスが現れ、少年を飛び越えてファルブロスに突進する。


「えっ…!?」


 少年は突然のことに驚き、立ち止まる。


「うおおおおおぉぉぉっ!!!!!」

「ウアアアアアアアアアッ!!!」


 燃えているマテリアスは、ファルブロスを押さえつけながら爆発した。


「ぐあっ!!」

「うわぁっ!!」


 爆発の衝撃で少年と明日流(あする)は吹き飛ばされた。

 飛びかかった火は明日流(あする)の右腕に触れ、明日流(あする)は右腕を火傷した。

 明日流(あする)はそのまま気を失った。


――――――――――――――――――――――――


「うぅん…」


 病院のベッドで寝ている明日流(あする)は目を覚ました。

 明日流(あする)の右腕には包帯が巻かれている。


「ここ…どこ?」

「あっ!(たちばな) 明日流(あする)くん?」


 看護師が目を覚ました明日流(あする)に気づき、病室に入ってきた。


「うん。パパとママはどこ?」


 明日流(あする)は看護師に聞いた。


明日流(あする)くん…落ち着いて聞いてね。君のパパとママは…死んじゃったの。」

「えっ…?」


 困惑している明日流(あする)の目からは涙が溢れ出していた。


「うっ…うっ…うわあああああああああ!!!」


 明日流(あする)は泣き叫んだ。


――――――――――――――――――――――――


 2か月後。ムーブメント本部。


「こんにちは!今日から君たちを引き取ることになった、金山(かねやま) 小平(しょうへい)だ!よろしく!」


 そこには明日流(あする)斗馬(とうま)大護(だいご)、かおる、杏樹(あんじゅ)がいた。

 子供たちは全員暗い表情をしてうつむいている。


「君たちの家族を殺したファルブロスは、現在我々が監禁している。」


 金山(かねやま)は背中に手を組んで歩きながら話す。


「そこで、これから君たちには様々な訓練、任務を経験してもらう。そして最も成績が良かった者には、ファルブロスを殺す権利を与える。」

「…!!」


 うつむいていた子供たちは目を見開いて顔を上げた。


「家族の復讐をするチャンスだ。みんな頑張ってくれ。」

「…」


 明日流(あする)の表情はこわばった。


――――――――――――――――――――――――


 2年後。2024年3月。


「ふんっ!ふんっ!!」


 明日流(あする)はサンドバッグを殴る。

 ほかの子供たちも各々トレーニングをしている。


「集合!!」

「「はい!!」」


 金山(かねやま)が号令をかけると、子供たちは金山(かねやま)の前に集合した。


「ファルブロスを小学校に入学させることにした。そこで君たちに任務を与える。同じ小学校に入学し、ファルブロスを監視するんだ。」

「ファルブロスと同じ学校に…ですか?」


 かおるは不安な表情で金山(かねやま)に問いかけた。


「そうだ。ファルブロスは記憶を失っているから普通の人間と変わらない。しかし、万が一暴れ始めた場合、君たちに捕獲してもらう。まだ殺してはいけないぞ。」

「…」


 子供たちは全員納得していない様子だ。


「わかったか?返事は!?」

「「…了解!」」


 子供たちは渋々返事をした。


――――――――――――――――――――――――


 2024年4月。

 明日流(あする)たちは小学校に入学した。


「それじゃあみんな、一人ずつ立って名前と将来の夢を言ってくださーい!」

「「はーい!!」」


 生徒が一人ずつ名簿順に立ち上がって、名前と将来の夢を言っていく。

 そしてファルブロス、零音(れおん)の番が回ってきた。


伊武 零音(いぶ れおん)…あいつがファルブロスか…)


 明日流(あする)零音(れおん)を睨んだ。


伊武 零音(いぶ れおん)です!将来の夢はヒーローになることです!!」


 零音(れおん)は立ち上がって元気よく言った。


(ヒーローになるだと…大勢の人を…俺の家族を殺したお前が…!?)


 明日流(あする)は机の下で拳を握りしめ、必死に怒りを抑えた。


「ヒーローだって!」

「ぷぷぷ!バカみたい!」


 生徒たちは一斉に笑い出し、零音(れおん)のことを馬鹿にする。

 零音(れおん)は落ち込み、立ったままうつむいてしまう。


(ふざけやがって…だったら俺は、お前を殺してヒーローになってやる!!)


 明日流(あする)は机を叩いて勢いよく立ち上がった。

 生徒たちはその音に驚き、静まり返る。


(たちばな) 明日流(あする)。俺の夢もヒーローになることだ。人の夢を馬鹿にするんじゃねぇよ!!」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 明日流(あする)たちはレイジングフォックス本部の廊下を歩いている。


「なぁお前ら、時々任務のこと忘れてなかったか…?」


 斗馬(とうま)はかおると杏樹(あんじゅ)に話しかけた。


「…なに言ってんだよ。忘れてるわけないだろ。あたしがこの世で一番嫌いなのは、ファルブロスだ。」


 かおるは斗馬(とうま)を睨んで言った。


「その割にはずいぶんと楽しそうだったよな…?委員長とファルブロスを付き合わせようとしたりよ…もし委員長が危険な目にあったらどうするつもりだったんだよ…!」

「それは…」


 かおるは黙り込んだ。


斗馬(とうま)くんも乗り気だったじゃん!!」


 杏樹(あんじゅ)は怒鳴った。


「俺は反対しただろ!!」

「まあまあ!落ち着いてください!」


 大護(だいご)は三人の喧嘩を止めた。

 そして五人は研究室の扉を開け、中に入った。


「それで?その輝石とやらの正体はまだわかっていないのか?」

「はい…無のマテリアスであるファルブロスが物体を生み出すなど…完全に想定外です。」


 研究室の中で金山(かねやま)咲来(さくら)は会話していた。


「ただいま帰還しました。長官。」


 明日流(あする)たちは金山(かねやま)に敬礼した。


「来たか。ファルブロスは?」

「申し訳ございません…取り逃がしました。」


 明日流(あする)は頭を下げた。


「…そうか、まあいい。奴をおびき出す餌はある。」


 金山(かねやま)咲来(さくら)を見てニヤついた。


「…?」


 咲来(さくら)は困惑した。


「早速だが明日、ファルブロスの処刑を行う。そこで最後の射撃訓練を今から行う。」

「今からですか…!?」


 斗馬(とうま)は驚いた。


「そうだ。この射撃訓練で得た点数で、明日ファルブロスを殺す者が決まる。伊武(いぶ)、現在の成績は?」

「はい。現在の成績は、明日流(あする) 95点。かおる 97点。斗馬(とうま) 85点。杏樹(あんじゅ) 74点。大護(だいご) 32点です。」


 咲来(さくら)は各々の成績を発表した。


「と、いうわけだ。それでは皆、頑張ってくれ。」


――――――――――――――――――――――――


 五人は射撃訓練場に移動した。


「最後か…これですべてが決まるな。」


 斗馬(とうま)はハンドガンに弾を込めながら言った。


「ぼ…僕はもう無理ですね…みなさん頑張ってください…」


 そう言う大護(だいご)のハンドガンを握る手は震えていた。


『訓練開始!!』


 スピーカーから金山(かねやま)の号令が鳴り響く。

 五人は一斉に的に向かって発砲する。


「ひっ…!うわっ…!!」


 大護(だいご)はいちいち銃の反動に驚き、照準がブレる。

 一方で、明日流(あする)はほぼ全弾を的のほぼ中心に命中させる。


『訓練終了!!』


 全員が全弾打ち終わると、終了の号令が鳴り響いた。


――――――――――――――――――――――――


「最終成績を発表します。」


 咲来(さくら)は成績表を見ながら言う。

 かおるは手を合わせ、目を瞑る。


明日流(あする) 112点。かおる 99点。斗馬(とうま) 103点。杏樹(あんじゅ) 92点。大護(だいご) 35点です。」

「くっそぉ!!さっきまであたしが1位だったのに!!」


 かおるは頭を抱えた。


「やっぱり射撃で明日流(あする)には勝てねぇな…」


 斗馬(とうま)はため息をつきながら言った。


「ファルブロスを殺すのは、明日流(あする)で決定だな。」

「…!ありがとうございます…!!」


 明日流(あする)金山(かねやま)に深く頭を下げた。


「では明日流(あする)、明日、君は私になりすまし、本部前の広場におびき出したファルブロスを殺すんだ。」

「…えっ?」

 

 明日流(あする)金山(かねやま)の発言に耳を疑った。


「あくまで君は私の代わり。これは、世間に私がファルブロスを殺したヒーローとして認知してもらうための計画だ。」

「そんな…!?」

「ん…?なにか文句があるのか?」


 金山(かねやま)明日流(あする)を睨んだ。


「…いえ…ありません…」


 明日流(あする)は拳を震わせながらうつむいて答えた。


「それでは明日流(あする)、君には今からリベライザーのテストを受けてもらう。」

「…!?長官!!リベライザーは完成していますが…マテリアスのサポートなしで人間がリバイトに変身するシステムはとても負荷が大きく、明日流(あする)くんでも扱えるかどうか…」


 咲来(さくら)は焦り出した。


「それを確認するためのテストだ。さあ明日流(あする)、テストルームに行け。」

「はい…」


――――――――――――――――――――――――


 テストルームで明日流(あする)は、右手に銃型の変身装置、"リベライザー"と、左手に藍色のマガジンを持っていた。


『それじゃあ明日流(あする)くん。マガジンを起動して。』


 スピーカーから咲来(さくら)の声が流れる。

 明日流(あする)は藍色のマガジンのボタンを押す。


《バーンファイヤー》


『次に、マガジンをリベライザーのスロットにセットして。』


 明日流(あする)はマガジンをリベライザーの持ち手に空いている穴にマガジンをセットした。


《ローディング》


『トリガーを押して!』


 リベライザーを正面に向け、トリガーを押す。


「っ…!?ぐああああああっ!!!」


 明日流(あする)がトリガーを押した瞬間、明日流(あする)は反動で吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。


「うっ…」

明日流(あする)くん!!』


 咲来(さくら)金山(かねやま)はテストルームの中に入り、明日流(あする)のそばに駆け寄った。


明日流(あする)くん!大丈夫!?」

「ええ…このくらい…大丈夫です…」

「ふむ…これではリベライザーは使えないな…それでは当初の予定通り、プロトライザーでファルブロスの処刑を行う。」


 金山(かねやま)は冷静に言った。


――――――――――――――――――――――――


「大丈夫ですか?明日流(あする)くん。」


 休憩室で大護(だいご)明日流(あする)に話しかける。


「ああ…大丈夫だ…それより大護(だいご)。お前は明日、基地から出るな。」

「えっ…?」

「戦闘になれば邪魔になるだけだ。」

明日流(あする)くん、やめな。」


 杏樹(あんじゅ)明日流(あする)の言うことにムカつき、言った。


「事実を言っただけだ。」

大護(だいご)くんがかわいそうだよ!」

「いや、明日流(あする)くんの言う通りです…わかりました。」


 大護(だいご)はうつむいて言った。


「それにしても…ここまで頑張ってきたのに…長官の代わりだなんて…」


 かおるは呟いた。


明日流(あする)!本当にお前はそれでいいのか!?」


 斗馬(とうま)明日流(あする)に問いかけた。


「…形はどうであれ、この手でファルブロスを殺せるんだ。」


 明日流(あする)は右手の拳を握りしめ、左手の平を殴った。


「待ってろ…ファルブロス…!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ