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虹色のヒーロー  作者: 葛木真時
第2章
16/23

第16話 爆弾ゲーム

 虹林市の港。

 子供たちが氷漬けにされているコンテナの中で玄司(けんじ)は、氷のマテリアス、狩尾 冷貴(かりお れいき)に遭遇していた。


「くっ…!!」


 玄司(けんじ)はマガジンを取り出し、起動しようとした。


「おおっと!!コンテナの中をよく見ろ!」

「…?」


 玄司(けんじ)は後ろを振り向き、コンテナの奥を見た。


「これは…!!?」

「あっひゃっひゃっひゃ!!俺が氷漬けにした爆弾だ!!お前が変身すれば、火で氷が解け、ガキどもはドカーンだ!!」


 狩尾(かりお)は手を広げ、爆発を表現した。


冷貴(れいき)…貴様…!!』


 カグツチは怒りを露わにした。


「くっ…」


 玄司(けんじ)は、構えたマガジンを仕方なく下ろした。


「それに、氷は時間が経つとどんどんとけていく。もたもたしてても爆発するぜぇ?」

「…!?」

「あっひゃっひゃっひゃ!!さあ!変身せずに俺を倒せるかな??行くぞ!!」


 狩尾(かりお)は地面に氷を張り、コンテナの隙間を滑って移動した。


「っ…!!」


 玄司(けんじ)はコンテナの外に出て、辺りを見渡した。

 左右のコンテナの隙間から滑って移動している狩尾(かりお)の姿がたまに見える。

 その姿は怪人態に変化していく。


「あっひゃっひゃ!!」


 気が付くと狩尾(かりお)は飛び上がっており、上から玄司(けんじ)に襲い掛かる。


「っ…!!」


 玄司(けんじ)はカグツチを引き抜き、狩尾(かりお)のバットを受け止めた。


「ぐ…!!!」


 玄司(けんじ)は変身していないため、狩尾(かりお)の力に押される。


「どうしたどうした!!」


 狩尾(かりお)玄司(けんじ)の脇腹に蹴りをいれる。


「ぐはっ…!!」


 玄司(けんじ)は吹き飛ばされ、地面を転がる。


「どうしたもっとこいよ!!」

「…っ!!うおおおおお!!!」


 玄司(けんじ)狩尾(かりお)の胸に斬りかかる。

 刃は狩尾(かりお)に当たるが、力が入りきらず、狩尾(かりお)の体は斬れない。


「おらぁっ!!」


 狩尾(かりお)玄司(けんじ)の腹を正面から蹴る。


「っ…!!!」


 吹き飛ばされた玄司(けんじ)はコンテナの壁に激突し、地面に倒れる。


「ぐっ…なぜ…子供たちを巻き込む…!?」


 倒れている玄司(けんじ)狩尾(かりお)に問いかける。


「あー…俺は子供のころ積み木遊びが好きだった…だが何度も遊んでいるうちに、積み上げることより壊す方が楽しいということに気づいた…そのうちブロック遊びにも飽き、今度は人を壊すことの方が楽しいと思えるようになった!!」


 狩尾(かりお)は語りながらバットを振り下ろした。

 玄司(けんじ)は咄嗟に前転してそれを避ける。


「今はお前の大切のもの、お前の人生を壊すのを最高に楽しんでいるのさ!!」

「ぐっ…!!」


 狩尾(かりお)は続けてバットを振り下ろしてくる。

 玄司(けんじ)は左手でカグツチの峰を持って攻撃を防ぎ、両手で耐える。


「うおおおおおおっ!!!」


 玄司(けんじ)は力を振り絞って立ち上がり、カグツチの柄を両手で持ち、狩尾(かりお)の腹に突き刺す。


「うっ…へっへっへ…」


 狩尾(かりお)は腹にカグツチが突き刺さっているのにも関わらず、どんどん玄司(けんじ)に接近し、さらに深くカグツチが刺さっていく。


「っ…!?」

「オラオラオラ!!」


 狩尾(かりお)玄司(けんじ)の頭を何度もバットで殴った。


「ぐっ…ぐぁ…!!」

「ふんっ!!!」


 そして最後に、玄司(けんじ)の頭に思いっきり頭突きした。


「っ……くっ!!」


 玄司(けんじ)は一瞬失神しかけたが、なんとか意識を保ち、狩尾(かりお)の腹からカグツチを引き抜いた。


「ハァ…ハァ…」


 玄司(けんじ)の頭から血が垂れてくる。

 

「モタモタしてるとガキが爆発するぞ~?」

「ハァ…ハァ…」


 玄司(けんじ)はカグツチを杖にして立っているのがやっとだった。


「…!!」


 玄司(けんじ)はフラフラとした足つきで斬りかかるが、簡単に避けられてしまう。


「プッ!!」


 あまりにも弱すぎる攻撃に狩尾(かりお)は思わず吹き出し、そのまま玄司(けんじ)を蹴り飛ばした。


「っ…!!!」


 玄司(けんじ)は子供たちがいるコンテナの中に吹き飛ばされた。


「ハァ……ハァ……」


 玄司(けんじ)は足を震わせてながらなんとか立ち上がった。

 その目はほぼ白目を剥いている。

 立ち上がった玄司(けんじ)は、ついにポケットからマガジンを取り出し起動した。


《ブレイブファイヤー》


『何をするつもりだ玄司(けんじ)!!』

「ハァ…変身する…」

「ガキを見殺しにするつもりかぁ!!いいぞー!!あっひゃっひゃっひゃ!!」


 狩尾(かりお)は手を叩いて笑った。


「…全員守る……ハァ…すべての戦えない子供たちに変わって…お前を殺す…!!」


 玄司(けんじ)はカグツチを納刀し、マガジンをセットした。


『……ローディング…』


「ハァ…うおおおおおおおおおおっ!!!」


 玄司(けんじ)は最後の力を振り絞り、カグツチを抜刀した。


『イグニッションライズ!!!』


 すると爆弾が解凍され、コンテナの中で爆発が起きた。


「あーひゃっひゃっひゃっひゃ!!!ガキども全員殺しやがった!!やっぱりお前は最高だぜ!!」


 狩尾(かりお)は拍手し、大笑いした。


「あっひゃっひゃっひゃ!!…あ?」


 しかし、コンテナの中の爆発は思ったより小さい。


『リバイトウルス ファイヤー アクティブ!!!!』

「うおおおおおおおおおっ!!!!!」


 すると爆炎の中からリバイトウルスが現れ、ウルスはカグツチで爆炎を吸い込み、そのまま爆炎を纏ったまま狩尾(かりお)の腹に斬りかかる。


「くっ…!!」


 狩尾(かりお)の氷の体は火で溶けて行く。


「おおおおおおおおおおおおお!!」

「ぐあああああああああああああっ!!!」


 そして狩尾(かりお)の胴体は真っ二つに斬れた。


「ハァ…ハァ…」


 すべての力を出し切ったウルスは、片膝立ちをした。


「…やられちゃった~。」

「っ…!?」

 

 次の瞬間、ウルスの背後に斬られたはずの狩尾(かりお)が現れ、バットでウルスの頭を殴った。


「ぐああああっ!!!」


 ウルスは強制変身解除され、地面に倒れ込んだ。


「なぜ…」

「あっひゃっひゃ!!体を斬られる直前、コアだけ体から脱出して体を再生したのさ!!お前が斬ったのは俺の形をした氷像だ!!」

「くっ…そ…」


 玄司(けんじ)は再び立ち上がろうとするが、もう力が入らない。


「ふん…わざと爆弾を起動して爆炎を吸収し、俺にぶつけたか…ガキは全員無事…やるなぁ!さすが相棒の代わりだ!」


 狩尾(かりお)は拍手した。


「楽しかった…また遊ぼうぜ…()()()()()。あっひゃっひゃっひゃ!!!」


 そして狩尾(かりお)は高笑いしながら地面を凍らせ、滑ってどこかへ去ってしまった。


「待て…!!」


 玄司(けんじ)は追いかけようとするが、我に返り、コンテナの中の子供たちに目を向ける。

 氷はとけたが、子供たちは気を失い、凍傷でかなり危険な状態だ。


「くっ……」


 玄司(けんじ)は子供たちに手を伸ばすが、力尽き、気を失ってしまう。


玄司(けんじ)!?玄司(けんじ)!!』


 カグツチが必死に呼びかけるが、その声は玄司(けんじ)には届かない。


――――――――――――――――――――――――


「…しょう!…師匠!!」

「んっ…」


 玄司(けんじ)が目を覚ますと、目の前には零音(れおん)がいた。


「師匠!よかったぁ…」

「…ここは?」

「僕の家です。」


 玄司(けんじ)零音(れおん)の部屋の布団で横になっていた。


「…子供たちは…!!」

「大丈夫です!全員病院に送りました。」

零音(れおん)が爆音を聞きつけてなかったら危なかったわよ!一体なにがあったの?」


 咲来(さくら)玄司(けんじ)に聞いた。


「…氷のマテリアス…狩尾 冷貴(かりお れいき)に会った。」

「!?氷のマテリアスって師匠の妹さんを…」

狩尾 冷貴(かりお れいき)…!!大量殺人犯の元死刑囚ね。」


 零音(れおん)咲来(さくら)は同時に驚いた。


「あいつ…次会った時は必ず殺す…!!」


 玄司(けんじ)は拳を強く握った。


「怪我がひどい。しばらくは安静にしてなさい。」


 咲来(さくら)はそう言って部屋を出た。


「あ、あのトマトジュース買ってきました。飲みます?」


 零音(れおん)は缶のトマトジュースを玄司(けんじ)に差し出した。


「…気分じゃない。お前が飲め。」

「え…僕トマトジュース苦手…」

「…」

「わかりました!僕が飲みます!」


 うつろな目をしている玄司(けんじ)の言うことを、零音(れおん)は断れなかった。


「いただきます…」


 零音(れおん)はトマトジュースを口に含んだ。


「ブーーーーーーッ!!!」


 無理して飲んだため、零音(れおん)はつい口に含んだトマトジュースを吹き出してしまった。


「あ、そうそう玄司(けんじ)くん。定期的に包帯を取り換え…っ!?」


 再び部屋に戻ってきた咲来(さくら)は、その光景を見て驚いた。


零音(れおん)!!どうしたの!?何があったの!?」


 咲来(さくら)はトマトジュースを吹き出した零音(れおん)を、吐血していると勘違いした。


「ちが…これ…トマトジュース…ゲホッ!ゴホッ!!」

零音(れおん)!しっかりして!」

「……ふっ…」


 玄司(けんじ)は二人のそのやり取りを見て、少し笑った。

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