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虹色のヒーロー  作者: 葛木真時
第2章
17/23

第17話 将来の夢

「「零音(れおん)!誕生日おめでとう!!」」


 クラッカーの音が鳴り響き、紙吹雪が舞う。


「ありがとう!!みんな!!」


 今日は9月3日。零音(れおん)の17歳の誕生日だ。

 零音(れおん)の家には明日流(あする)斗馬(とうま)大護(だいご)、かおる、杏樹(あんじゅ)が来ていた。


「さあみんな!!すき焼きいっぱい食べて!!」


 咲来(さくら)はテーブルの上の鍋を両手を広げて指し示した。


「「いただきます!!」」


 みんな鍋から肉を取り、生卵につけて食べる。


「ん~うまい!!」


 口に肉を頬張った零音(れおん)は満面の笑みで喜んだ。


「そうでしょ!今回はかおるちゃんも作るの手伝ってくれたのよ!」


 咲来(さくら)がそう言うとかおるは自慢げな顔をした。


「そうなんだ!ありがとうかおる!おいしいよ!!」

「…!!そんな…おいしいだなんて…やめろよ~エヘヘ…」


 零音(れおん)に褒められた瞬間、かおるの顔はものすごい笑顔になった。


「相変わらず誕生日はすき焼きなんですね。」


 大護(だいご)は肉を食べながら咲来(さくら)に話しかけた。


「そうなのよ!零音(れおん)の誕生日はやっぱりすき焼きよね~。」


 咲来(さくら)も肉を口に頬張る。


「あ、キノコは苦手だから…」


 斗馬(とうま)は箸で取ったえのきを鍋に戻した。


「おい!あたしはな!鍋で一度箸で持ったものを『やっぱいいや』で戻すやつが、この世で二番目に嫌いなんだよ!!」


 かおるは斗馬(とうま)に怒鳴った。


「わかったわかった!食べるから!!」


 斗馬(とうま)は仕方なく鍋に戻したえのきを取り皿に入れた。


「オリペン怒られてやんのー。」

「うるせぇ!」


 杏樹(あんじゅ)は怒鳴られた斗馬(とうま)をバカにした。


「フーフー…あっつ!!」


 明日流(あする)は肉が熱すぎて取り皿に腕をぶつけ、生卵をこぼして服にかけてしまった。


「あ!大丈夫明日流(あする)くん?その服脱いで零音(れおん)の服に着替えて!」


 咲来(さくら)零音(れおん)の部屋に行こうと席を立つ。


「あ!大丈夫です!少し、外で乾かしてきます…」

「うん…お肉残しておくわねー!」


 明日流(あする)はリビングから庭に移動した。


「母ちゃん。明日流(あする)は人前で上着は脱がないよ。」

「え?どうして?恥ずかしがり屋さん?」

「違うよ。右腕に火傷の跡があるんだよ。それを見せたくないから、明日流(あする)は昔からずっと長袖を着てるんだ。」

「そうだったのね…」

「…僕、ちょっと明日流(あする)と話してくる!」


 零音(れおん)は席を立って庭に向かった。


「おーい、いなくなんのかよ!本日の主役!」

「すぐ戻ってくるから!」


 零音(れおん)はかおるにそう言い残して庭に出た。



明日流(あする)!」

「…零音(れおん)。どうしたんだ?」


 零音(れおん)は庭に座っている明日流(あする)の横に座った。


「…覚えてる?僕たちが出会った時のこと。」

「どうした急に?」

「改めて思い返してみたんだ。今の僕があるのは、明日流(あする)のおかげだからね。」

「おいおい、大げさだなぁ!」

「ほんとだよ!小学校の初日。明日流(あする)がいなかったら僕は夢を諦めてた!」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 10年前の4月。

 小学校の初日。


「それじゃあみんな、一人ずつ立って名前と将来の夢を言ってくださーい!」

「「はーい!!」」


 生徒が一人ずつ名簿順に立ち上がって、名前と将来の夢を言っていく。

 そしてすぐに零音(れおん)の番が回ってきた。


伊武 零音(いぶ れおん)です!将来の夢はヒーローになることです!!」


 零音(れおん)は立ち上がって元気よく言った。


「ヒーローだって!」

「ぷぷぷ!バカみたい!」


 しかし、生徒たちは一斉に笑い出し、零音(れおん)のことを馬鹿にする。

 零音(れおん)は落ち込み、立ったままうつむいてしまう。

 すると一人の生徒が机を叩いて勢いよく立ち上がった。

 生徒たちはその音に驚き、静まり返る。


(たちばな) 明日流(あする)。俺の夢もヒーローになることだ。人の夢を馬鹿にするんじゃねぇよ!!」


 明日流(あする)はそれだけ言って、再び座った。


「…!!」


 零音(れおん)は衝撃を受け、呆然としていた。


――――――――――――――――――――――――


 休み時間になり、零音(れおん)明日流(あする)の席に来た。


「さっきはありがとう!明日流(あする)くん!」

「ん?ああ…」

「ねえ明日流(あする)くん!ストロングマンブラザーズって知ってる?」

「ああ…知ってる。」

「ほんと!?僕大好きなんだ!!」

零音(れおん)…くんはストロングマンブラザーズが好きだからヒーローになりたいのか?」

「うーん…それもあるけど…昔からよく同じ夢を見るんだ!その夢で誰かが『俺はヒーローになるんだ!』って叫んでるんだよ!その夢の影響かなぁ!」

「…そっか。」

「ねえねえ!今度一緒にヒーローごっこしようよ!」

「…うん。」


 明日流(あする)は軽く頷いた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「あの時明日流(あする)が立ち上がってくれなかったら、僕はヒーローになる夢を諦めてたかもしれない。」

「そうかぁ?お前なら諦めない気がするけどな。」

「へへへ…それから一緒にヒーローごっこするようになって…いじめられてる大護(だいご)を助けたこともあったよね!」

「…そんなこともあったな。」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「お前いつもイヤホンで何聞いてんだよ!」

「よこせよ!!」

「や、やめてよ~!!」


 いじめっ子二人が大護(だいご)からイヤホンを強引に奪おうとしている。

 そこに二人の影が近づく。


「人々を脅かす悪の手先よ!刮目せよ!」

「覚悟しろ!」

「正義のヒーロー!ストロングマン!」

「情熱の相棒!パッションマスク!」

「「ここに、参!上!」」


 零音(れおん)は右手で指を差し、明日流(あする)零音(れおん)の体にに寄り掛かって左手で指を差す。


「は?なんだこいつら。」

「だっさ。行こうぜ~。」


 いじめっ子の二人は呆れてその場を去った。


「はっはっは!あいつら俺たちにビビッて逃げたぜ!!」


 明日流(あする)は腰に手を当てて笑った。


「もう大丈夫だよ!君も一緒に遊ぼうよ!!」


 零音(れおん)は倒れている大護(だいご)に手を差し伸べた。


「っ…!!ありがとうございます…!」


 大護(だいご)零音(れおん)の手を掴んだ。

 これが零音(れおん)大護(だいご)の出会いだった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「さ!そろそろ戻ろう!早くしないとお肉がなくなっちゃう!」

「ふっ…そうだな!」

 

 二人は立ち上がってリビングに戻った。


――――――――――――――――――――――――


 翌日。

 夏休みはとっくに終わっており、零音(れおん)たちはいつも通り学校に通っていた。


「おはよう!みんな昨日はありがとう!!」


 教室に入ってきた零音(れおん)明日流(あする)たちに言った。


「おう!おはよう!」


 明日流(あする)たちは手を上げて軽く挨拶した。

 零音(れおん)は自分の席についた。


「おはようございます伊武(いぶ)さん。昨日お誕生日だったんですね。おめでとうございます。」


 隣の席で本を読んでいる紫絵理(しえり)零音(れおん)に話しかけた。


「え!?委員長、僕の誕生日覚えててくれてたの!?ありがと…あっ!!」


 紫絵理(しえり)の発言に驚いた零音(れおん)は、机の上に置いたリュックを床に落としてしまった。

 リュックのチャックが開いていたため、リュックの中からユーティライザーが飛び出し、床に転がった。


「ん?これは…」


(まずい!!)


 紫絵理(しえり)は床に転がったユーティライザーを発見し、拾い上げた。


「また学校におもちゃを持ち込んで…これは没収します!」

「違うんだよ委員長!!それはおもちゃじゃないんだ!!」


 零音(れおん)は慌てて紫絵理(しえり)に迫る。


「おもちゃじゃないならなんなんですか?」

「えっと………筆箱!」

「そんなわけないでしょう!没収します。」


(し…しまったぁ…!!どうしよう…)


 零音(れおん)紫絵理(しえり)にユーティライザーを没収されてしまった。


――――――――――――――――――――――――


 下校時間になり、六人で下校しようとしている零音(れおん)だが、学校の外に出ても紫絵理(しえり)に交渉を続ける。


「お願い委員長!さっきのおもちゃだけはどうしても返してほしいんだ!!」

「ダメです。」

「いい加減諦めろよ。おもちゃくらい。」


 かおるは零音(れおん)に呆れていた。


「そういうわけにはいかないんだよ!」


 こうして帰り道を歩いている零音(れおん)たちだったが、七人の前に一人の女性が現れた。


「すいませーん。みなさん楽しそうですねぇ。」


 その女性は細身で、髪型はツインテール。黒いマスクをしており、胸元にリボンがついているピンクの服に黒いスカートを履いている。いわゆる地雷系女子と呼ばれる容姿をしている。

 そしてなにより目に入るのが、その女性は男性の遺体を抱きかかえており、女性の左手の小指に巻かれている赤い糸が男性の遺体の小指に繋がっている。


「え…」


 零音(れおん)たちはその容姿に驚き、呆然としていた。


「私も一緒に遊んでいい~?」


 女性がそう言って右手を動かすと、明日流(あする)斗馬(とうま)大護(だいご)が突然、かおると杏樹(あんじゅ)に殴り掛かってきた。


「うわっ!!な、なんだ体が勝手に!!」

「いって!!なにすんだよ明日流(あする)!!」


 明日流(あする)の拳はかおるの顔面を殴った。


「ぐっ…!!杏樹(あんじゅ)!逃げろ…!!」

「ど、どうしたのオリペン!!?」


 斗馬(とうま)杏樹(あんじゅ)に襲いかかり、杏樹(あんじゅ)は逃げ回る。


「う、うわああああああ!!!」

「えっ…!!?」


 大護(だいご)紫絵理(しえり)に襲い掛かる。


「危ない!!」


 零音(れおん)紫絵理(しえり)をかばい、大護(だいご)に背中を殴られた。


「うっ…どうしたんだみんな!!」

「くっ…ごめん零音(れおん)くん!体が勝手に動くんだ!!」


 大護(だいご)は謝りながらも再び零音(れおん)に殴り掛かる。

 零音(れおん)紫絵理(しえり)の手を引っ張ってそれを避ける。


「キャハハハ!!」


 女性はその様子を見て笑っている。


(あいつ…まさかマテリアスか…!!)


 零音(れおん)紫絵理(しえり)を守りつつ思った。


(どうしよう…ユーティライザーは没収された…このまま師匠や来夢(らいむ)、みどりさんが来るのを待つか…?いや、それだとみんなを守り切れない…!!)


「委員長…僕から没収したおもちゃ、今持ってる…?」

「え?持ってますけど…」

「それを僕に渡してくれ!!早く!!」


 零音(れおん)紫絵理(しえり)に手を伸ばした。


「は…はい!」


 紫絵理(しえり)は困惑しながらバックに手を入れた。

 そして、零音(れおん)から没収した変身ベルトを取り出し、零音(れおん)に渡した。


「ど…どうぞ!!」

「ありがとう!変身!!」


 零音(れおん)は急いでベルトを腰に当ててレバーを下げた。


《キュピーン!刮目せよ~♪正義のヒーロー♪ストロングマーン!》


 ベルトから音楽が流れ、周囲に鳴り響いた。


「……ん?」


 零音(れおん)は今一度腰に当てているベルトを見た。

 それは以前、紫絵理(しえり)に没収されたおもちゃの変身ベルトだった。


「違う!!これじゃなくて、今朝僕から没収したやつ!!早く!!」


 零音(れおん)はおもちゃのベルトを思わず投げ捨て、再び紫絵理(しえり)に手を伸ばす。


「は…はい!!」


 紫絵理(しえり)は再びバックに手を入れ、変身ベルトを取り出し、零音(れおん)に渡す。

 その変身ベルトは今度こそユーティライザーだ。


「よし!」


 零音(れおん)は受け取ったユーティライザーを腰に巻き、マガジンをポケットから取り出して起動した。


《ジャスティスクリエイト》


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「いい?零音(れおん)、あなたがリバイトであることは学校のみんなに言っちゃダメよ。」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「…母ちゃん、ごめん。」


 零音(れおん)はマガジンをユーティライザーにセットする。


《ローディング》


 零音(れおん)は目をつぶり、変身ポーズをとる。


「…変身!!」


 そして目を開け、レバーを倒す。


《ユーティライズ》

《リバイトレオン クリエイト アクティブ》


 零音(れおん)はリバイトレオンに変身した。


「えっ…!?」


 紫絵理(しえり)や、その場にいる全員は、零音(れおん)が変身したことに驚いた。


「はああああああっ!!」


 レオンは女性に向かって走り出し、殴り掛かる。


「キャハハハ!!」


 レオンのパンチが女性の顔面に当たる直前、レオンの体は固まって動かなくなった。


「っ…!!体が…!!」

「私はあずてゃん。糸のマテリアスだよ!よろしくねぇ!」


 あずてゃんと名乗る女性は怪人態に変貌した。


「糸…?そういうことか…!!」


 よく見るとレオンの体や、明日流(あする)たちの体に糸が引っかかっており、あずてゃんの手によって操られていた。


「うおおおおおお!!!」


 レオンは力を振り絞って暴れ回り、自分の体に引っかかっている糸を振りほどいた。

 そしてオーバークリエイトマガジンを取り出して起動した。


《オーバークリエイト》


 レオンはレバーを起こしてジャスティスクリエイトマガジンを引き抜き、オーバークリエイトマガジンをセットした。


《ローディング》


 そしてレバーを倒した。


《ユーティライズ》

《リバイト レオン オーバークリエイト アクティブ》


 レオンはオーバークリエイトフォームにフォームチェンジした。


「はあっ!!」


 レオンは空中に巨大な輝石の剣を作り出し、腕を横に振ると、連動して輝石の剣が動く。

 輝石の剣は明日流(あする)たちの体に引っかかっている糸を一斉に斬った。


「うっ!!」


 糸が斬れて、明日流(あする)たちは膝から崩れ落ちる。


「オリペン!!怖かったよ~!!」

「ハァ…ハァ…わりぃ杏樹(あんじゅ)…」


 杏樹(あんじゅ)はしゃがみこんでいる斗馬(とうま)に抱き着いた。


「おい、大丈夫かよ。」


 かおるは明日流(あする)の頭をペシっと叩いた。


「ああ…悪い…それよりあれは…」


 明日流(あする)はレオンの方に目を向けた。


「はあああっ!!」


 レオンは手に輝石を纏い、あずてゃんに殴り掛かる。


「ふっ!!」


 あずてゃんは指の先から糸を出し、なびかせた糸を固め、レオンの拳を受け止める。


「くっ…」


 レオンは一度後ろに下がる。

 あずてゃんは手のひらから太い糸を出し、レオンの体をぐるぐる巻きにする。


「くっ…」

「キャハハハ!!大丈夫ですかぁ~?」


 あずてゃんは身動きが取れなくなったレオンに、指の先から出た糸で斬りかかる。


「ぐおおおおおおっ!!!」


 レオンは巻き付いた糸を破り、迫りくるあずてゃんの顔面に回し蹴りを食らわせる。


「ぐぉっ…!!!」


 あずてゃんは吹き飛んだ。


「…てめぇ…調子乗ってんじゃねぇぞ!!」


 あずてゃんの口調が変わり、手のひらから糸を出してレオンを斬ろうとする。


「ふっ!!」


 レオンは体を輝石のドームで覆って糸を防ぐ。

 そして輝石のドームから飛び上がったレオンはレバーを起こして倒す。


《リローディング》

《オーバークリエイトフィニッシュ》


「はああああああああああっ!!!」


 レオンは足に円錐状の輝石を纏い、あずてゃんに向かってキックを繰り出す。


「くっ…!!」

「キャッ!」


 あずてゃんは紫絵理(しえり)に糸を引っかけて引き寄せ、盾にする。

 紫絵理(しえり)は思わず目を瞑る。


「っ…!!?」


 紫絵理(しえり)が盾にされていることに気づいたレオンはキックの軌道を逸らし、あずてゃんの真横の地面に激突する。


「私飽きちゃったぁ。また遊ぼうね~。」


 あずてゃんはそう言い残し、糸を周りの家に引っかけて、まるで空を飛んでいるかのようにその場から去っていった。

 紫絵理(しえり)に引っかかっている糸はほどけ、紫絵理(しえり)は倒れ込んだ。


「待て!!」


 レオンはあずてゃんを追いかけようとするが、紫絵理(しえり)たちの安否を気にし、追いかけるのを諦める。

 レオンはレバーを起こし、マガジンを引き抜いて変身解除する。


「委員長、怪我はない?」


 零音(れおん)紫絵理(しえり)に手を伸ばした。


「はい…なんとか…」


 紫絵理(しえり)零音(れおん)の手を掴み、立ち上がる。


零音(れおん)…お前……」


 明日流(あする)たちの零音(れおん)を見る目は、いつもと違っていた。


「…みんな…僕…本物のヒーローになっちゃった!」


 零音(れおん)は開き直って笑った。


「…す、すげえええええ!!まじかよ!!」


 明日流(あする)は興奮し、大声で叫んだ。


零音(れおん)くんすごーい!!」


 杏樹(あんじゅ)は輝いた目で零音(れおん)を見た。

 全員の零音(れおん)を見る目は一気に輝いた。


「あは…ははは!!」


 リバイトに変身できるということがみんなにバレてしまった零音(れおん)だったが、受け入れられたため、安心した。


――――――――――――――――――――――――


「ねぇ~アダム様ぁ。リブ細胞使ってもいい~?」


 ムーブメントのアジトに帰還したあずてゃんは、アダムに問いかけた。


「なにに使う気だ?あず。」

「ちょっとムカつくやつがいてぇ。イタズラしたいんだよねぇ。お願~い。」


 あずてゃんは首を傾げて頼み込んだ。


「…まあいいだろう。」

「やったぁ!アダム様大好き!!」


 あずてゃんは飛び上がって喜んだ。


――――――――――――――――――――――――


 紫絵理(しえり)は自分の部屋のベットに寝転んでいた。

 紫絵理(しえり)の部屋には本とぬいぐるみがたくさんある。


「…伊武(いぶ)さん、かっこよかったなぁ。」


 紫絵理(しえり)は変身して戦っていた零音(れおん)を思い出して、独り言を呟いていた。


「もし、伊武(いぶ)さんとお付き合いができたら…いや私のことなんか好きになれないか…地味だし…」


「キャハハ…その恋…応援するよ!」


 すると、糸で操られたクマのぬいぐるみが動き出し、甲高い声を発した。

 ぬいぐるみは両手で紫色に光る物体。コアを持っている。


「え…!!」


 クマのぬいぐるみは紫絵理(しえり)にコアを投げ、埋め込んだ。


「うっ!?ああああああああああああっ!!!!」


 紫絵理(しえり)の姿はマテリアスに変化していく。

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